第2話 ひとりぼっち
そのあと、サクラはすぐに雪の上にだらんとねそべりました。はあはあと、白い息が寒空にのぼっていきます。
反対に空からも雪がふり、サクラの頭にも雪はつもります。
「あーあ、つまんない。」
ここには誰もいません。もちろん、一緒に遊んでくれる友だちも。ある日突然、はなればなれになりました。どこへ行ったのだろうと、探しても探しても、見つかりませんでした。
そこは見知らぬ土地でした。
サクラは、冬景色に変わっていく山を、ぼんやりと眺めます。
(これからどうしよう。)
そう考えている時でした。人間の子どもの声が聞こえました。サクラの耳がびくっとおびえます。
人間はうさぎよりもずっと巨大で、他の動物たちと全くちがいます。そろそろと逃げだそうとしたサクラですが、ぴたっと立ち止まります。
なにか聞こえます。なんでしょう。ふりかえっても誰もいません。
また聞こえました。
不思議な音です。とてもきれいで、笛の音のようにまっすぐサクラの耳に届きます。でもどこか、綿飴みたいにふわふわな音でした。
「どうしよう。」
なぜだか気になります。
でも、音のするのは、人の子の声がしたところからです。
「行ってみようかな。……少しだけ、のぞくだけなら。」
自分にそう言い聞かせ、サクラは雪原の上を、かけだしました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます