第6話 失った未来

「さーて今日も全集中しますか」


「のっけから時代に乗っかろうとしないでください。のけぞってしまいましたよ。人気作におんぶに抱っこですか。良い年したおっさんがブームに取り残されないよう必死になる姿に全米が号泣ですよ」


「俺が死んだときは全米どころか家族も泣かなかったと思うぞ。いやよー死んでから全然アニメもチェック出来てないだろ? だから久しぶりに片っ端から見てたら鬼○の刃にハマってよー。映画も観に行けたらなー」


「貴方一応死んでるんですからね? やってることが生前と変わらないじゃないですか。相変わらずクソニートに磨きがかかってますね」


「そんなこと言うなって。卑弥呼様も劇場で観てみたら案外ハマるかもしんないぜ?」


「別にアニメ自体を批判してる訳じゃないですよ。ニートが害悪だと思ってるだけです」


「いちいち俺を貶めるな。ほれ三人で観ようぜ」


「しょうがないですねぇ。じゃあ映画版を観てみましょうか」



 



「何ですかこれっ! こんなアニメが存在するなんて正直舐めてましたよ」


「ぼ、僕も始めてアニメというのを観ましたけど、すごく泣いちゃいました……。ぐすん」


「だろ~? でも、出来れば子供の頃に観たかったな。そうすれば人生観変わってたかもしれないのに」


「僕は今でも悪くないと思いますよ? DTですけど」


「なんかキャラ変わっちゃったね。初期を思い出してくれ」


「どうせ子供の頃からロリコンだったんでしょう。いやペド? どのみち修正は無理でしょうね」


「ぐぬぬ……。そこまで言うなら子供の頃の俺を見てみろよ! 炭治郎みたいにカッコ可愛いぞ。惚れちゃうぜ?」


「戯言をほざきますね。戯言遣いは先駆者がいるので席は埋まってますよ。しかし、そこまで啖呵をきるなら見てみようじゃありませんか。過去の映像なら見れるので少々お待ちを」


「あんなこと言っていいんですか?」


「ああ、見て驚くがよい」


「では好みの十歳頃に合わせて……ん? 対象を間違えましたかね。どこかのジャニーズJrを写しちゃいました。しかしなかなかの可愛らしさ……変声期前独特の瑞々しさがタマリマセンネ」


「この神レベルの重度ショタコンが。その画像で間違いねぇよ」


「この美少年は誰だっ!!」

「この美少年は誰ですか!?」


「だから俺だって言ってるじゃねえか。時を戻したのか」


「そ、そんな……せっかくの美少年が……こんなドクズニートになるなんて……ちくしょー……この世に神はいないのかっ!」


「神を呪うな。天に唾を吐くとはこの事だな」


「僕、この子好きです……」


「なんだって!」

「なんですって!?」


「あー当時の俺なら上手くいけたのに……何故だ神よ!」


「神も困惑しております。万能の神などいないのですね」

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