2 確定申告

 三月は、私にとって区切りの時だ。

 一年を振り返って申告をする。

 良かったことも、悪かったことも、嬉しかったことも、悲しかったことも、できるだけ多くのことを思い出して、自分の心と向き合う。

 部屋を掃除したり、写真フォルダを見返したり、その日が来るまで丁寧に整える。

 その日、今日は、君の命日。

 何年経ってもまだ、三月は心が弱る。

 そんな私を律するために、一年間の私をまとめて君の前で背筋を伸ばす。

 穏やかに微笑む遺影を前に、今年もまた申告をする。

 私は今も、私と君を大切にして生きている。

 明日からまた、新たな一年を生きていく。

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