第104話 錬金包丁の完成!
今日は、帰る前にギードさんのお店に寄ってから帰ろう。ヴァイスと一緒に宿で朝ごはんを食べたら、ギードさんのお店に向かう。
「ギードさん、おはようございます」
「おう、おはよう。みんな酒が手に入って喜んでたぞ、ありがとうな」
「お役に立てて良かったです」
『うむ。足りなくなったらまた言うと良い。いくらでも持って来てやるぞ』
「そいつは嬉しいな!」
ギードさんから包丁を貰った。これがとても素敵な包丁でとても嬉しくなった。あんなに飲んでいたのに、まさか帰る前に出来るとは思わなかった。ドワーフ族凄い。
帰りもヴァイスに途中まで乗せて貰ったら、その後は移動ボードに乗って王都へ着いた。久しぶりに街の外にがっつり出たから、なんだかとっても楽しかった。
またお酒が収穫出来たら持って行ってあげなきゃね。あんなにお酒が喜ばれるなんて思わなかった。
ドワーフの街にお酒がなかったのは、寒い冬の時期に飲んだのと暖かくなってもまだお酒が届かなかったからだそうだ。
どれだけ飲んだんだろうね。街からお酒がなくなるって恐ろしい。しかもドラゴンのヴァイスと同じように飲んでるって、どっちの方が強いのだろうか?
「ねえ、ヴァイス。純粋な疑問なだけなんだけどね、ドワーフの皆さんとヴァイスどっちがお酒に強いかな?」
『我が負ける訳なかろう! ……多分な』
「うわぁ~……ヴァイスがそう言うってかなり凄いね」
『うむ。酒に関してはドワーフ族は桁違いだからな』
確かに96度のあのお酒ですら、どんどん減っていってたしね。ドワーフ族、恐ろしい。
明日は王城でお酒を収穫して来ないと、ヴァイスのお酒もほとんどドワーフの街で売っちゃったからね。ちゃんとアイテムボックスに補充しておかないと、またしっぽ攻撃をされてしまうわ!
そんな話をしていたらお店に着いた。
「アルちゃん、ただいまーっ!!」
『アル、帰ったぞ』
「きゅきゅーっ!!」
帰ってきた私達の周りをくるくるーっと回るアルちゃんがとっても可愛いです。ポットごとむぎゅむぎゅしてなでなでもしちゃいます。
「お留守番ありがとうね。お蔭でとっても楽しかったよ」
「きゅ~」
早速アルちゃんのポットにお湯と栄養剤を入れ直してあげると、今日も気持ちよさそうにしている。
帰って少しのんびりしたら、錬金包丁を作っちゃおう。ギードさんに作って貰ったとっても素敵な包丁を錬金包丁にしちゃうんだ~。
今は6個省略出来るから、1個だけ貼り付けて他の魔石は錬金釜に入れちゃおう。錬金釜に魔石を5個と1個貼り付けた包丁を入れると、ぽん! と錬金包丁に変わった。
「錬金包丁でーきたっ!」
『お、良いのが出来たな』
「うんっ! ギードさんの作った包丁なら一生使えると思って、錬金包丁にしちゃった」
『なるほどな』
せっかく錬金包丁が出来たので、今日の美味しそうな牛肉をうす~くスライスしてすき焼きにしよう!
ギードさんの包丁は凄く綺麗に薄く切る事が出来た。さすが包丁が良いと良く切れるね。次にまた薄く切ろうとしたら、ぽん! とお肉が全部薄切りになった。
「おぉ。錬金包丁素敵!」
『カノン、楽しそうだな』
「もう、とっても!」
『だが、それはギードに作って貰わなくても良かったんじゃないのか?』
「いやいや。一生使えるんだよ? 良い包丁で作りたいじゃない!」
どの食材も2回目に切るとすぐに準備が終わってしまう。これは結構楽しい。しかもお料理によっては、このまま包丁で切っただけで作れちゃいそうな気がする。
数週間経った頃、騎士団のユリウス様とテオドール様がお店にやってきた。ただ、あまりの衝撃に手に持っていたポーションを落として割ってしまった。
「カノン様、お怪我はございませんか?」
「あ、えと……だ、大丈夫、です」
だって、騎士団のトップであるユリウス様の頭にネコ耳が付いてるんだよ? しかもしっぽまで見える。私に対する試練なの!?
