第105話 ネコ草を探しに北東の森へ

 今日は朝からお弁当を作っている。おにぎりと唐揚げ、卵焼きと定番メニューを作ってお皿に盛り付けたらアイテムボックスに仕舞っておく。


 今日は王都から北東にある森に行くから、ちょっとピクニック気分でご飯を食べる予定だ。準備が出来たらヴァイスとアルちゃんと一緒に北門へ向かう。

 北門で手続きをして貰って外に出たら、移動ボードに乗って北東の森を目指す。


「ネコ草ってどこら辺に生えるんだろうね~」


『湖の側にあると思うぞ。水が綺麗な所に生えるからな』


「わわっ、そうなんだ!」


「きゅっ!」


 アルちゃんもヴァイスもそう教えてくれたので、森の中の水のある辺りを探してみよう。森に到着してからも、上を飛んで探してみよう。

 王都を出てから2時間くらい飛んでいると、やっと湖を見つけた。降りたら鑑定スキルを発動させてネコ草を探していく。

 湖の側には色々な花が咲いている。鑑定スキルでネコ草を探しているけれど、なかなか見つからない。これは探すの結構大変かもしれない。


「うーん、なかなかないね」


「きゅっ!」


 アルちゃんがぼくに任せてって言ってるみたいだ。様子を見ていると、ポットを地面に降ろしたアルちゃんは、手の根っこを伸ばして地面の中に潜らせていく。


「アルちゃん、凄い!」


「きゅ~……きゅっ!」


 少しすると何かを見つけたみたいだ。アルちゃんについて歩いて行くと、沢山の花が咲いている場所に出た。でも、その花が何かおかしい。花の上にネコミミが見える。


「ネコ草じゃなくてネコミミ草?」


『うむ。花にネコミミが生えているみたいであろう』


「うん、ちょっとお花がネコになってて可愛い」


 なんか採取するのが可愛そうな気がして来た。でも、みんなのネコミミカゼを治すには必要なんだよね~。私もごっつい方達のネコミミは見るのは遠慮したいので、採取させて貰おう。

 ネコ草を鑑定してみると、花の部分だけ必要みたいだ。採取用ナイフを取り出して採取していこう。


「ニャー」


「……鳴いた。うわぁ、いけない事をしている気分だよぉ」


 あまりにも可愛い鳴き声で採取する手が震える。可愛すぎて採取が辛い。ネコ草を持つ手が震えるくらい。


「うぅ、可哀そうで採取が辛い」


「きゅきゅーっ!」


 アルちゃんが伸ばした根っこで次々に採取してくれる。その度にニャーニャーと声が上がっている。


「ア、アルちゃん、もう大丈夫だと思うの。ありがとうね」


「きゅっ!」


 ネコ草を省略すれば良いから、念のための数本あれば良いだろうからね。結局10本ほど採取したかな。ネコ草ごめんね。


「アルちゃんのお陰で採取が終わったから、この綺麗な湖の側でお昼ごはんにしようか」


『そいつは良いな!』


「きゅ~」


 アルちゃんには栄養剤とお湯を足してあげる。ヴァイスと私には今朝作ったお弁当だ。やっぱりお外でピクニックだと楽しみはお弁当だよね! ちゃんと景色も楽しんではいるんだよ?


『今日のおにぎりも旨いな。ちょっとぴりっと辛くて、我はこれが好きだぞ』


「今日はちょっと辛めの肉みそを入れてみたよ。ピリ辛美味しいよね~」


『うむ。お代わりだ!』


「はい、どうぞ。やっぱりお外で食べるご飯は美味しいね~」


 ついつい食べ進んじゃって、ちょっと食べ過ぎた気がする。少しのんびりとピクニックしてから、王都に帰ろうかな。早くポーションを作ってあげないと出しね。


「しかし、残念だなぁ」


「きゅ?」


『何がだ?』


「私もネコ耳ネコしっぽになってみたかったなぁ」


『我はいらん』


「ヴァイスにも? っぷくく……いたっ」


『ふんっ』


 だって、ヴァイスが自分で言ったんだよ!? ヴァイスにネコ耳ネコしっぽがついたら……ドラゴンとネコしっぽの2本!?

 ドラゴンにネコ耳……意外とシュールっぽい気がするけど、それはそれでちょっと見てみたいな。そんなことを考えていたら、ヴァイスにジト目で見つめられていた。もちろんしっぽ攻撃も受けました、痛い。


 移動ボードを取り出してお店に帰ろう。移動ボードに座って、ヴァイスとアルちゃんも一緒に並んで飛んでいる。3人で並んで飛んでいるのはなんだか楽しいね。


 お店に帰ったら、早速錬金部屋へ向かう。ネコミミカゼ用のポーションは、ネコ草の花と治癒草、蒸留水で作れるんだそう。

 ネコ草の花は花びらだけを取って錬金釜に入れる。治癒草は根っこまで刻んで錬金釜へぽいっ。後は蒸留水を入れて、錬金釜の蓋を閉めて魔力を流す。


 3分くらい待つとチーン! とレンジの音がして完成した。蓋を開けて鑑定してみると、ネコポーションと書いてある。ネコミミカゼ用のポーションと書いてあるから成功したね。


「ネコポーション……こっちの方がネコ耳生えそうだよね」


『確かに名前だけならそうだな』


「きゅっ」


 今は6個省略出来るから、そのままパタンと蓋を閉める。まずは蒸留水を作って、もう一度蓋の上の魔石に魔力を流すとチーン! とネコポーションが完成した。

 何本まで一気に出来るか試してみようかな。まずは10本!


 チーン!


 余裕だよね。100本だとどうだろう? 蓋を閉めて魔力を流すと蒸留水、蒸留水からネコポーションとすぐに完成した。蓋を開けると大量のネコポーションが入っている。


「おぉ、100本でも一気に作れたよ」


『それ以上でも行けそうだがな』


「錬金釜から溢れそうだよね」


『だが、大きい物でも入ってないか?』


「あっ、確かに。なら500本でいってみよーっ!」


 結果、何本でも作れました。錬金釜の性能凄すぎます。確かに大きい物を作る時に、不思議な入り方するもんね。

 多すぎてきちんと作れないと困るので、1000本ずつ作る事にした。それだけでも大分楽だよね~。他の街の人達の分も作って、明日は王城へ届けに行こうかな。


 さすがに全部の街の分だと夜まで掛かった。多めに作ったっていうのもあるけれど、一瞬で作れる割に地味~に時間が掛かるんだよね。


 お夕飯は簡単に種を蒔いて終わらせちゃおう。何の種にしようかなぁ。


「ヴァイス。今日のお夕飯は簡単に種にしちゃおうと思うんだけど、何が食べたい?」


『そうだな。我は丼物がいいぞ』


「うん、分かったよ~。かつ丼にしようかな」


 かつ丼とお味噌汁の種を蒔いて、その間にお茶を入れよう。後はさっぱりとサラダにしよう。作っている間にカツ丼とお味噌汁が出来たので、食べよう。


「相変わらず種から実るのに美味しいよね~」


『そうだな。やっぱりカツ丼は旨いな』


 アルちゃんにはお湯と栄養剤を入れてあげる。アルちゃんのお湯も大分溜まっているけれど、何かに使えると良いんだけどな~。


 さすがに今日は疲れたので、ヴァイスのもふもふに癒されていたらすぐに寝てしまった。

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