第5話 まーさんと乾電池

まーさんは、電池を怖がる。

えぇーーって思うほどに電池に対しての警戒心がすごい。


“ふーーーーー‼︎”って逆毛を立てて威嚇する姿が見えてくる気がするほどに、電池に対して嫌悪感をむき出しにする。


なんでも小さい頃に、同じ社宅に住んでたおばちゃんに『電池は危ないんだよ!なめたりとかしたら死んじゃうからね!』って言われたのが、今でも心に深く深く残っているらしく


電池=命を奪う怖いやつ

になってしまったらしい。


多分電池全体のこととかではなく、電池が古かったり傷んでたりで液が漏れてる物や粉が出てしまってるものを言っていたのだと思うけど……。


おばちゃんの優しい心配からの教えの言葉が、こんな風に影響するなんて……。

まーさんの想像力はいつも飛び抜けている。


電池を見ればビクゥッΣ(OωO )とこんな顔をするまーさん。


「おーさん、これ使ったやつ??触ったら死んじゃう………??」って怯えるまーさん。


電池が切れて交換しなきゃいけない時のテンションの下がり具合……。


ボタン電池は、特に嫌いらしい。

道具がないと外れないことが多いからだと思われる。

普通の電池も、取り出しにくいタイプのものだったりすると、変えてる隣でものすごくブサイクな顔をしている。


たまに、僕が「怖さ克服のために、自分で電池変えてごらん」と言うと泣きながら頑張る時があったりするんだけど(逃げ回る時も多い)


ビニール袋で手を守りながら闘う姿は、乾電池が相手とは到底思えないような緊張感と悲壮感を漂わせている。


無事に終わらせた時のドヤ顔は、“これぞドヤ顔!”

辞書に載せてもいいくらいのドヤ顔をする。


まーさん、乾電池はそこまで危なくないよ。

早く安心できる日が来るといいね。


まーさんは怖いものがたくさんだから、少しでも減ると良いよね。


でも、乾電池相手に威嚇するまーさんの姿が見れなくなるのもちょっと寂しいなぁ。


結局どっちなんだって話。

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