第33話 王都ダンジョン

 今日は王都ダンジョンへ行くので、朝早く起きて準備をする。朝ごはんには卵サンドを作ろう。お昼は種を試すから持って行かなくて良いんだよね~。


 ミルクティーを入れたら、みんなで朝ごはんを食べる。師匠もヴァイスも卵サンドが気に入ったみたいだ。マヨネーズを作るのも卵黄、酢、塩、オイルをボウルに入れて錬金棒でくるくる混ぜたらすぐに完成した。簡単に作れて嬉しいね。


『カノン、これは上手いな!』


「これは良いねぇ」


 お片付けをした後はヴァイスを肩に乗せてお店を出て北門へ向かう。今日は王都ダンジョンの31階から先に進む予定だ。

 今日はどんな魔物がいるのか楽しみだなぁ。


 ダンジョンに着いたら30階まで飛ぶ。31階へ下りて行くと、大きい黄色いのがぴょこぴょこ動いている。下に下りて鑑定してみると、レモンキーと書いてある。


「レモンキー、これはドロップ品がレモンだね!」


『そうだな』


 レモンキーが襲い掛かってきたら、何かが飛んで来て目に入った。


「いたたっ! 目に何か入った」


『大丈夫かっ!?』


 ヴァイスがレモンキーを倒して、クリーン魔法を掛けてくれた。何かと思ったら、レモンキーが手にレモンを持っていてむぎゅっと絞ったのが目に入ったみたいだ。

 レモンを無駄にしちゃダメなんだからねっ!


 レモンキーのドロップ品は黄の魔石(大)、レモン、爪だった。レモンキー自体が私より大きいので、爪も凄く大きかった。でも、この爪とかって何に使うんだろうね?


「ヴァイス、この爪って何かに使えるのかな?」


『なんだろうな。だが、ドロップするって事は何かに使えるんだろうな』


「そうだよね~」


 鑑定してみると、武器としても加工出来るし、武器を作る時に一緒に使うと何かの効果が付いたりするらしい。錬金術で魔石を使うみたいな感じなんだね。


 31,32階でレモンキーにかなり襲われたので、大量のレモンが手に入った。レモンカードを作ってレモンパイを作りたいね。後はお菓子に色々使えるから嬉しいね。


 階段を見つけて33階へ下りて行くと、今度は大きい赤いのがウロウロしている。


「なんだか、赤くて大きいのがいるよ?」


『そうだな』


 33階に下りて良く見てみると、家くらいある大きさの赤いドラゴンっぽい。鑑定してみると、ベリードラゴンと書いてある。


「ベリードラゴン?」


『ふむ、そいつは良い。よし、倒していくぞ!』


「えぇっ!? ドラゴン種なのに本当に良いの?」


『あいつらは下位のドラゴンだから襲ってくるぞ』


「えっ!?」


『それにあれを倒すと、旨い果物が沢山出てくるぞ?』


「えっ、そうなの!?」


『カノンは優しいから気にするが、同じドラゴン種でも何も問題はないぞ。それにダンジョンのドラゴンは話が通じないから、倒すしかないのだぞ』


「そうなんだ。ヴァイス、ありがとうね」


 進もうと思ったら、ヴァイスの言うようにベリードラゴンが歩いて行く先々で襲ってきた。さすがに家くらいある大きさのドラゴンだから、襲ってくるとかなり怖い。


 ベリードラゴンのドロップ品は、赤の魔石(大)、沢山のブルーベリー、牙、爪、皮、大量のお肉だった。倒すベリードラゴン次第でブルーベリー、ラズベリー、ストロベリーと色々なベリーが沢山出て来た。これはかなり嬉しい。


 35階のボスは更に大きなベリードラゴンだった。


「また更に大きくなったね」


『そうだな。だが問題ない』


 そういうと、ヴァイスは私の肩から少し上に飛んでから口からブレスを吐いた。ブレスが当たったベリードラゴンは一瞬でドロップ品を大量に落として消えて行った。


「相変わらず桁違いに強いよね」


『当たり前であろう。我だからな!』


「そうだね。ふふっ、とっても頼りにしてるよ!」


 しっぽがゆらゆらと嬉しそうに揺れている。そしてボスのベリードラゴンのドロップ品は赤の魔石(大)、ブルーベリージャム、イチゴジャム、ラズベリージャム、爪、皮、牙、沢山のお肉だった。