「ユ、ユリウス様。そのネコ耳は聞いても良い、のですか?」
「ああ、この事で相談があってきたんですにゃん」
思わずごほごほとせき込んでしまった。
「そう、なのですね」
あまりの衝撃にあんまり頭に入らない感じだけど、頑張って聞いてみよう。
『カノン。それはネコミミカゼという病気だ』
「えっ、病気なの!?」
ネコミミカゼは数年に一度流行るらしい。ネコミミとネコしっぽが生える、語尾ににゃんが付く事以外、特に問題はないらしい。ただ、このままネコになってしまうのではと心配になるくらいだそう。
ただ、いつもは黒ネコらしいのだけど、今回はトラネコだね。うん、可愛い。
2週間くらいで突然消えて治るんだって。
「でも、他の症状がないなら問題ないんじゃないですか? むしろ私もなってみたい」
『おいっ!』
「えへっ。だってネコ耳ネコしっぽって可愛いじゃない!」
「カノン様。でしたら冒険者ギルドを覗いてみますにゃん?」
「えっ? はい」
ユリウス様達と冒険者ギルドに向かって、中に入ってみる。
「うわぁ……お薬作りましょう」
「……そうですにゃん」
ユリウス様もテオドール様もイケメンなので、猫耳が付いても全然問題ないんですよ。逆にもえもえしちゃいます。語尾のにゃんも可愛いですよ?
だけど、ガタイの良い冒険者やおじさん達についているのは遠慮したいです。しかもにゃんって言ってたし……。ネコ耳って誰についても可愛いのかと思っていたら、全然違うみたいです。
げんなりしながらお店に戻ってきました。とりあえずお薬について話をしようかな。
「あの、エリクサーで治るんですか?」
「治るのですが、抗体が出来なくてまた掛かりますにゃん」
「うぇ。それは困りますね」
「なので、王都から北東の森にあるネコ草という草から作られるポーションが必要なんですにゃん。カノン様なら数を準備出来ると思うので、お願い出来ますかにゃん?」
「分かりました。取ってきて作りますね。そのポーションなら抗体が出来るんですか?」
「そうですにゃん。抗体が出来れば5年くらい掛からないはずなんですにゃん」
ユリウス様達が一礼して帰って行った。帰っていく後ろ姿を見てニマニマしちゃったのは、彼等には内緒です。だって、あのイケメン2人のネコミミネコしっぽ可愛かったんだもん。
しかも、ちゃんとしっぽがゆらゆら揺れたり、ネコ耳もぴこぴこって動くんだよ!
とりあえず、外にいるレオナ達に言って、明日はお休みをしてネコ草を探しに行こう。ネコ草ってどんなのだろう?
「ヴァイス。ネコ草ってどんな物か知ってる?」
『うむ。ネコ草は採取するときにニャーって鳴くぞ』
「えっ、そうなの!? それ、取っちゃって大丈夫なの?」
「きゅっ!」
ヴァイスの代わりにアルちゃんが大丈夫! って返事をしてくれたみたいだ。同じ植物だもんね。
「とりあえず、明日はネコ草を探しに行くよ~」
『うむ』
「きゅきゅーっ!」
明日は森に採取なので、アルちゃんも一緒に行くみたいだ。やっぱり3人で出かけられると、ピクニックみたいで嬉しいね。
レオナ達に聞いてみたら、孤児院でもネコミミカゼが流行ってきているみたいだ。まだレオナ達に発症していなかったから全然気が付かなかったよ。
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