第18話 ドラゴンとマッドサイエンティスト
4/22 火曜日
俺は<クロスオンライン>にログインする。
噴水広場に来てもサクマの姿は見えない。今日はゲーム内で用事があるらしい。
ふと神殿が目に入る。
そういえばこの神殿の御神体(って言ったらおかしいか)は龍だった。
北の山脈にも龍がいるという伝説がある。なにか関係があるのだろうか。
荒地に来た。
ウォーミングアップとばかりに繋がった石のゴーレムを倒す。
北の山脈に向かっていると、3m弱のゴーレムと遭遇した。
昨日の蜘蛛型ゴーレムが、前部装甲として石をたくさん着けている。
なかなか手強そうだ。
俺はエンチャントを全て掛ける。
ブン!
ゴーレムの背中をまわった石が飛んでくる。
そんなんありかよ!
俺が避けると、ゴーレムは足を回転させて車のように迫ってきた。
俺はスライディングして避ける。
再び迫ってくる。
横に避ける。距離を詰める。
「やっ!」
ゴーレムの上げた右前足に対し、その関節に小太刀を刺す。ちょうど小太刀が噛んで動けない状態だ。
体当たりが来そうだったので後ろに下がる。
ゴーレムは石をもう一発飛ばす。
その手はもう見た!俺は『ヒール』を掛けながら被弾覚悟で前進する。
避けようとして左腕にかする。『ヒール』の効果が発動する。
ゴーレムか迫ってくる。俺は実践ではまだ使っていない『トリプルキック』を使う。
俺はスピードが乗る前に『押し』を重視したサイドキックでゴーレムにブレーキを掛ける。1発目。
俺はジャンプして、ゴーレムが振り下ろしてきた左前足を避け、『跳躍』を使ってそれを蹴る。2発目。
俺はゴーレムの前部装甲を蹴る。『跳躍』の効果がまだ残っているので『トリプルキック』と『跳躍』で大きく飛び跳ねる。
「はあ!」
小太刀で魔石を叩き落とし、ゴーレムは機能を停止した。
北の山脈の入口付近。
「ぬるぽさん!」
「タツ君か。西の草原の次に北の山脈とは早いね」
確かに。現在のプレイヤーの多くは東か南で狩りをしていると聞く。
グレイウルフキングの討伐で行動可能になった西の草原の向こうは、補給が困難なので人気が無いらしい。
「ぬるぽさんの武器は何なんですか?」
「ユウト君あたりから聞いていないかい?僕の武器は改造モンスターさ」
改造?
「見た方が早いだろう。『召喚』ソウコウゴブリンNO.1!」
そう言ってぬるぽさんが魔石(テイムしたモンスターは魔石に収容できるそうだ。そのキャパシティは魔石に依存するとのこと)から召喚したのは石に身を包んだゴブリンだ。
2枚の石の前面装甲を背中でエプロンのように留め、その留め具の部分から地面に向けて車輪のついた石柱が伸びている。
右腕には大きな刃のついた腕輪を嵌めていて、腕を通って肩で背負う形になっている。
「…これは?」
「これはゴーレムとゴブリンを合わせたものだよ。背中と右腕にゴーレムの魔石を生きたまま埋め込んだのさ。
ゴーレムの魔力が続く限りは装備が軽くなって思い石製の前面装甲も
しかも
「なんとも
「ふふん」
なんだろう、ヤンキー時代にぶちのめしたヤブ医者と似た匂いを感じる。
「そうだタツ君。北の山脈では僕と一緒に行動しないかい?僕も1個やられたら危ないというのは不安でね」
「…良いですよ」
こうして俺達は行動を共にすることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます