第九話 入学式そしてクラスメイト

入学式場 ユートside


あれから一波乱あったがなんとか時間内にみんな指定の席についた。

周りを見ると学園長がなんかやったのかみんな先程の騒動を知らないような感じだった。

「楽しみですね」

愛花が笑顔で言う。

「そうだね……ってファタファタジア寝てんじゃないよ」

俺はそう言いながらファタジアの肩を揺さぶる。

「ふぇ?」

ファタジアは体を伸ばして

「終わった?」

と言った。

「いや入学式終わってもないから」

「えぇ、まだなの?」

「まだ始まってさえいないから」

俺はそう言い、愛花の方を見る

「愛花、そういえばメレゼちゃんは?」

周りを見渡すが愛花の妹であるメレゼがいない

「メレゼは生徒代表なのでここにはいませんよ。多分教師側の方かと」

「代表なんだ。すごいなぁ」

愛花の隣にいたメリアがそう返答する。生徒人数が2000以上、貴族制度や王族制度などが通用しないこの学園で生徒代表になるのは至難の業と言われている。

「(すっげえな)」

俺はそう思っていると

「あと今回は生徒代表が何人か増えるらしいですよ」

と愛花が言う。

それは代表とは言わないんじゃないか?

「へえ」

エルメスがそう返答する。……あのエルメスさん?わたくしの膝を撫でないでくれませんかね?黒髪美少女ケモ耳っ娘に撫でられると変な感覚ががが

「……」

愛花さんそんな怖い顔をしないでくださいごめんなさい

俺がそう思っていると突然周りの明かりが消えた。

余談ではあるがこの学園では小中高等部の一年は入学式、2年以降の人たちは進級式を同時にやるのだ。よってこの場には軽くイベントができるほどの人がいるのだ。

閑話休題それはさておき

「これより、入学式及び進級式を始める」

学園長がそう言い、入進式入学式及び進級式が始まった。


……あれから数十分後だが、暇だ。校歌なんて知らんし学園長に話なんて知らんし先生方の話なんて知ったこっちゃないし。

「……せんぱぁい、暇ですぅ」

愛花が完全に伸びてる。

「俺も暇だ、だけど我慢しないといけないだろ」

メリアはちゃんと聞いているようだが、エルメスを見ると俺の手を握りながら寝ている。

「メリア、退屈しないの?」

愛花がそう聞く。

「少しはしますが、ちゃんと聞いていた方が特になることもありますので」

メリアは苦笑いしながら言う。

そう会話していると


次は各生徒代表です


そうアナウンスが聞こえ、壇上にゾロゾロと人が立っていく、なんか多くね?

「なんか多いですね」

愛花が苦笑いしながら言う。

「そうだね……あれ?」

あそこにいるのは……

「レーナ?しかもルカ姉?」

一瞬なんでなん?って思ったけど、よく考えたらレーナもルカ姉成績優秀勢だったわ。

「すごいなぁ。ユートもそう思うよね!」

ファタジアはキラキラした目で言う。

「そうだね」

俺は試験では満点だったが、魔力が皆無なため代表になれなかったのだ。

愛花は逆に魔力は非常に高いが学力がアレなため、代表になれなかった。

「あ、始まるよ」

ルカ姉の演説が始まった

『皆さん。この度は入学及び進級おめでとうございます。新入生はこれからの学園生活を、進級生は今まで以上の生活や訓練を楽しく頑張ってください。

そして皆さんの良き思い出になることを祈ります。

この学園では貴族や王族など関係なく皆さん平等に過ごすことを目的としています。もし差別やいじめなどにあった場合は遠慮せず我々生徒会か生徒保安隊、風紀委員に相談してください。

