日向ぼっこ

朝晩とすっかり肌寒くなってきた。


太陽が昇り、庭のそこかしかを照らし出した頃、


ゆっくりと身体を伸ばしながら、夜の間に冷えてしまった身体を暖めてゆく。


…あぁ、生き返る…


そんな事を考えながら、まったりと秋の日差しを満喫していた。






『!☆*#€→○×:!』






突然、何やら絶叫が響いた。


何事かと目線を上げると、叫び声の主と目が合った。


…あ、あー。これは、ワタシ、ジャマ?


相手も何やら考えているらしいが、おそらくワタシはジャマなのだろう。


…この陽だまり、とっても気持ちいいのになぁ…


後ろ髪を引かれる思いで、のそりとその場を後にする。




**********




秋分を少しすぎ、朝晩とすっかり肌寒くなってきた。


田んぼの稲もすっかり首を垂れ、収穫されるのを待っている。


倉庫のシャッターを開け、農機具を乗せる為トラックの方へ歩き出す。


足元に黒いビニール紐が落ちているのが目に入る。


(まぁた、こんな所に置きっぱなしにして)


などと思いながら、少し先にも同じ様な黒いヒモに目を留める。


(…ん?紐じゃない??)


『っ!うわぁ‼︎』


何かと目が合った。


(吃驚したけど、多分向こうがもっと吃驚してるはず!日向ぼっこのジャマして申し訳ない!でも、そこに横たわっていられるとジャマなんです!何もしないので、自主的に移動して下さい‼︎)


などと思っていると、目の前に横たわっている主は、のそりと頭の向きを変え、植木鉢の間に姿を消していった。


(マムシでも、ヤマカガシでもなかったから、まぁ大丈夫よね?)




さて、今日から稲刈りシーズンの開始だ。

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