11話 その後
あの事件から一年を経て、晴れてヴィクター様と添い遂げることになりました。
今度は婚約破棄もされなく良かった。
アイヴィロ商会はさらに大きくなり、王国の商会どころか世界のアイヴィロ商会とまで呼ばれるほどに。
幹部のみんなの要望通りに雇う人数を一気に増やしたんだけど、教育にも時間はかかるし、その上商会の規模も大きくなったので、それはそれは忙しそうに働いています。
それでも楽しそうなので良かった。
両親、オーブリー家は元々、民からも愛されていて、その民に寄り添った領地経営を認められ、陞爵するという話があったところへ、この領地発展が追い風になり男爵から伯爵へと陞爵した。
商会とは別に王族として私には大きな仕事が任せられている。
それは孤児院の設立と学校の増設だ。
下が上がれば様々な分野で王国に貢献する人が現れると熱弁してこの計画のゴーサインを貰ったというわけだ。
まぁ、ヴィクター様とお義母様の力添えがあったから、簡単に通ったんだけど。
そんなんでいいのか国王陛下と言いそうになったのは秘密だ。
そう、そもそもの切っ掛けになったアランとアンネリーネだが、アランはグリフィス家から追い出され、アンネリーネはもちろんクビ。
多くの貴族に失墜を目撃されてまず、成功することは不可能だろう。
風の噂では反省して頭を丸め、どこか辺境の地で細々と暮らしているらしい。
頭を丸めてって聞いた時は吹いてしまった。
反省云々は関係なくて、あれは二人が使った薬の副作用だ。
今では改良してアイヴィロ商会の目玉商品の一つになっている脱毛剤。
どうしても艶が出た後の脱毛の副作用を抑えることができず、だったら脱毛をメインにしようと改良したのだ。
これが大当たりした。
永久じゃないからそのうち生えるだろうけど、自業自得というものだろう。
「リヴィせんせーい、どうしたんですか?」
「いいえ、今日の授業はここまでです。休憩にしましょう」
「わーい!!」
「ご飯だ、ご飯!!」
「今日のご飯は何かなぁ?」
たくさんの子どもが授業を受けている。
多くが孤児だったり、まともに生活できない家庭環境の子ども達だ。
「オリヴィア様、本当にありがとうございます」
「シスター、今の私は謎の女教師リヴィよ」
「あっ、これは大変失礼しました」
「分かってくれればいいのよ」
「それにしても、リヴィ様のおかげであんなにも子どもたちが元気に……」
「子どもは国の宝ですから。まだまだ活動を広げていかなければいけないわ!! それと、呼び捨てでお願いします」
「分かりました、リヴィ」
「お昼ご飯はこちらで食べて行きますか?」
「いいえ、今日は予定があって……あっ、迎えが来たわ」
一台の平凡な馬車が建物の横に止まる。
「オリヴィア、迎えに来たよ」
「あなた……わざわざありがとう」
「お熱いご様子で何よりでございます」
「ではシスター、子どもたちの事を任せたぞ!!」
「もちろんでございます。王太子殿下」
その後、王国は多方面で急速に発展していくことになる。
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