この子がきれい!
僕は親友の圭介によって、彼の部屋に案内された。
部屋のいたるところがこれでもかというぐらいきれいに整頓されている。ホコリひとつなく、家具のところどころから光がチラつきそうなぐらいだった。
「うわあ、きれいだなあ」
僕は思わずつぶやいた。
「どうもありがとう。いつも掃除してるからね。それに今年大学受験だから、運気を上げなきゃと思ってるんだ」
彼は照れながら言った。
でも僕が言ったのは部屋に対してではない。部屋の入口から見て左端にベッドがつけられていたのだが、頭のポジションにあたるところと壁の隙間にアニメキャラの等身大人形が立っていた。名前は聖護院マリア。アニメ化もされたライトノベル『まじかる学園の超絶問題児』のヒロインである。その問題児がまさに彼女だ。
丸々とした目は輝くオーラを放ち、整った顔立ちは見るだけで僕たちをキュンとさせる。まさに僕の好みにドストライクな美少女だった。
推しキャラを目の前にして、僕はもはや我慢できなかった。
そっと彼女に顔を近づけ、キスを果たそうとした。
「パーン」
僕の頭に、スリッパで叩かれた衝撃が走った。後ろによろめいた隙に、圭介がマリアの前に立ち、鬼気迫る表情で僕をにらんだ。
「僕の嫁に手を出すな!」
「えっ、嫁?」
僕は呆気にとられてしまった。
「僕は今年、マリア様と結婚したんだ。受験もマリア様に見守ってもらうし、おじいちゃんになってもずっとマリア様と添い遂げるんだからねっ!」
圭介の異様な剣幕に、僕は腰を抜かしてしまった。
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