「加工されてる!?」


『そうだな。しかも瓶に入ってるな』


「不思議すぎる!」


『いやいや、カノンの錬金術の方が不思議すぎるだろ』


「いやいや、ドロップ品の方が……」


 そんなくだらない言いあいをしながら宝玉へ手を置き36階へ下りて行く。またドラゴンがいるみたいだ。


「ヴァイス、またドラゴンだね。これから40階までドラゴンっぽいね~」


『そうだな。よし、行くぞ!』


 また大きなドラゴンがいるけれど、緑色のドラゴンだからグリーンドラゴンっぽい感じかな。だけど、前に見たのと微妙に色がちょっと違う気がする?


『む。カノン、気を付けろ』


「グリーンドラゴンぽいね」


『いや、あれはクリーンドラゴンだな』


「んん? クリーンドラゴン?」


 そう言っている間にクリーンドラゴンが近くにやってきて、私とヴァイスに魔法を掛けた。


「ん? なんかさっぱりした?」


『ああ、あれはクリーン魔法を掛けてくるドラゴンだ』


「なるほど、だからクリーンドラゴンなのね。それだったら倒さないで進めそうだね」


『違うのだ。これからがあやつらのやっかいな所なのだ』


 ヴァイスがそう言うと、反対から来たクリーンドラゴンが何やら怒っている。鑑定してみると、クリーン魔法を掛けてくれるドラゴンなんだけど、魔法が掛からないと怒って攻撃してくるらしい。


「えぇぇ!? クリーン魔法が使えないと怒るの!?」


『ああ。だからやっかいなのだ』


 怒っているクリーンドラゴンをヴァイスが倒すと、さっきクリーン魔法を掛けてくれたドラゴンも怒っている。


「さっきクリーン魔法を掛けてくれたドラゴンも怒っているんだけど、どういう事!?」


『何度でも掛けてくるのだ。だから結局はどのドラゴンにも襲われるのだ』


「うわぁ、それは酷いね」


 クリーンドラゴンのドロップ品は緑の魔石(大)、爪、牙、皮、沢山のお肉だった。

 結局38階への階段を見つけるまで、あちこちからクリーンドラゴンが現れて襲われた。38階への階段近くの安全エリアに入ってお昼ごはんにしよう。

 まずは種を植えないとだね。ダンジョンの床の石と石の間に埋めてみる。


「こんな所に埋めて大丈夫かなぁ」


『まあ問題なかろう』


 お肉サンドの種とスープの種を植えてみた。その間にお茶の準備をしよう。今度アイスティーの実も作ろうかな。冷たいアイスティーで種を作ったら冷たいアイスティーになると良いのにな。


 とりあえず、温かい紅茶を入れようかな。ヴァイスが魔法でお湯を沸かしてくれるのでとっても助かっている。お茶を入れている間にぐんぐん育っている。


「また育ちすぎたりしないといいんだけど、どうだろうね」


『今の状態でこれくらいなら大丈夫であろう。早く食べたいぞ』


 少し待つと葉っぱが萎れてきた。お肉サンドとスープを収穫すると、葉っぱと茎はすぐに枯れて消えてしまった。これなら安心して誰かに試して貰っても良いだろう。


「うん、これなら安心だね」


『そうだな』


 収穫したお肉サンドとスープを食べよう。ダンジョンでこれが食べられるなら良さそうだ。


 そういえばさっきのクリーンドラゴンから出た緑の魔石で、なんか少し色が違う魔石があったんだよね。食べ終わってから鑑定してみると、緑の魔石(クリーン)と書いてある。


「ん? 緑の魔石(クリーン)って書いてある。最初のは緑の魔石(大)だったのに、なんでだろう?」


 クリーンの所を良く見てみると、この魔石を使って付与をするとクリーン魔法を使えるようになるんだそう。

 さっきクリーンドラゴンを倒して手に入れた緑の魔石を調べてみると、3個クリーン魔法が使える魔石があった。緑の魔石(大)が32個だったから、出るのが少ないんだね。


 緑の魔石と間違えて使わないように気を付けなきゃだね。

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