キングメタルスライムを付与魔術で倒す

「キングメタルすらっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 俺達の目の前にキングメタルスライムが姿を現す。子分となるスライム達を殺され、奴は憤っている様子だった。


「ど、どうするんですか? ルイド様」


 エアリスが俺に聞いてくる。


「とりあえずは普通に攻撃してみてくれ」


「わかりましたっ! はあっ!」


 エアリスは斬りかかる。鋭い剣技だ。洗練された無駄のない動きで剣はキングメタルスライムを斬りはらう。


 キィン!


 だが、当然のようにその剣はキングメタルスライムには通用しなかったのである。甲高い音を奏で、弾かれる結果となる。


「くっ! 流石に硬いですね」


 エアリスは衝撃で手が痺れていたようだ。モンスターを斬ったというより、硬質な金属を叩いたようなものである。


 衝撃で手がじーんとなっている事であろう。


 キングメタルスライムは今なお平然としていた。全くダメージを与えていないと思った方がいいかもしれない。与えていたとしてもHPが1程度。仮にHPが100だったとしても100回は攻撃しなければならない計算だった。


「エアリス、剣を貸してくれ」


「は、はい! わかりました」


 俺はエアリスから剣を借り受ける。既に付与魔術【エンチャント】の効果はかき消されている。既に付与できる状態にあった。


「付与魔術【エンチャント】」


 俺はその剣に付与魔術【エンチャント】を施す。


『対メタルナー特効』※金属類モンスターに対する特効効果

『対スライム特効』※スライム種に対する特効効果

『クリティカル率大』※クリティカル率が大きく向上する


「よし……」


 付与魔術【エンチャント】が終了した。


「この剣を使ってみてくれ」


 俺はエアリスに剣を返す。


「わかりました……うわっ。凄い力を感じます。よくわかりませんがこの剣にとてつもない力が付与された事だけは理解できます。流石はルイド様です」


「おだてるのは試してみてからにしてくれ。倒せない事には意味がないだろう」


「それもその通りですね。わかりました」


 剣を持ったエアリスはキングメタルスライムと向き合う。


「はあっ!」


 エアリスは斬りかかった。その時、手応えがなかった。場が静まり返る。先ほどのような甲高い音が聞こえなかったのである。


「キングメタルすらっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 キングメタルスライムは絶叫した。そして、一太刀のもと斬り伏せられたのである。



「やりましたっ! ルイド様。ルイド様の付与魔術【エンチャント】のおかげです」


「何を言っているんだ。エアリス。君の剣技があってこそだよ。それにクリティカル率大の付与効果があったから、たまたまクリティカルヒットが出て倒せたんだよ。運が良かったんだ」


「何をおっしゃいますか。その効果もまたルイド様付与魔術【エンチャント】で施してくれた特殊効果ではありませんか」


 エアリスは感激した様子で俺に言ってくる。


 ともかく、俺達はレアモンスターであるキングメタルスライムの討伐に成功した。


 素材が落ちてきた。硬そうな金属の塊だ。俺はその金属を拾う。


『キングメタルスライムの素材を手に入れた』


 キングメタルスライムの素材は装備にしてもいいし、冒険者ギルドで換金してもいい。何にせよ、思わぬ収穫だった。


「Eランクのクエストも消化したし、これで冒険者ランクもDランクに上がるはずだろう。そうなればきっと、もっと受注できるクエストの幅も広がるはずだ」


「はい。そうですね。やりましたね」


 こうして俺達は意気揚々と冒険者ギルドまで戻っていく事になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る