【コミカライズ】え? パーティに支援魔法をかけまくっていた俺を追放? 〜若くてかわいい有望パーティに拾われたので、今さら戻ってこいと言われても、もう遅い〜
36話 【ユリウスside】もうダメか……と思った、その時
36話 【ユリウスside】もうダメか……と思った、その時
俺は、1人でオークジェネラルの足止めをしている。ルフレ、ガレン、リサ、シオン。みんな、無事に逃げられただろうか。
「ブモオオオッ!」
「くっ」
オークジェネラルの攻撃を、俺は必死で躱す。時間稼ぎと足止めに徹すれば、俺1人でもなんとかなるもんだな。
しかし、それもそろそろ限界が近い。オークジェネラルはまだまだ元気だ。一方の俺は、必死で回避と防御に専念してはいるが、体力が限界に近い。少しずつダメージも蓄積している。
「ふっ。Sランク冒険者になる夢も、ここで終わりか。Bランクまで来て、見えてきたと思ったんだがな。……いや、俺がBランクになれたのはロイのおかげか。俺があいつの実力を勘違いして追放してしまったのが間違いだったんだな」
今さら悔やんでももう遅い。ロイは新しいパーティで上を目指そうとしている。
ロイの新しいパーティメンバーにも見覚えがある。”白き雷光”というCランクパーティだ。
”白き雷光”は、若くて実力のある3人パーティだ。そこにロイが加われば、確かにもっと上を目指せるだろう。今の”黒き炎”と同じBランク。いや、その上のAランクにだって手が届くかもしれない。
「もうルフレたちは逃げおおせただろう。こうなれば、俺も意地を見せてやる」
逃げ切れる可能性はほぼない。最後に一太刀を入れてやろう。俺は力をためていく。
「……はあぁ! 火炎斬!」
剣に炎をまとわせ、オークジェネラルを斬りつける。やつの胸に、傷をつけた。……引っかき傷程度の。
「ブモオオオッ!」
オークジェネラルが怒り、俺に迫ってくる。俺はもはや逃げる力も残っていない。
「へっ。俺の本来の実力は、こんなもんか。情けねえぜ」
オークジェネラルが目前に迫る。やつが棍棒を振り上げる。俺の人生はここで終わりだ。俺は目を閉じ、最後のときを待つ。
「……貫け、氷槍! アイシクル・スピア!」
「はあっ!」
リサとシオンの声だ。彼女たちは逃げおおせたはず。幻聴か。
「ぬうん!」
「せいっ!」
ガレンとルフレの声もする。これは幻聴ではないのか? 俺は目を開ける。
「ふう。なんとか間に合ったようで、よかったですわ」
「本当にね。間一髪だった」
「ユリウス殿に大きなケガはないようで、何よりである!」
「その通りですね。リーダーに何かあっては、我ら”黒き炎”の一大事ですから」
リサ、シオン、ガレン、ルフレがいた。オークジェネラルは倒されている。これは幻覚でも幻聴でもない。そして。
「ユリウスさん。だいじょうぶですか?」
ロイだ。ロイがいた。
「ロイさん……。助けにきてくれたのですか?」
「ええ、まあ。心配で様子を見に来たところ、偶然逃げてきたルフレさんたちと合流しまして」
ロイの実力を過小評価して理不尽に追放した俺のことを、心配してくれていたのか。そして、助けてくれたと。
「ありがとうございます。ロイさん……。それにみんな」
俺はそう言って、頭を下げる。このお礼は、きっと必ずしよう。これからは心を入れ替えてがんばっていこう。そう決意した。
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