玉ねぎからのお知らせ

 ある日高校の食堂にて給食のスパゲッティを食べていたら、教室に放送室からのお知らせを告げるアラームが鳴った。

「どうも玉ねぎです」

 女子の声でさらりと自己紹介がされた。しかし自身を玉ねぎと名乗るのは変だ。


「私をちゃんと食べてくれている人に、いいことを伝えます。玉ねぎのビタミンのおかげで、きっと体が強くなっていることでしょう。とくに運動系の部活の人たちは、成績アップを期待できます。私もこれからの各運動部の大会、楽しみにしています」

 まるで占いの金言のようなことを、「玉ねぎ」は言った。


「それに比べて、いつも玉ねぎを皿の端へどかしている、鈴木連太郎!」

 玉ねぎは急に語気を強めた。連太郎は僕の隣にいるクラスメートだ。実際に彼はいつもの調子で、スパゲッティに混じった玉ねぎをどかしながら、パスタや他の具材だけを食べていた。


「この江戸崎高校において、好き嫌いは裏校則違反であることは、何度も伝えただろう。また破っているのは見えている! そんなお前は、今すぐ退学! そして私が指定する系列高校に転入だ!」


 いきなり食堂に、憲兵のような男たちが乗り込んできた。

「うわ、何するんだ、やめろ!」

 連太郎は叫びもむなしく、問答無用で引きずり出されたのである。


 とんでもない高校に来たと思うと、僕も生きた心地がしなかった。

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