第50話 錬金マドラーの完成!

 今日は朝ご飯を3人で食べたら、ヴァイスを肩に乗せて市場へ行こう。この王都にも朝市があるので、今日はそこと食材屋さんへ行く予定だ。


 レンガ作りの街並みに朝市のテントが出ていて、見ているだけで元気が出てくる感じだ。色々なお野菜も買い込んでアイテムボックスに仕舞っておく。

 今日はトマトが色々な種類出ていた。やっぱり暑くなってきたからか、とても美味しそうだ。


 沢山の種類のトマトを見ていたら、ピザが食べたくなってきた。トマトソースを作ってピザを作ろうかなぁ。きっと師匠もヴァイスも好きだよね。


 ピザの種も作っておこうかな。後はピザにはやっぱりポテトだよね! 厚切りポテトにカリカリポテト、ハッシュドポテトも捨てがたい。


『カノン、我も食べたいぞ!』


「えっ!?」


『何か旨い物を考えていたであろう?』


「えっ、ばれてる!」


『当たり前だ。我にも食べさせるが良いぞ』


「ふふっ、今度作るね。きっと師匠もヴァイスも気に入ると思うんだ」


『楽しみにしている』


 ヴァイスのしっぽがご機嫌に揺れている。ピザの生地も錬金術を使ったらすぐに出来るしね。日本にいた時よりも簡単にお料理が作れちゃうのがとっても嬉しいね。

 他にもお野菜を色々買い込んで、食材屋さんで小麦粉やバターなど良く使う物も沢山買い込んでおいた。沢山買えたので、そろそろお店に帰ろう。


 お店に戻ると、錬金部屋へ向かう。まずは錬金マドラーを作ろう。まずは緑、白、黒の魔石(大)を貼り付けよう。椅子に座り落ち着いて少しずつ貼り付けていく。

 1時間くらいで貼り付け終わったら、魔力回復アイスティーを飲みながら次の準備をしよう。今日はこのまま錬金マドラーを仕上げちゃうつもりなんだよね。


 魔力がある程度回復したら、錬金釜に魔石を貼り付けたマドラーを入れて蓋を閉める。椅子に座り落ち着いてから魔力を流していく。


「やっぱり錬金道具は魔力がきついね」


『我がいるから問題ないぞ。いくらでも使えばいいぞ』


「ふふっ、ありがとうね。錬金マドラーが出来たら、アイスティーを作ろうね!」


『そうだな。楽しみにしているぞ!』


 魔力を流して2時間弱でなんとか終わった。前回の錬金お玉が2時間半くらいだったから、やっぱり錬金レベルが上がって楽になってきたんだろうなぁ。


 錬金釜の蓋を開けて鑑定してみると、錬金マドラーを書いてある。


「やった! 錬金マドラーのかーんせーっ!」


『やったな!』


「よし、早速使ってみよう~!」


 アイテムボックスからコップを取り出して、クリーン魔法を掛ける。


「このコップに錬金マドラーを入れまーすっ!」


 ぽふん!


「アイスティーの完成っ!」


『なんでだよっ!』


「えっ!? ヴァイスったら省略したんだもの。当然でしょう?」


『我がおかしいみたいな言い方をするなっ! マドラーで混ぜてないよな?』


「そうだねぇ。入れただけで出来たね~。なんてお手軽っ、なんて素敵っ! そして水出しアイスティーだね、これ。すっきりとして美味しい!」


 ヴァイスが疲れたように溜め息をついたけれど、私もちょっとはびっくりしたんだよ。カラカラと混ぜたら出来るかと思ったら、まさかの入れただけでアイスティーになるとは。温かい紅茶は混ぜ混ぜしたら出来ました!


 やっぱり錬金道具と錬金術(省略)スキルさんが楽しすぎる。この能力持っていて良かったなぁ、おかげで毎日幸せです。


 マドラーが出来たから、今度は建国祭の準備だね。今日は大量にアイスを作るぞ! 材料を錬金釜に入れるとぽふん! とボウルに入ったアイスが出来た。


『カノン、アイスか!』


「これは建国祭用ですよ~。味見は必要ありませ~ん」


 そういうとがーん! とショックを受けた顔をするヴァイス。ちょっと可哀そうになるけど、最近アイスを食べすぎだと思うんだよ?

 生チョコを1個お口にぽいっと入れてあげると、それだけでご機嫌になった。トッピングのチョコスプレーって作れるのだろうか?


 錬金釜にチョコを入れて蓋を閉めて魔力を流す。


 チーン!


