GAME鳳!

風凪漆黒

第1話 はじめましてGAME鳳!

今日本ではゲームがとても熱い。

いろいろなゲーム大会があちこち開催されるようになった。

そして、日が経つにつれて、ゲーマーは増えていき、現在ではゲーマーになる事が難しいという時代になってきた。






この物語は日本一のゲーマーになるための青春物語。









『日本ゲーム大会チャンピオン優勝は・・・西音選手!』

その時、テレビを見ていた俺は憧れを抱いた。








桜の花びらが舞い散る入学式の日。

俺は桜ヶ丘高校に入学した。

実はこの学校、ゲーム部が・・・廃部してしまった。

あー、最悪だ。

でも、俺はここで諦めたりはしない。ゲーム部を作ってみせる!いや、作る!

ということで、

「絵里やるぞ。」

隣にいる絵里に言った。

「いきなりなに。翔也。」

「なにってなんだ。ゲーム部を作るんだ。言っただろ。俺はゲームで世界に行くと。」

翔也は腕を組んで格好つけて言った。

「忘れたのか。昔テレビで西音選手のゲームを一緒に見たのを。」

「あ、はいはい。しっかり脳に刻まれています。」

若干呆れた感じで言った。

「忘れるわけないじゃない。」

絵里はボソッと言った。

「なんか言ったか?」

「え、は、なにも。ってかはやくしないと入学式始まる。」

2人は急いで校舎に入った。


「部活設立の申請書出しにいかなきゃでしょ?」

教室で帰る準備をしながら話していた。

「もちろん行くさ!」

申請書に2人の名前を書いた紙を持って職員室に行った。

「「失礼します。」」

挨拶をして職員室に入っていく。

「先生、部活を設立しようと思って。」

絵里が申請書を見せた。

「あー、ゲーム部ね。あと1人だな。」

「あと1人?」

翔也は言った。

「この学校、部活を設立したい時は3人部員が必要なんだよ。」

「あ、そうですか。ありがとうございます。」

「ありがとうございます。」

2人は職員室を出ようとしたら、

「あ、そういえばさっきもゲーム部作りたいって人が1人で来たな。その人を入れてみたら?」

と言った。

「ほんとですか?」

翔也が言った。

「たしか名前が・・・」



「西園寺琴音です。」

教室でさっき先生が言った人に会った。

可愛い。めっちゃ可愛い。そういう顔していた翔也はふと思った。

「ちょっ、ちょっ、まっ」

なにか言っている翔也に絵里が

「な、なに。」

と言った。

「も、もしかして、西音選手ですか?」

「え?」

翔也と絵里は琴音の顔を見る。

「い、一応ね。」

「すげー!」

翔也が興奮していると、

「え?マジ?」

と絵里はびっくりしている。

「あ、あのすみません、このこと秘密にしてもらえませんか?」

「えー言えばいいのに。」

と絵里が言うと、

「広まったら、なんていうか、恥ずかしいので・・・」

琴音が可愛い表情で顔を真っ赤にしながら言った。

「あ、そうだ!西音選手、ここにサインを。」

翔也は机に部活設立の申請書を出した。

「あ、そうでしたね。」

そう言うと琴音は名前を書いた。

「あ、あと西音選手じゃなくて琴音でお願いします。西音選手って言われると恥ずかしいので・・・」

これまた可愛い表情で顔を真っ赤にしている。

「それでは西園寺よろしくな!」

翔也は言うと

「琴音よろしくね。」

絵里も言った。

「はい!よろしくお願いします!」

外から入ってくる風が琴音の髪をなびかせ、これまたまた可愛い表情。


「はい、OKです。」

今ゲーム部の設立が許可された。

「部室は3階の1番奥の教室を使って。」

先生にそう言われ、3人は・・・


「おい、嘘だろ」

翔也が見ている光景は

「なにこれ」

絵里が見ている光景は

「す、すごいですね」

琴音が見ている光景は


「この部室汚ッ。」

3人が見ている光景は長年使われていなかったであろう教室。普通の教室の半分くらいの広さぐらい。

たくさんのゴミ、ほこり、ガラクタなどなど。

「嘘でしょー。」

絵里がしょんぼりしていると、

「それじゃ、結局は掃除しなきゃいけないのでやりましょ!」

琴音は元気に言った。

「あー、西園寺の言う通りだぞ絵里。」

翔也が言うと、絵里は『ぷくー』とほっぺを膨らませていた。

「よっし、まずこのガラクタだな。」

部屋の半分は埋め尽くされているであろうガラクタがたくさんある。

「翔也、これはいる?」

と絵里は聞いた。

「なんだそれ。」

「私もよくわからない。」

「じゃ聞くな。」

掃除をしながら会話している。

ある程度ガラクタは片付いた。

「それじゃ私このゴミ袋捨ててきますね。」

琴音が言うと

「頼んだ西園寺」

「ありがとう琴音」

2人はお礼を言った。

それからは翔也、絵里、琴音の3人で順調に掃除は進んだ。

「ふー、終わったー。」

「やっと、終わったね。」

「終わりましたね。」

3人は同じことを言った。

「それじゃこのゴミ袋持っていくか。」

6袋ゴミ袋がおいてある。

「それじゃ、俺は4つ持っていくから、2人は1つずつ持っていってくれ。」

「いいの?2つずつじゃなくて。」

「いいんですか?」

2人の心配した言葉。

6袋おいてあるゴミ袋がある。このゴミ袋は見るからに重そうなのが4つある。この4つを可愛い女子に持たせるわけにはいかない。そう考えた翔也は

