37話 ”黒き炎”が心を入れ替える
ユリウスの救援は、ギリギリ間に合った。もう少し遅れていたらやばかっただろう。
俺の支援魔法により強化されたリサ、シオン、ガレン、ルフレにより、オークジェネラルは無事に討伐された。俺、ミーシャ、ニナも付いてきたが、結果的には付いてくる必要はなかったな。俺が彼らに支援魔法をかけただけで十分だった。
「無事でよかったです。ユリウスさん」
「ああ。本当にありがとうございます。ロイさん」
ユリウスがそう言って、頭を下げる。”黒き炎”を追放されたときはショックだったが、そのおかげでミーシャやニナと出会えたという側面もある。それに、”黒き炎”で活動しているときには助けられたこともある。あまり恨む気にはなれない。
「その丁寧な口調、やめませんか? なんだかユリウスさんにその口調で話しかけられると、ムズムズします」
「……そうか? ロイがそう言うのであれば、元に戻そう。ロイも、俺に対して普通の口調でいいんだぞ。ロイはもう”黒き炎”のメンバーではないし、ロイの本当の実力もわかったことだしな」
「……わかった。ユリウス。これでいいか?」
「ああ。それでいいさ」
俺とユリウス。お互いに見つめ合う。ユリウスは晴れやかな表情をしている。
「うむ! ユリウス殿が無事でよかったのである!」
「その通りですね。しかし、しばらくはオークの顔を見たくありませんね」
ガレンとルフレがそう言う。
「ええ。わたくしたちの身の丈に合った任務をこなすことにしましょう」
「そうだね。ボクも、ロイ先輩に頼り切りだったことに気がついたよ。自分を鍛え直す」
リサとシオンがそう言う。
「それがいいと思うのです。ロイさんの支援魔法は強力過ぎるので、自分の力を過大評価しても仕方ないのです」
「ふん! その通りね。私も気をつけることにするわ」
ミーシャとニナがそう言う。
「ああ。俺も肝に命じておくよ。……俺たち”黒き炎”は、一から出直す。Bランクに恥じない実力を手に入れるためにな」
ユリウスがそう言って、”黒き炎”の面々を見渡す。それぞれが力強くうなづく。
「そうか。俺たち”白き雷光”は、今はCランクパーティだ。もちろんさらなる上を目指している」
もともとはミーシャ、ニナ、それにあと1人の魔法闘士による3人パーティだ。そこに俺が加わった。まだまだ上を目指せるパーティだ。
「実力ではそちらが上だろう。しかし、がんばって追いつく。いつか、良きライバルとして切磋琢磨できるようになることを期待してくれ」
「ああ。そのときは、よろしく頼むぞ」
俺とユリウスは、熱い握手を交わす。いろいろあったが、これで一件落着と言っていいだろう。あとは、彼らが受注していた隊商の護衛依頼の処理がどうなっているか気になるぐらいか。
みんなで、隊商の目的地である街に向かって歩き出す。
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