第2話 ひとりぼっち

 そのあと、サクラはすぐに雪の上にだらんとねそべりました。はあはあと、白い息が寒空にのぼっていきます。

 反対に空からも雪がふり、サクラの頭にも雪はつもります。

「あーあ、つまんない。」

 ここには誰もいません。もちろん、一緒に遊んでくれる友だちも。ある日突然、はなればなれになりました。どこへ行ったのだろうと、探しても探しても、見つかりませんでした。

 そこは見知らぬ土地でした。

 サクラは、冬景色に変わっていく山を、ぼんやりと眺めます。

(これからどうしよう。)

 そう考えている時でした。人間の子どもの声が聞こえました。サクラの耳がびくっとおびえます。

 人間はうさぎよりもずっと巨大で、他の動物たちと全くちがいます。そろそろと逃げだそうとしたサクラですが、ぴたっと立ち止まります。

 なにか聞こえます。なんでしょう。ふりかえっても誰もいません。

 また聞こえました。

 不思議な音です。とてもきれいで、笛の音のようにまっすぐサクラの耳に届きます。でもどこか、綿飴みたいにふわふわな音でした。

「どうしよう。」

 なぜだか気になります。

 でも、音のするのは、人の子の声がしたところからです。

「行ってみようかな。……少しだけ、のぞくだけなら。」

 自分にそう言い聞かせ、サクラは雪原の上を、かけだしました。

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