6.VS【殲滅の狂人】ジョン・ザ・デットリーバズーカー

「ヘイヘイヘーーーイ!! stop on the people!! ソコで止まりナ、ベイビーFOOOOOOO!!」


 デットリーヶ丘通りで次なる殺気ッッ! 刃毀崎はこぼれざき閃華せんかを撃破した一行は、新たなる主要株主と遭遇したッッ!


 それはグラサン&モヒカンの半裸男ッ!! 鍛え抜かれた屈強な上半身にアーミー柄のボディペイントが施されているッ! 首から腰にかけてガトリング砲のブレッドマガジンを引っ提げているのはファッションにしても悪趣味ッ!!

 両腕に巨大なバズーカ砲を二門抱えているだけでなく、背中にはさらに二門のバズーカ砲を背負っている!! 明らかに火力過剰なのである!!

 彼は快活な笑みを浮かべ、白い歯のきらめきをこぼしたッ!! 鬱陶しいッッ!! 見ているだけで疲れる最悪の男である……!


『……えーと、アレも主要株主だっけ?』


「だね。ジョン・ザ・デットリーバズーカー。世界中の紛争に乱入しては両陣営を壊滅に追い込む厄介者。殲滅の狂人デッドエンドバーサーカーって、その筋ではけっこー有名な国際指名手配犯らしいよ」


 エグゼキューターはスマホを取り出すと、ジョンに向け「カシャッ」と鳴らす。そして何やらスマホの操作し始める。


『……なにしてるんだ?』


「いや、あんまり気持ち悪いからTyitterに上げようと思って」


『やめろやめろ!! 仕事中になんてことを!』


「変態おりゅwww ……うわっ炎上した! 助けてメタルヨロイ!!」


『三秒も経ってないのに炎上を!?』


 インターネットは恐ろしい場所である!! 怖い!!


「ユ、ユーたち相当アンビリバボーね……。初対面でミーをココまでバカにシタヤツは初めてデース……」


 ジョン・ザ・デットリーバズーカーは怒りに顔を紅潮させると、計四門のバズーカ砲をメタルヨロイたちに向けたッッ!!


「最高にキレちまったデーーース!!! ミーが抹殺商会に大金はたいて作らせた、究極のホーミング拡散バズーカー兵器! その名も「アセンション」!! 試し打ちも兼ねて灰燼に帰してやるダゼーーーーッッ!!」


『ま、また変な兵器が出てきた……!』


「ハッハッー!! ビビり散らすがイイですガキめ!! しかしこのバズーカはターゲット・ロックオンから発射までに微妙に時間カカリマース!! 諦めて辞世の句を詠むがイイデース!」


『ヤバイヤバイヤバイ!! 一旦退却するぞエグゼキューター!』


「無駄デース! この超高性能バズーカは発射されたが最後、どこまでもお前たちを追尾シマース! 大人しくハイクを詠みナサーーイ!!」


『クソ、無駄に高性能なもの作りやがって!』


 いくら重オルハリコンファイバー製の装甲ヨロイとて、耐えられる保証はない! 彼はエグゼキューターに視線を送るが――な、なんと!? 彼女は未だにスマホを操作しているではないか!?


「すごっ! もう一万RTいった!!」


『Tyitterやってる場合じゃないだろうがァァァァァ!?』


「大丈夫だって。アンタならバズーカ砲の直撃くらいじゃ傷ひとつ付かないから」


『そういう問題じゃなくて!』


「はいはい。心配しなくても、もう終わってるから」


『は?』


「レディース&ジェントルメェェン!! ターゲットロックオン完了デース!! これより一斉掃射を開始しまァァァァァス!!」


 ジョン・ザ・デットリーバズーカーの四門のバズーカ砲が火を吹くッ!! DRRRRRRRRRRR×4!! 発射された弾丸が空中分解し、内部からさらに無数の弾丸が現れるッッ!! 緻密な軌道計算によってあらゆる角度から襲来するホーミング弾の雨あられ! メタルヨロイは咄嗟にエグゼキューターを庇おうと全身を屈めたが――次の瞬間、異変が起こったッッ!


「ホワッッツ!!?? なぜ弾がミーの方に来るのデーーース!?」


 な、なんと!? 弾は途中で不規則に軌道を変え、全弾ジョンを目掛けて飛来していくではないか!?


「ファーーーック!! とんでもネェ不良品デーーース!! 二度と投資するかドチクショーーー!!!」


 ワビサビッッ!! 辞世の句を残したジョンは、そのまま爆発の中に消えていったッッ!!


「アッハッハッハ!! ずっとスマホでTyitterしていると見せかけて、バズーカ砲にハッキングを仕掛けていたのさ!!」


『ええ……』


 確かに、ホーミング性の武器はジャミングに弱いという致命的な弱点があるのだが、それにしたって初見武器の電装を、あの短時間で完全に攻略するのが可能なのだろうか?


「ま~アタシは天才ですからね。あんなオモチャの解析程度、チョチョイのチョイですよ」


 手際よくジョンを拘束しつつ、エグゼキューターはスコープ越しに目を光らせせた。


「あ、面白い武器だったし一丁もらっていこうかな~」


『昔から抜け目のない奴だったよお前は……』


 ――抹殺商会 主要株主、ジョン・ザ・デットリーバズーカー撃破完了ッッ!!


 株主総会の阻止まで、残り四人。





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