第七章:危機!親友にバレちゃった!

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「うおーっ、広いなーっ」

「だろ?一度来てみたかったんだよな」


 今日はギンガと一緒に、街一番のプール遊園地に来ている。ギンガがずっと「行きたい」と言っていた場所だ。

 ウォータースライダーや流れるプール。あと落ちたら水の中へドボンな、水上アスレチックもある。

 お客さんもたくさんいて、周りから「キャーキャー」声が聞こえてくる。みんな楽しそうだ。


「よーし、どれから遊ぼうかな~?」


 最近は神様候補との戦いで、大変なことがいっぱいだった。今日は一旦全部忘れて、全力で遊んでスッキリしよう。


「ちょっとーっ。私のことエッチな目で見ないでよーっ」


 その時、女の人の声が聞こえた。

 何事かと思って声がした方――プールサイドを見ると、何やらざわざわしている。どうやらもめ事らしい。


「はぁ?何言ってるんだよ、あんた?」

「そうだぜ、オレ達はあんたの前を通っただけだから」

「そうよそうよ」

「つっかからないでもらえますかぁ?」


 大人の男女四人、カップル二人組が口々に文句を言っている。相手はスクール水着を着ていて、中学生くらいのお姉さんだ。


「男なんてみんなエッチなのよ。あなた達だって女性なら、こんなスケベ相手にベタベタしないでもらえるかしら。女性全体の品位に関わるわ」

「ちょっと、あんた。年下のくせに生意気ね!?」

「もしかして、あたしらがラブラブでぇ、うらやましいんじゃな~い?」

「きぃーっ!そんな訳ないでしょ!わ、私がその気になったら、絶対モテるんだからっ!しないけどねっ!」


 言い返されて、スク水お姉さんが顔を真っ赤にしている。金切り声になっていて、めちゃくちゃ怒っている。


「どうした、カイタ?」

「ううん、何でもない」


 けんかを止めたい気持ちはあるけれど、神様候補のことだけで手いっぱいだ。今は心穏やかに過ごしたい。

 スク水お姉さんは、まだ叫びまくっている。カップルコンビはあきれているみたい。

 オレとギンガは巻き込まれないよう、そーっと離れることにした。





 思う存分プールで遊んだ。おかげで体はへとへと。でも心はスッキリさわやか、気分リフレッシュ。明日からも頑張れそうだ。

 オレ達はプールの帰り道、暑いアスファルトの上を歩いていた。昼間なので誰もいない。きっと屋内で涼しく過ごしているんだろう。


「そういえば最近忙しそうだったけど、大丈夫なのか?」

「え!?な、何のことかな……あはは」


 ギンガがいきなり聞いてきて、ドキッとしてしまった。とりあえず作り笑いでごまかす。

 オレが神様候補だってこと、ギンガには伝えていない。戦いに巻き込んじゃうかもしれないから。だから適当にはぐらかしたんだけど、ちょっと心が痛む。

 大切な親友に、ウソをつかないといけないなんて。でもこのことを知ったら、きっとギンガは協力するって言う。オレのために一緒に戦おうとする。そんな危険なこと、絶対させたくない。


「……はぁ」

「ほら、やっぱり。大変なことだったら、相談に乗るぜ?」

「い、いやいやっ。心配しないでよっ」

「心配するさ。オレら友達じゃねーか」


 ギンガが、ずいっと迫ってくる。真剣な目をしている。これは話した方がいいのかも……いや、ダメだ。ギンガに戦わせたくない。


「じゃあさ、オレっちも隠していること話すからさ。カイタの悩み事も教えてくれよ」

「か、隠していること……?」


 ギンガも、オレに何かを隠しているらしい。そんなの全然気付かなかった。一体何なのだろう?


「そ、そうだなぁ……どうしよう――」

「ちょっと、そこの男子!」


 突然、割り込んでくる人がいた。ぬれた長い髪に、長袖とロングなスカート。見るからに暑そうな格好だ。

 さっきプールで騒ぎを起こしていた、叫びまくっていたお姉さんだった。


「何なんですか、お姉さんは?」

「私の名前は飴端あめばミク。最っ高にパーフェクトなレディ……そして――」


 お姉さんがバッグから金色のイヤリングを取り出し、右耳に付ける。その瞬間、黒いオーラが体から立ち上る。


「――あなたと同じ、神様候補の一人よ」


 お姉さん――ミクさんはそう宣言した。

 なんて、最悪のタイミングだ。

 ギンガがいる前で、他の候補者と出会ってしまった。ここで神の力を使ったらバレちゃうし、戦いに巻き込んでしまう。


「ひ、人違いじゃないかなぁ……あはははっ……」


 オレは苦し紛れにはぐらかす。でも、声が上擦うわずってしまう。


「機組屋カイタ、物作りが大好きなんですって?」


 でも、ミクさんには色々バレバレだった。


「な、なな何で知っているんですかっ……!?」

「金髪眼鏡の男に教えてもらったからよ」

「ああ……そういうこと」


 十中八九、ピーシィさんのことだ。余計なことを話したな、あの人。

 って、過ぎたことを考えていても仕方ない。

 状況はどんどん悪くなっている。ミクさんはオレのことを知っているので、ごまかしてやり過ごすのは無理そうだ。


「別に戦いたくないならいいわよ?その代わり、お友達が酷い目に遭うだけだから」

「そんなっ……!?」


 それどころか、ギンガを襲おうとしている。なんとしても、この場で戦うつもりなんだ。

 いくらオレが戦いたがらないからって……なんて卑怯な手を使うんだ。


「酷い目だって?それならオレっちが――」

「ギンガ、下がっていて!」


 挑発されて前に出ようとしたギンガを、オレは手をかざして抑えた。

 ここまで来たら、もうやるしかない。覚悟を決めるんだ。


「ずっと内緒にしていてごめん。オレ、神の力が使えるんだ」


 隠し事を打ち明けてでも――ギンガを守るんだ!


「『ジャンク組成ダー』!」

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