第41話 レッドドラゴン襲来?
今日はお店の定休日だ。今日はダンジョンへ行く予定はないけれど、何をしようかな。
「ヴァイス、今日は定休日だけど何をしようか?」
『そうだな。街を散歩して屋台でご飯を食べるか?』
「ふふっ、それは良いね!」
たまには屋台のご飯を食べるのも楽しいね。
「たまにはのんびりするのもいいさね」
「そうですね~」
ドンドンドンッ!
「わわっ、何でしょう?」
「お店の方さね」
ヴァイスを肩に乗せてキッチンからお店に行ってドアを開けると、冒険者ギルドのギルマスのバルトさんがいた。
あまりの慌てっぷりに何かあったんだと思うけれど、まずはアイスティーを出して息を整えて貰おう。
「すまん、ありがとう」
「一体どうしたんだい?」
「それが今、西の方から凄い勢いで赤いドラゴンがこちらに向かっているのを確認したらしいんだ!」
「ええぇっ!?」
『む。確かに来ておるな』
「えっ、大丈夫なの?」
『ふむ。カノン、少し付き合って貰えるか?』
「うん。会いに行くんだよね」
『ああ。あいつなら問題あるまい』
ヴァイスの知っているドラゴンなら問題なさそうだね。お茶の準備でもして持って行こうかな。
「すまん、カノン。頼んで良いか?」
「はい、大丈夫ですよ。行ってきますね」
「気を付けて行ってくるんだよ」
「戻ってきたら冒険者ギルドに報告に行きますね」
そういうと、お茶の準備をしてからヴァイスと一緒に王都を出てから、大きくなったヴァイスに乗せて貰って空に向かう。
ヴァイスが飛んでいる時に、どんな子が来ているのか聞いてみる。
「ねぇ、ヴァイス。今こっちに向かっているのはどんなドラゴンさんなの?」
『ああ、この前ランジェット王国に火山があると言ったであろう?』
「うん。火山もそのうち行きたいって言ってたんだよね」
『その山にいるレッドドラゴンだ』
「なるほど」
隣国から凄い勢いでレッドドラゴンが飛んで来ていたら、そりゃパニックにもなるよね。レッドドラゴンは火のブレスを吐くらしいので、色々な所が燃えると大惨事だ。
少しヴァイスが飛んだ所で、こちらに向かってくる赤いドラゴンが見えた。
「あっ、あれだね!」
『うむ』
ヴァイスが止まると、向こうもヴァイスの前で止まった。2階建てのお家よりも大きい赤いドラゴンは凄く恰好良い。
そして、恰好良い! とか思ったら、後ろを振り返ったヴァイスにジト目で見られた。だから顔を見てないのになんでわかるんだろう?
「ふふっ、ヴァイスが一番恰好良いよ!」
『当然だ!』
『白龍様~!!!』
「あっ、声聞こえるんだね」
『そうみたいだな』
このレッドドラゴンさんは、ヴァイスが移動していたから心配していたんだそう。街を転々としていたから、誰かに捕まったんじゃないかと気が気じゃなかったらしい。
「ヴァイス、どこかでお茶にしよう?」
『そうだな。少し移動するぞ!』
『はいっ!』
レッドドラゴン強そうなのに、ヴァイスを慕っているとても可愛いドラゴンみたいだね。近くの岩場の上に下りたら、2人とも小さくなった。レッドドラゴンも小さくなれるみたいでちょっとホッとしたよ。
お茶とマドレーヌとクッキーを出して、みんなでお茶にしよう。
『よし、みんなで食べるか!』
『ありがとうございます! カノン様、美味しいです!』
「カノンで良いですよ。なんだかドラゴンさん2人とお茶をするなんて、びっくりだね」
なんだか礼儀正しいドラゴンさんだ。ヴァイスが偉いからなのか、このレッドドラゴンさんが丁寧なのかよく分からないね。
『白龍様はこのまま王都に住むのですか?』
『ああ、カノンがいる間はな。それと我はヴァイスという名前があるから、それで呼ぶと良い』
『はいっ、ヴァイス様!』
しかし、小さいもふもふの白いドラゴンのヴァイスと小さいレッドドラゴン。凄く可愛いです、癒されますっ!
