第66話 トランポリンが出来た!?
今日もお店の準備をしてから、屋台の準備を始める。屋台の準備をしたら、ひえひえ扇風機を下に置いて試してみる。
足元から涼しい風が吹いてとても気持ちがいい。だけど、冷えすぎにしちゃうとやっぱり寒い。
「「カノンおねぇちゃん!」」
「おはよう。今日はレオナとビアンカの番なんだね~」
「うんっ」
ビアンカはレオナより4歳年上の14歳だ。ビアンカは茶色い髪に赤い目の大人しい女の子だ。孤児院では小さい子達の面倒をよく見ていて、とても慕われているみたい。
「今日はお水を汲まなくてもこの製氷機の上に手を置いたら、お水を入れなくても氷になるからね」
「カノンおねぇちゃん凄いね!」
「それと、今日も暑いからここに扇風機を置いたからね。ここのスイッチでもっと冷たい風が出るようにも出来るから調節してね」
「カノンおねぇちゃん、すごく涼しいです」
「涼しくて気持ちいいですっ!」
2人ともびっくりしているけれど、これで倒れたりしないでお店が出来るかな。後は飲み物も置いておこう。
準備が出来たら開店しよう。今日も暑くなりそうだから、ひえひえ扇風機を作っておいて良かったね。寒い時期には暖かい風が出るのを作ろう。
お店を開店させてしばらくすると、ヘルミーナが来た。今日も外でかき氷を食べてから入ってきた。
「ヘルミーナ、いらっしゃい」
「カノン、やっぱりかき氷美味しいねぇ。それと屋台の近くが涼しかったんだけど、どうして?」
「あぁ、冷たい風が出る魔道具置いてるのよ」
「えっ、そんなのあるの!?」
「うん、子供達が心配だし作ってみたんだよね~」
「小さくして持ち運びが出来るようにして~!」
「あっ、それは良いかもしれないね!」
「これからの時期は依頼を受けるのもしんどいのよね」
「あっ、それだったら外の気温を遮るリングがあるよ。試しに付けてみたら?」
ヘルミーナに緑の魔石を付けた体の周りに膜を作って気温を一定に保つリングを渡して試しに付けて貰う。
「それを付けて外に出てみなよ。後は屋台の中に冷たい風が出る魔道具があるから、その前に行ってみたら分かりやすいかな」
「うん、ちょっと行ってくるっ!」
ヘルミーナはリングを付けて外に出て行った。ウロウロしてから凄く良い笑顔で戻ってきた。
「カノンっ、これちょうだいっ! これいいよっ!!」
「ふふっ、喜んで貰えて良かったよ~」
ヘルミーナはウェストポーチとリングを買ってご機嫌で帰っていった。確かにこんなに暑いと身体の周りに膜を張って気温を遮断できるのはとても嬉しいよね。日本にいた時みたいにエアコンがどこにでもある訳ではないもんね。
そろそろお昼だから、お店を閉めてからお昼ごはんを準備しよう。今日はピザとポテトにしちゃおうかな。ピザの実の種とポテトの実の種を2つずつ植えたら2人を呼んで来よう。今日もヴァイスには2人と一緒に食べて貰おう。
「2人ともお疲れ様。お昼ごはんをゆっくり食べておいで」
「カノンおねぇちゃん、ありがとう!」
「えと、本当に良いんですか?」
「うん、もちろんだよ。ビアンカもゆっくり食べておいでね」
「はい、ありがとうございます」
ヴァイスに2人に食べ方を教えてあげてねと伝えて見送る。私は2人と交代して屋台に入る。足元から涼しい風が吹いてとても気持ちが良い。冷えすぎにしなくても十分涼しいね。
たまに来るお客様にかき氷を作っていると、レオナ達が戻ってきた。
「カノンおねぇちゃん! あのピザとポテトすっごく美味しかったよっ!」
「チーズがトロリとしてとても美味しかったですっ!!」
「ふふっ、美味しく食べてくれて良かったよ」
ピザとポテトは美味しいよね。とっても気に入ってくれたみたいで私も嬉しい。また2人にジュースを出してからお店に入る。
午後の屋台もちょこちょこお客様が来てくれて忙しそうにしている。ビアンカは少し大人しめの性格をしているけれど、楽しそうに過ごしているみたいでちょっと安心した。
