第11話 応接室⑥

警察の応接室。


新堂「事件当事者たちのツイッターのリプライを拾って、何が分かったんです?」

田富「犯人の動機です」

新堂「動機ですって!?ツイッターでのやりとりが、あんな爆発事件に発展したと言うんですか?いくらなんでも突飛すぎるのでは……?」

田富「順を追って説明しましょう。私はまず文書の中に書いてあった事件当事者の

アカウントの投稿内容を調べました。当然、事件のあったあたりで投稿が無くなってるんですが」

新堂「……まあそうでしょうね」

田富「一つだけ、事件が起こるより一年も前、2010年の7月10日から投稿が一切ないアカウントがありました」

新堂「それはどういうことです?その事実が何かこの事件と関係があるんですか?」

田富「関係があるというか、ほとんど犯人の動機そのものと言っていいでしょうね」

新堂「動機そのもの……ですか」

田富「……そのアカウントの最後の投稿内容は『死にたい』というものでした。どうやら学校でいじめを受けていたようです」

新堂「学校?ということは学生ですか?」

田富「ええ、アカウントの持ち主は学生です。問題は、その投稿に対するリプライです。『死にたい』という投稿に対して、幾つかのリプライがあったのですが、『死ね』、もしくはそれに類する内容のリプライをしたアカウントが4つありました」

新堂「まさかその4つって……」

田富「ええ。いずれも事件の当事者のアカウントでした」

新堂「……いや、しかし、やはりそれはちょっと飛躍しすぎではありませんか?つまり犯人はツイッター上で「死ね」と言われたことで逆上してあの事件を起こしたっていうことですか?」

田富「いえ、そうは言ってませんよ。大体、単に逆上して計画した犯罪にしては準備が周到過ぎます」

新堂「でもあなたはリプライが動機そのものだと」

田富「新堂さん、私は『ほとんど』動機そのものだと言ったんです」

新堂「……随分勿体つけますね。では、ほとんどではない、その犯人の動機そのものというやつを教えていただきましょうか」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る