彼女のスカート

「お待たせ~」

 午前11時50分。待ち合わせ時刻から10分前に、エミリが駆けつけてきた。

 16歳にして、待ちに待った初デート。

 これからどんな展開になるのだろうかと、期待と緊張が入り混じった気持ちが続くところである。


 しかしエミリの姿を見るや、そんな感情はすっかり吹き飛んだ。


「ねえ、見て、このファッションどう?」

 彼女は黄色いTシャツの裾を、水色のロングスカート的なものに詰めたシンプルなファッションであった。

「か、かわいいな。でも、何でそんなの履いてるの?」

 僕は疑念たっぷりに彼女を問うた。


「えっ? 水色のロングスカートだよ? いいでしょ?」


 そのスカート的なものは、駅前の広場には似つかわしくないタオル地だ。どう見てもプールの着替えのときに巻くものだろ。

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