史上最弱の勇者は最狂の剣で無双する。~自分を貶めてきた奴らに最高の『ざまあ』をくれてやるよ~
みなかな
第1話 史上最弱の勇者
「おい、リア! お前みたいなやつは剣術を勉強しても無駄なんだよ!」
剣術の授業を行う闘技場の真ん中で、大柄な男がリアという白髪の男子生徒を踏み続けていた。
「僕だって、、剣術を学びたいんだ!」
「ああ? こいつ今、俺に刃向かったようなこと言いやがったか? このデビオラ様によ!」
デビオラは刃向かった罰だとでも言いたいように先ほどよりも強く踏みつける。
その光景は、あきらかな『いじめ』ではあるが、教師を含め周りにいるクラスメイトは誰も止めには入ろうとしない。
ただ一人を除いて。
「デビオラ、やめなさい! そんなことをするために『勇者の力』を得たわけではないでしょう! 」
赤髪のツインテールをしている女子生徒がデビオラの目の前に立つ。
「なんだ、セナじゃないか。お前もしかしてこの男を助けようだなんて思ってないよな? 」
「そういうわけじゃないわ。ただ勇者候補生が『弱い者いじめ』をしているのが見過ごせなかっただけよ。」
その返答を聞いたデビオラは心の底から笑った。
「それはすまねえセナ。どうやら俺はこいつのことを勇者だと勘違いしていたみたいだ・・・はははは! そうだよな、こんな弱いやつが勇者なわけねえよな。」
デビオラは笑い終わるころ、授業終了のベルがなり響いた。
その後、闘技場にいたクラスメイトは次の授業場所へと移動する。
「ち、気分がいい時になりやがって、じゃあなリア。また次も遊んでやるからよ。」
デビオラも取り巻き達を連れて次の場所に移動しようとする。
・・・が、その前にセナへ目線を向けそばに寄る。
「そうだ、セナ。今日俺様の部屋でパーティーを開くんだが来ないか? お前みたいないい女がいれば盛り上がると思うんだが。」
そう言いながらそばに寄り、赤髪の生徒の肩を組もうとしたが、手で退けられる。
「ごめんなさい。今日は友達と剣術の勉強をする予定だから行けないわ。」
そう言った後、セナはその場を後にした。
「お前ならいつでも来てくれて大歓迎だ。特別に2人だけのパーティーでもいいからな。」
遠くの方へ行ったセナに向けでデビオラは聞こえる音量で言った。
しかしティアは一切振り向かなかった。
「ちっ、まあいい。ああいう生意気な奴ほどそそる。おいお前ら行くぞ。」
取り巻き達が返事をした後、その場から離れた。
そして、大きな闘技場にただ一人。白髪の生徒だけが残る。
その生徒は、血が出るまで拳を地面に叩きつけながら言う。
「僕だって・・・勇者なんだ・・・。」
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ここは『
世界を救う勇者の素質を持つ生徒を育成する場所である。
この学院に入る生徒は、入学と同時に『
『
そして『勇具』は意思を持ち、人を選ぶが、勇者の力を持つ者は必ず選ばれる。
はずだった。
今年の『勇具選定』では学園創設以来、初めての出来事が起こる。
ある一人の生徒が、『勇具』に選ばれなかったのだ。
その生徒の名は、リア・ライゼル
別名『史上最弱の勇者』である。
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