スカムバック・アウトソーシング!
神崎 ひなた
1.ガトリング砲と巨人兵
(株)残虐商事――古びたプレートと扉を見つめる、一人の少女。
ふわふわ揺れる金髪。小さな顔を覆う巨大スコープ。細い体に防弾チョッキ。
奇妙な少女、コスプレイヤーとも思える
少女はニッと笑って扉を蹴っ飛ばしたッッ!!
「どーも! (株)
軽ガトリング砲の
「グワーッ!! グワーッ!! グワーッ!!」
「全員神妙にお縄につけェェェェェェ!! アッハッハッハハーーー!!」
少女は高らかに嘲笑!
だがそんな阿鼻叫喚の状況をものともせず、一人の男が立ち尽くしているではないか!?
「ヒャッハハハハ、警視庁の犬めが! ちょうど退屈してたところだぜ~~!」
強気な太眉! オールバック、紺のスーツ! 一見どこにでもいるサラリーマンに見えるがその両腕には――な、なんと!? ブ厚い巨大鉄板が装着されているではないか!? 二メートル以上にもなる巨大盾のサイバネ機構! 肘同士を合わせると(株)残虐商事のロゴタイプが力強く浮かび上かる仕様だッ!
「まずはビジネス・マナーだ! 受け取れッ!」
彼は少女に向かってヒュンッと一枚、紙を放った! 名刺ッ! シンプルな紙面には「(株)残虐商事 開発主任 兼 営業部長 兼 販売戦略担当
「ご丁寧にどうも! でも生憎、テロリストに返す名前は無いのよね!」
「ナメ腐った態度じゃねぇか御社ァ~!? ビジネス・マナー教育も行き届かねぇ悪徳企業! 許し難いぜェ~~!」
「うるさい
臨機応変ッ! ガトリング砲が通用しないと判断すると、少女は
「そんなヤケクソが通用すると思うか~!?」
「思いまーす!」
少女はすかさずキーボードのB+Enterをクリック!! すると、BOOOON×2!!! ――な、なんと軽ガトリング砲が爆弾の如く
「アッハッハーー!! ワンクリックで指向性爆弾が作動するようにプログラミングしていたのさ!」
この一撃でオフィスが壁ごと吹っ飛んでしまい、風通しが良くなったッッ! いかな鉄壁を誇る小山田とて無事では済まないだろう……!
だが
「残念だったなぁ!! 我が社の「スーパーイージスくん十三号」は、迫撃砲の直撃にも耐えうる設計になってんだよォォ!」
なんと小山田、無傷! 自社製品への誇りを確固たるものとしながら、じりじりと少女へ迫る!
「もうショーの時間はおしまいかァ~? なら今度は
「アァ!? 上等じゃん! 来なさいメタルヨロイッッ!!」
少女が指を鳴らすと――DRRRAAAAAAAAAASH!!! ドアを壁ごと破壊しながら、巨大な重鎧兵が乱入してきたッッ!!
「ダァァァァァァァッッッ!?」
さすがの小山田も
『あんまり無茶すんなよ、エグゼキューター。最初から俺を呼べばいいんだ』
「なに言ってんの。ヒーローは遅れてやってきてこそ、でしょ?」
彼こそはメタルヨロイ! (株)旭日代行サービスの従業員にして決戦兵器! 全長は三メートル六十センチにも及び、全身を重オルハリコンファイバー製の重鎧に覆われた
その両腕は、パルテノン神殿の石柱を思わせるほどに巨大ッ! 雄大ッ! 質量の暴力ッッ!!
肘からは巨大なストライク・パイルが突出し、その先端から十本のスチーム・バンカーが天を
「で、なんだっけ? 「耐久度試験に付きあってほしい」んだっけ?」
少女が指を鳴らすと、メタルヨロイは巨大な剛腕を振りかぶったッ! その勢いでだけで扉側の壁が完全に瓦解し地上へ落下してゆくッッ!
「ひ、ヒィッ!?」
小山田が「スーパーイージスくん十三号」を構えた瞬間、メタルヨロイの拳が隕石の如く上段から振り下ろされるッッ!
GAAAAYYYYYYN!! 凄まじい金属音ッ! 盾は大きく陥没し、小山田の両足は床に陥没したッ!
『あれ? 思ったより脆いな?』
「バカなァァァァ!? 俺の、俺の究極の盾が!?」
『どうやら企業努力が足りなかったらしいな! ……コイツでトドメだ!』
その瞬間、メタルヨロイの肘からスチーム・バンカーが一本吹き飛んで、宙を高く舞ったッ!
『出力解放五パーセント――ブチ抜けェェェェェェ!!』
「だァァァァァーーーッッ!?」
DOOOOWN! 圧縮水蒸気の一斉放出によって生みだされた凄まじい衝撃波によって、小山田は床ごと木っ端みじんに破壊され落下ッ!! 再び床に叩きつけられるも、落下の勢いは止まらないッ! 突き抜ける、突き抜ける、突き抜けるッッ!!
最終的に一階の地面と「スーパーイージスくん十三号」を大きく陥没させ、ようやく落下が止まった……! 小山田はその場で失神ッ!
『あれ? こんなに出力が出るはずでは……』
なんとも言い難い静寂が広がった後、絶叫の電子音が響く!
『さては……エグゼキュータァーー!! お前、また俺の腕を勝手に改造したな!? この間もスカイツリーを真っ二つにして都知事に怒られたばっかりだろうが!! いつか本当にテロリストを殺しちまうぞ俺は!?』
「そんなに慌てなくても大丈夫だって。万が一テロリストを殺したところで、なんの罪にも問われないよ」
少女は伸びをしながら、ニッと微笑んだ。
「アタシらが警察の仕事を全部委託してやってんだよ? やりたい放題なんか今に始まった話じゃないでしょ」
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