第36話 帰還

「この勝負、引き分けとします」

 ほう


「まてよアイアスさん」

 ハルカが倒れたまま抗議する。


「いいですか?ここは訓練場じゃありません。危険なモンスターがはびこる場所です。

 そんな場所で満身創痍でいたら死んだとみなします」

 なるほど。


「だがしかし…」

 ハルカは納得しない様子だ。


 忘れないうちにアニミストのサブクラスに就いておく。魔法は『MP回復上昇』だ。そのままだな。


「タツ!やっと習得したよ!」

「おうサクマ、おつかれ」


「おまえら、早く帰れ。

ロウグが眠い」

 んじゃ帰るか。



 洞窟でセドナとすれ違った。


「おうセドナ。ユウトはどうした」

「ユウトは威力偵察でボスゴーレムにやられました」

 ユウトがやられたのか…強いな。


「ゴブリンの拠点はどうだった?」

「ええ。バッチリです」

 そう言うセドナは、少しだけドヤっとしていた。気がした。


「それじゃ、またねー」

「おう!」

 ファストに帰ってから俺達は分かれた。


 ちょいと腹が減った。何か食ってくか。


 露天には様々なお店があった。プレイヤーとNPCは半々くらいか。

 適当な店に入る。


「へえ、この世界にかぼちゃがあるのか」

「おにいさん異世界の人かい?これはブコツカボチャっていってな。腐りにくいし煮崩れもしにくいってんで庶民の味方さ!」

「一つもらおうか」

 おお!ほのかだがしっかりとした甘味があって美味いな。


「おいそこのニイチャン。夜食はラーメンだるぉ?」

 ラーメンか。いいな


「…これはラーメンじゃない」

「ガハハ。これでもけっこう努力したんだぜ?

 醤油と味噌とメンマが無いのがきついな」

 出されたモノはなんとも西洋風だった。香り用のセロリはこれはこれで悪くないと思うが、ラーメンではない。



 俺は小麦粉の香りがするクッキーを食べ歩いていた。


「ふぉっふぉっふぉ。どうじゃったかの?ゴコク山脈は」

「あ!爺さん。久しぶりだな。

 なかなか良かったぞ!」

「そうかそうか。して、龍はどうじゃった?」

「氷龍さんか。厳しそうだけどけっこう優しくて…?」

 なんで氷龍の存在を知っているんだ?そう思い爺さんのいた方を見ると、そこには誰もいなかった。

 なんだったんだろう…

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