第32話 回復する食べ物と飲み物を作ろう
次の日も朝食のお片付けをした後、ヴァイスと一緒に錬金部屋に向かう。
『カノン、今日は何を作るのだ?』
「昨日言っていた回復出来る食べ物を作ってみようと思ってるんだ」
『よし、早く作るのだ。我が味見をしてやるぞ』
「ふふっ、お願いね」
ご機嫌でしっぽをゆらゆらして待っているので、早く作ってみよう。
まずはチョコと癒し草で回復チョコを作ってみようかな。癒し草の葉っぱと根っこを刻んで錬金釜にチョコと一緒に入れて蓋をして魔力を込める。
蓋の上に×マークが出て失敗した。楽しみにしているヴァイスもがっかりして、しっぽがしょんぼりしている。
「うーん、チョコと癒し草だけじゃダメだったね。どうしたらいいかなぁ」
『そうだな。ポーションには蒸留水を使うよな?』
「うん、そうだね。あっ、水分が足りないってこと?」
しかし、チョコに蒸留水? さすがにそれは美味しくなさそうだよね。チョコだからやっぱり牛乳か生クリームにしたいよね。
どっちも試してみようかな。まずは絶対美味しくなる生クリームでやってみよう。
癒し草の葉っぱと根っこを刻んで、生クリームとチョコを錬金釜に入れて蓋を閉める。蓋の魔石に手を置いて魔力を流していく。また蓋の上に大きく×マークが出る。
チーン!
「おっ、出来たみたい?」
『やったか』
蓋を開けて鑑定してみると、苦い生チョコと書いてある。回復効果はないみたい。
「うわ、これはダメだぁ」
『どうした?』
「回復効果のない苦い生チョコだって」
『むぅ、我もさすがにそれは食べたくはないな』
「だよね~。やっぱり蒸留水は入れないとダメなのかもしれないね」
『そうだな』
今度は蒸留水を少し入れてやってみよう!
また癒し草を刻んで生クリーム、蒸留水を半分とチョコを入れて、蓋を閉めて魔力を流してみる。
チーン!
「今度はどうだろうね」
蓋を開けて、中にあるチョコを鑑定してみる。回復生チョコ(低級)と書いてある。苦いと書いていないので大丈夫そうだ。
「やった、今度は大丈夫そうだよ。やっぱり蒸留水は必須なんだね」
『そうみたいだな。カノン、味見だ!』
ヴァイスのお口にぽんと入れてあげた。私も回復生チョコを口に入れてみるとトロリと口の中でとろけてチョコの味が口に広がった。特に苦みも感じなくて普通に生チョコだった。でも、最後に少しハーブの香りが仄かに広がった。
蒸留水を入れてるのに生チョコになっているのが不思議だけど、美味しいなら良いかな。
回復生チョコ(低級)が出来たので、今度は魔力を多めに流してみる。結果はこれも回復生チョコ(低級)だった。込める魔力が変わっても特に変わらなかったので、低級までしか出来ないみたいだ。それでも、生チョコ1個食べるだけで回復ポーション(低級)と同じだけ回復出来るから良しとしよう。
次は魔力回復草で試してみると、魔力回復生チョコ(低級)が無事に出来た。これでヘルミーナ達も助かるね。
うずうずして待っているヴァイスの口に魔力回復生チョコも入れてあげる。
『これも旨いな! それに魔力も回復するのだな』
「うん、これなら食べやすいし持ち運びしやすいかな」
『そうだな。これは良さそうだ』
ヴァイスのお墨付きも貰ったので、生チョコは成功だね。魔力回復生チョコはちょっとミントっぽい香りがした。
次は回復するキャンディーにしようかな。材料は砂糖、蒸留水、癒し草で良いかな。べっこう飴みたいな感じに出来上がるかな?
