3話 【ユリウスside】新しい支援魔法士の加入で、俺のパーティは盤石だぜ!

 ”黒き炎”とジョネス商会長の打ち合わせから、数日が経過した。今日は、”黒き炎”の護衛のもとジョネス商会の隊商が出発する日だ。


「おはよう。ユリウス君。しっかりと護衛を頼むぞ」

「おはようございます。ジョネス商会長。お任せください」


 ユリウスが力強くうなずく。


「さて。ユリウス君に紹介したい者がいる。こちらが、以前言っていた支援魔法士のメナス殿じゃ」


 ジョネス商会長がそう言って、1人の男をユリウスたちに紹介する。


「Bランク支援魔法士のメナスだ。Bランクの名に恥じぬ貢献を約束しよう。よろしく頼む」

「ああ。よろしく頼むよ」


 メナスとユリウスがしっかりと握手を交わす。


「ところで、以前このパーティにいた者はどの程度の腕前だったのだ? Bランクの俺がその者より劣るということはあるまいが」


 メナスがそう問う。


「以前いた支援魔法士はDランクの無能ですわ」

「その通りですね。Bランクの自分たちの足をいつも引っ張っていました」

「実に軟弱な男であった! 吾輩たちと同じBランクのメナス殿がきてくれてありがたいぞ!」


 リサ、ルフレ、ガレンが口々にそう言う。彼女たちのロイに対する評価は散々なものであった。


「ふっ。なるほどな。確かに、DランクがBランクに混じっていては足を引っ張って仕方がないだろうな」

「ああ。ロイの無能野郎を追放してせいせいした。メナスさんには期待しているよ」


 ユリウスがそうまとめ、顔合わせは無事に終了した。……ように思われたが。1人、顔面を蒼白にしている者がいた。


「つ、追放!? ロイ先輩を!?」


 弓士のシオンだ。髪の毛を肩ほどまでに伸ばしたセミロングの少女である。


「ああ。そういえば、やつを追放したとき、シオンは別件でいなかったか。何か問題でもあるか?」

「も、問題もなにも……。ロイ先輩の支援魔法がないと、相当厳しくなるんじゃ……」


 シオンがそう懸念を口にする。彼女は、ロイの支援魔法の強力さを正しく認識していた。


「貴様、俺を侮辱しているのか? Dランクごときの支援魔法士に、俺の支援魔法が劣るわけがないだろうが!」


 メナスがそう激高する。


「その通りですね。ロイは実に無能でした。Bランクのメナスさんが劣るわけがありません」

「然り!」


 ルフレ、ガレンがそう同意する。


「で、でも……」

「ええい! ゴチャゴチャと! 実際に体感してみればわかることだ! 行くぞ!」


 なおも心配しているシオンを余所に、ユリウスは強引にこの話題を打ち切る。彼らがシオンの言葉に耳を傾けていれば、また別の未来もあったのかもしれない。


 ユリウスたちは自信満々に、シオンは不安でいっぱいになりながら、隊商の護衛任務についた。

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