第49話 タイマン

 俺はビーンに対してさらなる攻撃をしようとしたが…


「ゴォォォ!」

 ビーンは強引に攻撃をしてきた。

 やっべ。

 半身になるがこれは不味い…


「ガア!」

 エウロスさんが防いでくれた。ありがたい。

 半身にした勢いのまま、後ろ回し蹴りを放つ!

 隙が大きいが、決まったら強いのだ。


「グゥ…」

 よし、このまま囲めばあっさりと行けるか!


「…ゥグア!」

 ぐっ!

 ビーンの大振りな攻撃をまともに喰らった。コイツは怯みからの立ち直りが高いな。

 自分から大きく吹き飛び衝撃を逃した。

 しかしビーンに突進を使わせる距離を与えたということだ。


「グオオオオ!」

 黒いオーラをより濃くして突進してきた。

 不味いな。後ろには櫓がある。こいつに櫓に行かれれば戦線が崩壊する!


 迫ってくるのは黒い闇のオーラと大きく開けた口…!

 俺はひらめいたことを試す。

 実戦では初めての<ホーリークロース>を右腕に使う。

 どうせ死ぬんだ。怖い物はない。可能性はすべて試そう。


「どぉりゃあ!」

 白い聖なる光を纏わせた右腕を、オーラと血で赤く黒い口に突っ込む。はたして…


「グギャアアア!!」

 成功だ!

 『マジックアシスト』で『ホーリークロース』を強化して、腹まで腕を突っ込む。


「グゥ!」

 腕を噛みちぎられた!こんな感覚は初めてだ。


「がっ!」

 前線で戦っていた敵のゴブリンに後ろから殴られた。

 意識が遠くなる。黒いオーラの薄くなったビーンの勝ち誇った顔が見える。


パン!

『ギャハハ…ギャ!?ガ…』

 そして遥か遠くから飛来した矢に、頭蓋骨を貫かれたビーンの顔も。


「ざまあみやが…」

 俺の意識は、フェードアウトしていった。

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