癒し草は刻んで、他の材料と一緒に錬金釜に入れて蓋を閉める。蓋の魔石に魔力を流すとチーン! と音がして出来上がった。蓋を開けてみると、瓶に入った何かが出来上がった。
「これ、何?」
『何だろうな』
鑑定してみると、回復シロップ(上級)と書いてある。キャンディーを作ろうとしてシロップが出来てしまった。
「シロップが出来たみたい。思っていたのと違うー!」
『違うな』
お水が多すぎ? お砂糖が少なすぎ? 多分どっちもだよね。お砂糖を多めにして蒸留水と癒し草を錬金釜に入れて、蓋を閉めて魔力を込める。
チーン!
蓋を開けると、今度はべっこう飴みたいにコロンとした塊がいくつも出来ている。鑑定してみると、回復キャンディー(低級)と出ている。
「よし、今度は成功したよ!」
『よし、味見だ!』
「ふふっ、はいどうぞ」
ヴァイスのお口に1つ入れてあげると、頭と身体を揺らして食べている。舌でコロコロ出来ないのか、身体ごと揺れているの。
(どうしよう、可愛すぎるっ!)
私も1つ口に入れてみると、ミントキャンディーみたいな感じに仕上がっている。甘ったるくなくて、すっきりするキャンディーで、これはこれで美味しい。
同じようにして魔力回復キャンディーも作った。こっちもミントキャンディーみたいで美味しい。しかし、この回復キャンディーを口に入れたまま戦ったら危ないよね。気を付けて貰おう。
「後は飲み物系だよね~。回復アイスティーが良いかな」
しかし、蒸留水で紅茶を入れたら美味しくなさそうなんだけど、どうだろうなぁ。とりあえず、やってみたら良いかな。
癒し草を刻んで、蒸留水と紅茶の葉を入れて、錬金釜の蓋を閉めて魔力を込める。
チーン!
蓋を開けると、紅茶色の液体が入った瓶が出来ている。鑑定してみると、回復アイスティー(中級)と書いてある。
「おぉ、回復アイスティーが出来たよ」
『おお、さすがカノンだな』
「でも中級なんだよね。上級に出来るか試してみようかな」
材料を入れて錬金釜の蓋を閉めて魔力を多めに流していく。
チーン!
蓋を開けて鑑定してみると、回復アイスティー(中級)と書いてあった。上級には出来ないのかと思い良く鑑定結果を見てみると、余計な紅茶の茶葉が入ってしまうから上級にはならないらしい、残念。
「紅茶が入っているから、中級までしか出来ないみたい」
『なるほどな。余計な物を入れるなってことか』
「そうだね。でも、とりあえず味見してみようか!」
『うむ!』
回復アイスティーの蓋を開けてヴァイスと半分こして味見してみる。水出しアイスティーのようにすっきりとした味で、癒し草の爽やかな味がして美味しい。
回復ポーション(中級)の効果があるなら、これはこれで良いかもしれない。
『ふむ。これはすっきりと旨いな』
「うん、私もこれ好きだよ~」
よし、この調子でフルーツを入れて作ってみようかな。まずはリンゴで作ってみよう。癒し草とりんごを刻んで、蒸留水と一緒に錬金釜に入れて蓋を閉めて魔力を流す。
チーン!
錬金釜を開けて鑑定してみると、リンゴ風味の回復ポーション(中級)と書いてある。やっぱり蒸留水が入るから風味になったんだろうなぁ。
その他にもブドウ風味、オレンジ風味の回復ポーションと魔力回復ポーションでも作ってみた。これはちょっと楽しいね。今度冒険者さん達の意見を聞いてみよう。
師匠にも、今日作った物を色々と味見をして貰ったら、やっぱりポーションに味が付けられたのに驚いていた。
今日来ていたお客様に試食をして貰ったら、どれも大好評だった。
明日は定休日だから、ヴァイスと一緒に王都ダンジョンへ行ってくる予定だ。明日もとっても楽しみだなぁ。
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