2話 婚約破棄!?
「アラン様、婚約破棄とはどういうことですか?」
久しぶりに出会えたというのに開ロー番にアラン様から発せられた言葉は衝撃的なものだった。
「どうもこうもない。お前とヴィクターが仲睦まじそうにしているのを多くの人間が見ている」
「そんな……ヴィクターはアラン様の命令で私の護衛をしていてくれただけです」
「その通りです。アラン様のご命令通りに護衛をしていただけで、不貞などは決して働いておりません」
「そんなことは知らん。お前とは婚約破棄してヴィクターは解雇だ。お前たちの家にも抗議を入れさせてもらうから、覚えておけっ!!」
まるで取り合おうともせずにアランは一方的に婚約破棄を告げて去っていってしまった。
そんな……
「申し訳ありません。こんなことになってしまって」
ヴィクターがもの悲しげな表情で頭を下げる。
「いいえ、あなたのせいじゃないわ。だけど一人にしてくれるかしら」
彼にとっても青天の霹靂であっただろうに婚約破棄を突き付けられ動揺してしまった私は冷たい声で彼を遠ざけた。
そして私は王都にある部屋に引きこもった。
貴族は噂話が大好きだし、私が婚約破棄されたことも広まっているだろう。
親からの遣いがきて「気にする必要はないから、戻ってきたくなったらいつでも戻ってきなさい」と伝えてくれた。
婚約破棄をされるなんて貴族の恥だ。
こんな私に対する優しさが余計に心を締めつけた。
一週間ほど引きこもって、ようやく落ち着いてきた頃、彼のことが頭によぎる。
八つ当たりで冷たくしてしまったがヴィクターは何をしているんだろうか?
信頼を失った騎士に世間は厳しく、働き口などどこにもないことが予想される。
もしも路頭に迷っているようなら仕事を手伝ってもらおうかしら。
そんな気持ちで彼に連絡を取ってみた。
「久しぶりねヴィクター」
「お久しぶりです。オリヴィア様が引きこもっていると噂になっていたので心配していましたが、お元気そうでよかったです」
「あの時は冷たい態度をとってしまってごめんなさい」
「いえ、仕方のないことだったと思います」
ヴィクターは冷たい態度をとった私のこと心配してくれていたようだ。
「あの……もしも働き口に困っているなら、また仕事を手伝ってもらおうかと思っていたんだけど」
「ありがとうございます。オリヴィア様がよろしいのであればぜひお願いしたいです」
ヴィクターは二つ返事で了承してくれた。
やはり、困っていたのだ。
声をかけてよかった。
「じゃあ……」
「その前によろしいですか?」
「なに?」
やはり、契約の話だろうか。
貴族に雇われる騎士の給料がどれほどのものか分からないが、それなりには払える自信がある。
「今日は私からもオリヴィア様にお話ししなければいけないことがあります。それを聞いてから判断をしてください」
真剣な表情のヴィクターに気後れしてしまう。
「実は今回のアラン様とオリヴィア様の婚約には裏がありました」
ヴィクターはアランの思惑を語りだし、多くの物的証拠まで持ってきていた。
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