第9章 出航 1

 シーはかぶさっては遠のく波に足を洗われていた。

 いつものように髪は海風に流されていない。不器用に首筋あたりで切られた毛が、そよ風にこころもとなく揺れる。その髪に、純白の真珠が月光にまばゆいていた。

 空は明るい。星々と大きな満月によって、海が天の川みたいに、たくさんの光をためていた。

 シーの青い瞳も明るく、水が光を反射するように、輝いている。ずっとずっと明るかった。まるで強い意志をもっているかのように、強くて、神々しい光だった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る