17話 【ユリウスside】険悪なパーティ

 ロイたちが影の森にて順調に狩りを行っている頃。ユリウスたちは、ジョネス商会の隊商の護衛任務を引き続き行っていた。しかし、調子は不調の一言である。


 今は、隊商の一団が野営地で休息を行っているところである。これを機に、”黒き炎”内で緊急ミーティングが開かれる。


 リーダーである魔法剣士のユリウスが苛立った様子でパーティメンバーたちを見据える。ユリウス以外のメンバーは、ルフレ、ガレン、リサ、シオン、メナスの5人である。


「たるんでいるぞ、お前たち! せっかく無能のロイを追放しても、お前たちがしっかりしないと意味がないだろうが!」


 ユリウスがメンバーを一喝する。


「しかしな。ユリウス殿。吾輩、何だか調子が出ないのである!」

「その通りですね。気候の影響か何かでしょうか。自分も調子が出ません」


 斧使いのガレンと槍士のルフレがそう言う。


「言い訳は見苦しいですわ。コンディションの管理も実力のうちです」


 攻撃魔法使いのリサがそう言う。


「リサ! お前も人ごとではないだろう! 魔法の威力が落ちていたぞ! もっと気合を入れてもらわなければ困る!」


 ユリウスがそう言う。ガレン、ルフレ、リサ。3人とも不調なのは明確であった。そして、3人ほどではないが弓士のシオンも不調。認めたくはないがユリウス自身も不調。極めつけに、新加入のメナスの支援魔法もイマイチだ。ユリウスの次の怒りの矛先はメナスへと向かう。


「メナス! お前も、いつまでもお客様気分でいてもらっては困る! そもそも、お前本当にBランクか!?」

「何!? 聞き捨てならん! 俺は常にベストを尽くしている!」


 ユリウスの言葉を受けて、メナスが心外だと言わんばかりにそう反論する。


 ーー実際のところ、メナスの実力はBランク相当で間違いない。前任者のロイが規格外だっただけだ。しかし、ユリウスたちがその事実に気がつくのはまだ先のことでである。


「ベストだと!? あの程度の支援魔法でベストだとは笑わせてくれる! 大して強化されていないぞ!」

「貴様たちのそもそもの実力がダメ過ぎるのだ! そっちこそ、本当にBランクパーティなのか!? 期待はずれもいいところだぞ!」

「なんだと!? 俺たちは間違いなくBランクパーティだ! ふざけるな!」


 売り言葉に買い言葉。ユリウスとメナスの口論は激しさを増していく。ルフレ、ガレン、リサの3人はそれを不機嫌そうに見ている。彼らにも言いたいことはあるが、ヘタに口を出せば批判の矛先が自分に向く可能性もある。彼らは、ここは沈黙を選択していた。


「(……はあー。ロイ先輩の支援魔法があればこんなことには……。ボクもこのパーティ辞めようかなあ……)」


 弓士のシオンが遠い目をしながらそう思う。ユリウスたちのパーティ”黒き炎”は、ロイが抜けたことにより絶不調に陥っていた。はたして、Bランクパーティ”黒き炎”の行く末はいかに。

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