「カノン。かき氷旨かったぞ!」
「ゲルトさん、いらっしゃいませ。ありがとうございます」
「この前のピザとポテトの実すっごく旨かったぞ! 熱々でチーズがトロリとしてあっという間に食べちまったぜ」
「気に入って貰えて良かったです!」
「今日はピザとポテトの実の種を5個ずつ貰えるか?」
「ふふっ、ありがとうございます」
ゲルトさんはカウンターの近くに置いてあるリュックが気になったみたいで見始めた。
「カノン、これはアイテムバッグか?」
「そうですよ。荷馬車1台分くらい入りますよ」
「それは良いな。これいくらだ?」
「金貨1枚と銀貨5枚です」
「ふむ。じゃあ、これも一緒に頼むわ」
「ありがとうございます」
値段を伝えると、ゲルトさんはすぐに購入してくれた。やっぱりアイテムバッグは助かるよね。ドロップ品を入れるのも、持って歩く物が減るのはそれだけ安全に気が配れるようになるのだろう。
「これは良いな。アイテムバッグはなかなか出て来ないから助かるよ」
「良かったです」
ゲルトさんはアイテムバッグとピザとポテトの実の種を買って、ほくほく顔で帰って行った。本当に気に入ったんだね。
夕方になり屋台もお店も閉めて、今日も2人を送ってきた。今日も大分収入があったので2人はとても嬉しそうだった。
『今日も楽しそうで良かったな』
「うん、そうだね。昨日よりも少し多く売れたみたいだし、孤児院の食生活も改善されるようになると良いね」
『そうだな。それで今日は何を作るんだ?』
アイテムボックスの中身を確認しながら何を作るかを考えよう。そういえば、シルクスパイダーの糸なんてあったな。
1個取り出して確認してみると、柔軟性があって強力と書いてある。これはもしかしてハンモックを作れる!?
「よし、ハンモックを作ろう~!」
『はんもっくとはなんだ?』
「試しに作ってみるから待っててね」
錬金釜にシルクスパイダーの糸を3個入れて錬金釜の蓋を閉めて魔力を流してみよう。
チーン!
「あっ、出来たかな?」
錬金釜の蓋を開けてみると、シルクスパイダーの糸が網になっている。鑑定してみると、弾力のある網と書いてある。ハンモックじゃないのかな。
ミスリルを錬金釜に入れて、蓋を閉めて魔力を流す。今度はハンモックを吊るす台を作ろう。チーン! とレンジのような音がなり、ハンモックの台が出来上がった。
空いている所に台を置いてハンモックを吊るしてみる。
『カノン、これがハンモックか?』
「う、うん、多分?」
『多分なのか!?』
「弾力のある網って書いてあったんだよね~」
『なるほどな。試しに乗ってみて良いか?』
「うん。でも気を付けてね」
ヴァイスがハンモックもどきに乗ってみると、ぽよん! と跳ねあがった。
「ええぇぇっ!?」
『おわっ!?』
パタパタと飛んで落ちるのを回避したヴァイスにちょっとホッとした。
「なんかすごい飛んだね」
『そうだな。でもちょっと面白かったな』
ぽよんぽよんと跳ねだしたヴァイス。うん、可愛い!
「トランポリン?」
『なんだそれは?』
「そうやって跳ねる遊びがあるんだよ。これ孤児院に設置したら遊べそうだね」
『それは良さそうだな』
でも、孤児院の子供達を遊ばせるにはこのままでは危なすぎる。外側に落ちないように網を張って、硬いパイプ部分にも当たらないようにしよう。四角い枠の内側に全体を網で覆ったトランポリンを作ろう。1か所入れるようにして入口を作ろう。
もう一度錬金釜に全部入れて魔力を流すと、思ったようなトランポリンが出来上がった。ヴァイスに見せると、早速中に入りぽよんぽよん遊んでいる。
「ヴァイス、これならどうかな?」
『これは良いぞ。落ちる心配などもないから子供達にも遊べるだろう』
「それにトランポリンが体幹を鍛えるのに良いんだよね」
『そいつは良いな』
定休日になったら持って行こう。
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