「いいぜ。」

まぁ好感度上がるからな。あ、もう1つの理由が「きゃー、翔也カッコイイ」とか「翔也さんイケメンです」とか男子には嬉しすぎる褒め言葉が返ってくるかもしれないからだ。

「翔也ありがとう。」

「翔也さんありがとうございます。」

と返事が返ってきた。

あれ?なにか違う。いや別に「ありがとう」って言われたのは嬉しい。でも想像してたのと違う返事が返ってきてしまった。まあいいか。

3人はゴミ収集所を目指した。

「ところで翔也さんと絵里さんって付き合ってたりします?」

琴音はいきなり変なことを聞いてきた。

突然のことで絵里は

「え、ちょま、つ、付き合ってない。」

絵里はだんだん声が小さくなっていった。

「なに、付き合ってるわけないだろう。」

翔也は冷静に言った。

「そうなんですか?!てっきり付き合ってるのかと思いました。」

琴音は言って、翔也と絵里が見てないこと確認したら、背中に手をやり、隠れてガッツポーズをした。

「ただの幼なじみなだけよ。」

「そうだ。幼なじみなだけだ。」

そう幼なじみ。


私の母親と翔也の母親は同級生で私の父親と翔也の父親も同級生とちょっとした奇跡が起きた。

私の家と翔也の家は隣同士だったためよく遊んでいた。

あれは、6年前。まだ2人が5年生の時。

たまたまついていたテレビがゲーム大会の番組だった。私と翔也はテレビを見ていた。

『西音選手の入場です。最年少にして無敗の子。』

『いよいよ決勝戦が始まります。元日本ゲーム大会チャンピオンかそれとも初出場で最年少の無敗の子どちらが勝つのか。』

『それではレディーファイト!』

この掛け声と同時にバトルが始まった。

私と翔也はテレビをじっと見ている。

あのゲームはたしか「GB」と呼ばれるゲーム。ルールは5分以内にどれだけ銃で倒せたかを競うゲーム。マップはミニマップで行われる。

『西音選手1キル、2キル、3キル、4キル!すごい、西音選手元日本ゲーム大会チャンピオンをここまでにするとは!』

『負けてられないな。』

西音選手の相手も本気を出てきた。

そして、その大会は進んでいった。

結果は

『西音選手55キル、元日本ゲーム大会チャンピオン11キル。』

『日本ゲーム大会チャンピオン優勝は・・・西音選手!』

この時西音選手は日本ゲーム大会のある快挙を達成していた。それが、


日本ゲーム大会史上初44キル差という圧倒的な差。


この快挙で西音選手の注目は急上昇。

西音選手は一躍時の人となり、雑誌、テレビなどたくさんの出演オファーがきた。

私と翔也はキラキラした目で見ていた。

「俺、ゲーム大会に出て優勝する!」

「私も!」

これが私と翔也の夢。

まだあの時のことは1ミリも忘れていない。忘れるはずがない。



3人は部屋を綺麗に掃除して、部室はピカピカになった。ホコリがないと言っていいぐらいに。

「ここからだ。ゲーム部。」

「うん、ここから。」

「はい!」

「行くぞ!ゲーム部目標は日本ゲーム大会優勝!」

翔也が言うと、

「ん?」

絵里がなにかを思いついたように言った。

「なんだ、絵里?」

「いや、琴音はもう優勝してるなぁーと思って。」

「たしかにそうですね。それじゃ、私はゲーム部としての大会優勝と言うことで。」

琴音はそう言うと、翔也は手を前に出した。絵里と琴音も一緒に手を前に出した。

「改めて、ゲーム部の目標である日本ゲーム大会優勝を目指して!」

「「「えい、えい、おー!」」」

3人は廊下中まで届くぐらいの声で叫んだ。


「はーい、皆さんこっち見てくださーい。」

翔也は部室の真ん中に絵里と琴音を集めた。

「なに?」

「なんですか?」

翔也の口から出た言葉が

「ゲーム部やめます!」

だった。

「は?なにいってんの?どっかで頭打った?それともバカ?」

「どうしたんですか?なにか変な物食べました?」

絵里と琴音はいきなりすぎて翔也がおかしくなったと思っていた。

「はい、そこ!頭打ってないし、俺はバカじゃないし、変な物は食べてない。」

翔也は全部否定してから説明した。

「ゲーム部という名前を変える!」

「何にするの?」

絵里が言うと、翔也はペンを持ちホワイトボードに[GAME鳳!]と書いた。

「・・・」

「・・・いいと思います。」

「おい、なんで黙る。西園寺はなぜ間があった?」

「いや、漢字が読めない。」

絵里はGAME鳳!の「鳳」が読めなかった。

「なるほど。この漢字は[ぶ]と読む。[鳳]の意味は大きな鳥という意味がある。そう、鳳凰のように大きな鳥。」

「ん?鳳凰からきたの?」

「そうだ!」

翔也は元気よく言った。

「めっちゃいいじゃないですか!かっこいい!」

とてもキラキラした目で言った。

「西園寺・・・分かってくれて嬉しいぞ!」

「これにしましょう。」

琴音が言うと、

「まぁ、いいと思うよ。」

絵里もOKを出してくれた。

「よし!今日からGAME鳳!だッ!」

また新たな第一歩を踏み出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

GAME鳳! 風凪漆黒 @meaty

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る