第23話 青眼

「強いウォーリアーの人はなかなかいないので、できる時に戦っておきたいのです」

「そうか…でも、セドナさんって戦えるのか?」

「サクマとの勝率は8割、ハルカとは5割です」

「マジか」

 これはいい勝負が期待できそうだ。

 ハルカさんの戦う所は見たことないがサクマよりも強いらしい。


「そういえばサクマ達が見えないが。どこに行ってるんだ?」

「人前では口止めされています」

 そうなのか。まあサクマ達にもいろいろあるのだろう。


「宜しくお願いします」

「おう!」


ズン!

 うおっ!セドナさんがいきなり突っ込んできた。

 俺は慌てて『跳躍』で避ける。

 しかしセドナさんはすぐに着地点を狙ってきた。

 付与を掛ける暇もない。


「は!」

 セドナの右ストレート。

 俺は半身になって避ける。

 俺は返しの左膝を打つ。

 セドナは戻した右手で正確に防ぐ。

 セドナの印象は機械のように正確だ。


「しゅっ」

 セドナの左ジャブ。

 俺は右手を前に出して受ける。

 ここだ!俺は右で『龍爪』を放つ…が、出だしをローキックで防がれた。


「ぐっ」

 空いた胸に右ストレートを食らう。

 俺のカウンターの右フックは左肩で受けられる。


 不味い!そう感じた俺は『ダッシュ』を使い距離を取る。

 素手では厳しいので小太刀を構える。

 そして『マジックアシスト』『ヒール』『スピードアシスト』『パワーアシスト』を掛ける。

 これで残りMPは『ヒール』1回分。MPが回復するまでは慎重に行こう。


 一方セドナも付与を掛けていた。

 これでとりあえず俺が有利か。

 身長と小太刀によるリーチがあり、『スタミナアップ』によるスタミナもあるからだ。


 俺達はゆっくりと近付く。

 セドナは俺の間合の外で止まった。

 俺が距離を詰めるとセドナは距離を開ける。


 セドナの表情が消え、眼球がめまぐるしく動く。

 まるで未来を予測しているかのようだ。


 セドナが動いた!

 セドナの左ジャブを右の小太刀で外側に弾く。

 直感か、本能か、このとき俺は『ヒール』を掛けた。


 カウンターの左逆袈裟。

 これは奇妙な動きで避けられ、逆に懐に入り込まれる。


「はあぁぁ!」

 セドナの渾身の右ストレート!

 しかしそれが入った瞬間『ヒール』が発動し…


「うぉぉらぁ!」

 下がろうとしたセドナの腹を右サイドキックが捉えた!

 セドナは吹き飛ばされる。


「ぁ…はぁ…まだ続けるか?」

「いえ、降参します…」

 セドナはいつもどおりに言うが、呼吸が乱れている。


「…ぁ」

 俺は大の字に倒れる。

 これじゃ勝ったと言えないな。

 四角く青い空を見上げながら意識はブラックアウトしていった…

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