 錬金釜の蓋を開けると、ガラスのボウルにチョコスプレーが沢山入っていた。


「おぉ、出来てる。さすが錬金釜さんと錬金術スキルさんです!」


『カノン。それは何だ?』


「これはチョコスプレーと言って、アイスに掛けたりお菓子に使ったりできるんだよ」


『アイスに?』


 キラーン! と目を光らせたヴァイスに、味見はなしだとは言えなかった。でもちょっとだけにしておこう。


「はい、どうぞ。ちょっとだけだよ?」


『もっと食べたいぞ!』


「だって、ヴァイス。そろそろ控えないと、太るよ? 丸々したヴァイスはちょっと見たくない……かな?」


『なっ!? わ、我は太ったりはせんぞ!』


「いやいや、だって最近このもふもふがまるっとした気がするよ?」


 そう言いながらヴァイスをもふもふなでなでと撫でまわす。はぁ、気持ちいい。


『な、なんだとっ!?』


 最近美味しい物沢山食べているからか、毛並みが凄く良くなっているんだよね。毎日すりすりして寝るのが幸せなのだよね。だけど、ちょっとボリュームが出た気がする? ブラッシングの必要がないこのもふもふがちょっと残念です。

 ブラッシングしてもっともふっもふのふわっふわにしたかった!


『そんな事はないぞっ! 我は小さくなっているだけだと言っているであろう!』


「そういえばそうだね。だったら大丈夫、なのかな?」


『大丈夫に決まっている!』


「いたたっ。ごめんごめん」


 結局ヴァイスのしっぽ攻撃を受ける事になった。でも沢山もふもふして幸せ気分なので、あんまり気にならない。

 でも、ちょっとしょんぼりしたヴァイスが可愛そうになったので、何かヘルシーなおやつを作ってあげないとかもしれないね。


 それなのにお昼にピザを作ろうとしているってダメじゃない!? いや、でもきっと好きだよね。


『我はもっと動くぞ! だからご飯もおやつも食べたいぞ!』


「ふふっ、分かったよ」


 もともとは大きいドラゴンのヴァイスだから、きっと問題はないのだろう。お詫びの気持ちも込めて美味しいピザを作ってあげよう。

 キッチンに移動してまずはトマトソースを作ろう。トマト、塩、砂糖をボウルに入れて錬金棒で混ぜるとトマトソースの出来上がり~。


 次は生地だね。小麦粉、ぬるま湯、酵母液、塩、砂糖、オイルを入れて錬金棒で混ぜる。これを錬金釜に入れて魔力を流すと生地が出来た。


 錬金釜に生地、トマトソース、ベーコン、玉ねぎ、チーズを入れて蓋を閉めて魔力を流す。


 チーン!


 錬金釜の蓋を開けると、熱々のピザが5枚出来た。全部アイテムボックスに仕舞ってからキッチンへ向かう。

 ポテトは作った事があるから、じゃがいもをボウルに入れて錬金棒を入れるとぽふん! とポテトの完成。


「カノン、今日は何だい?」


『カタリーナ、今日はピザと言う物らしいぞ!』


「ふふっ。今日はピザとポテトですよ~」


 最近師匠はお昼にお店を閉めて、お昼ごはんをのんびり食べている。温かい物は温かいうちに食べるのが美味しいもんね。

 師匠もヴァイスも食べるのが大好きなので、いつも2人仲良く食べているんだよね。


「ん! これは美味しいねぇ。ポテトとも相性がいい感じだねぇ」


『うむ。これは良いぞ!』


「ふふっ。2人とも絶対好きだと思ったんですよね~。これの種も作ろうと思うんだよね!」


『それは良いな! 我も賛成だ!』


「熱い物とか冷たい物も育てられたら良いのだけどね~」


「そうさねぇ。カノン、青か赤の魔石も入れてみたらどうだい?」


「えぇっ!? た、試してみますっ!」


 なんか素敵な事を聞いたので、夜に試してみよう。ピザが熱々で食べられるとか幸せだよね。アイスティーとかジュースも冷え冷えが飲みたいよね!

 そして、スープも熱々が欲しいですっ!!



 お店番もお夕飯も終わって夜になったので、いそいそと錬金部屋に向かう。よし、早速試してみましょう!


 錬金釜にアイスティーと黄の魔石(小)、青の魔石(小)、白の魔石(小)を入れる。これだといつものアイスティーが出来る。これに冷たくするための青の魔石(小)をもう1つ入れてみよう。


 錬金釜の蓋を閉めて魔力を流す。


 チーン!


 錬金釜の蓋を開けると種が出来ているので、鑑定してみる。ひえひえアイスティーの実の種と書いてある。


「あっ、ひえひえアイスティーの実の種って書いてあるよ!?」


『さすがカタリーナだな』


「本当に、さすが師匠だよね! これで熱々のスープとかピザが出来そうだね!」


 後は明日作ってみよう。種をコップに植えてからお片付けをしよう。きっとお片付けをしている間に実るはずだ。

 お片付けをして寝る準備をしてから戻ってみると、アイスティーが実っていた。そっと触ってみると、コップの外側まで冷え冷えになっている。


「んんっ、冷たくて美味しいっ!」


『うむ、これは良いな!』


 無事に冷たいアイスティーが実ったので、今日はこれくらいにして休もう。また明日はピザの実の種とかポテトの実の種を作ろう。

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