レッドドラゴンさんは鱗がすべすべで、ちょっと触りたい、なでなでしたいっ!
『カノン。こやつを見すぎだ』
「え、えへっ?」
だって、ヴァイスのもふもふも良いけれど、レッドドラゴンのこのすべすべ鱗も捨てがたいんだよ?
「さ、触っても良いですか?」
『我をか!?』
こくこくこくっ!
『ど、どうぞ?』
『なにっ!?』
お許しが出たから、レッドドラゴンさんをなでなでさせて貰う。なでなでしてみると、赤いけれど熱くなくてすべすべの鱗がとても気持ちが良い。
『そ、そんなに撫でられたら……』
ゴロン。なでなでなで~
「気持ちいいです~!」
『こら、カノンっ!』
「ヴァイスのもふもふも素敵だけど、このすべすべの鱗も素敵~」
結局、レッドドラゴンさんもヴァイスもなでなでもふもふしまくって、2人ともお腹を見せてゴロンと転がっている。
ドラゴンって犬みたいだね? でも可愛いので良しとしよう!
(しまった、やりすぎたっ!? 2人ともゴロンとしてるけど、他の人には見せられないよね)
『カーノーンー?』
「え、えへっ? 2人ともとっても気持ち良くて素敵でしたっ! いたっ」
結局ヴァイスにしっぽでべしべしと攻撃を受ける事になった。ごまかす為に生チョコを2人のお口にポンポンっと放り込んでおいた。
アイテムボックスからまた別のお茶も取り出して出してあげた。今日はのんびりピクニックなのです。
『カノンさんのおやつはどれも美味しいです!』
「ふふっ、良かったです」
ヴァイスとレッドドラゴンさんがお話している間に、お土産用に袋に色々な種類の種と焼き菓子を入れておいた。帰る時に持って帰って貰おうと思うんだよね。
ヴァイスを心配して来てくれたんだもんね。その原因私だしね。
『カノンさん、ヴァイス様をよろしくお願いします』
「私の方がお世話になりっぱなしなのですけどね。また遊びに来てくださいね。これはお土産にどうぞ」
『わわっ、ありがとうございます』
『うむ、種はどれも旨いからお勧めだぞ。それとそのうち火山にも行く予定だ』
『その時はぜひ我の所にも遊びに来てください! お待ちしてます』
『うむ』
「はい、ありがとうございます」
種の説明もして、お菓子はなるべく早めに食べて貰うようにお願いしておいた。お腹壊しちゃったら大変だもんね!
その後はまたヴァイスに乗せて貰い王都の近くまで帰ってきた。ヴァイスから降りると、小さくなったヴァイスを肩に乗せて王都まで少し歩いて行く。
「ヴァイスはとっても慕われているんだね」
『我だからな』
「でも、ヴァイスに会いに来ただけで良かったね」
『そうだな。そうじゃなくても我は負けないがな』
「そうだね!」
王都に入ったら、まずは冒険者ギルドに行って報告して来よう。
ギルドで報告をすると、ギルマスのバルトさんはとてもホッとしていた。本当に何事もなくて良かったよね。こんなに心配していたのに、のん気にお茶してきてなんだか申し訳ないです。
その後お店に帰ると、師匠もとても心配していた。説明したらホッとしていた。本当にのんびりお茶してきてすみません。
心配掛けた分、お夕飯はちょっと豪華に色々なお肉で味比べ焼き肉パーティーにしておきました。くるくる巻かれたお野菜に巻いて食べたり、小さなおにぎりで肉巻きおにぎりにしてみたり、師匠もヴァイスも大満足でした。
もちろん私も大満足です! 美味しい物は素敵なのです。
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