それでは、良き学園生活を

生徒会副会長 ルカ・オリビア』

ルカ姉の演説が終わると会場が拍手の音に包まれた。

「姉さん、人気者だな」

「そうね」

俺がそう言うと、ファタジアが返答する。

その後順調にレーナ、メレゼ、その他生徒の順で演説が行われる。そして最後にイケメンが出てきた。っち

『入学生は初めまして、進級生はお久しぶり。生徒会会長のセルゲイ・アーベルだ。進級生はもうわかっているが、入学生は知らないので言っておこう、もしここで度を過ぎた差別やいじめなどを見つけたり判明した場合、貴族王族関係なく処罰する。それがたとえ第一王子やら王女でもだ。この学園は王国だけではなく別の国からも留学生としてくる人もいる。だから言おう……いいか!ここは!この学園は!差別のない学園を、人を育てるのだ!もしこれを聞いても差別するのであれば騎士団を出動させ、この国から一刻も早く国外退去させる!俺はそういう学園を作るのだ!もし差別をどうしてもやりたいと言う不届き者がいるのであればこの国から立ち去れ!そんな輩はこの学園は……いや、この国にはいらない!

……以上だ。くれぐれもいじめや差別をしないように』

セルゲイは言い、一礼をした。その瞬間、会場は拍手と黄色い声のオンパレードになった。

「「「うっさ」」」

「うるさいです」

「……うるさい」

俺らはこの嵐がなくなるまで耳を塞いだ。

嵐が過ぎ去ったあと

『それでは、これで入進式を終了します。生徒は指定されたクラスへ移動してください。』

そうアナウンスされ、学年順に移動が始まった。


「俺のクラスは……Bクラスか」

この学園はA~Fクラスまであり、1クラス50人前後なのだ。

「私もです。先輩」

「私もね」

「「私たちも(です)」」

みんな同じクラスのようだ。

「んじゃ、入ろっか」

俺はそう言い、ドアを開け、中に入る

「ひっろ」

俺がそう言葉にすると

「そりゃあ50人弱の人達が集まる場所ですからね」

愛花がそう返答する。

「そりゃそっか」

「……」

その頃エルメスは俺の手をにぎにぎしている。なーにやってるんですかね

「…む」

ほら愛花がヤキモチしちゃってはないですか。

「本当に人気ですね……」

メリアさん、そんな真顔で言われても怖いだけです助けてください

「い、一回席に座ろっか」

俺は手を離しながらそう言い、窓側にある自分の席についた

俺の後ろの席に愛花、斜め右前にエルメス、斜め右後ろにメリア、前にファタジアがいる。。

隣には黒髪ロングで、目まで隠れている女の子がいた。そんで持ってめっっっっっちゃくちゃ大きい。……なにここセンシティブ指定の場所?BANされたくないよ?へるぷ、たすけて

「これからよろしくね」

俺は隣の女の子に内心ビクビクしながら言った。ムリ、ショタイメンシャベレナイ。

「は……は、はい」

女の子は緊張しているのか顔を赤くしながら言う。

「(え?なにこの子レーナ達とは違う感じで可愛いんだけど?しかも前世の俺みたいな感じだよ?)」

そう。前世、俺は後輩の愛花、家族(といっても例の事が起こる前)以外だとこの女の子みたいに喋れないのだ。いわゆる隠キャであった。

この世界に来てからある程度改善したが未だに残っている部分もある。

「(うんうんわかるよ女の子くん。いきなり喋られたらびっくりするよね)」

俺は温かい目で見ながら(周囲から黒いオーラが見えるが一旦無視)女の子に話す

「よければ君の名前教えてくれるかな?できれば仲良くしたいって思ってるんだ」

……あれ?これナンパって思われる?……あああ!!あんななに考えてるかわからないやつナンパ野郎みたいなことしちゃったーー!!!これじゃあ仲良くなれないよーー!!!」

俺がそう心の中で絶望してると

「……ふふ。声に出てますよ」

女の子はそう言いながら笑った。……ゑ?

「声に出てた?」

女の子や愛花達がうなずく

「(……はっず!)」

俺がそう心の中で思っていると

「ぼ、僕の名前は、市ヶ谷 里奈いちがや りなです」

そう女の子が言った瞬間、俺と愛花は警戒状態になった。

俺は右手をP220におき、愛花はすぐにでも拘束できるように魔法を準備していた。メリア、エルメス、ファタジアも気配を察知して防御魔法を出せるようにしている。

「え……えっと、なんか私しました?」

女の子はオロオロし、困惑や恐怖……そして後悔しているように見えた。

「……はぁ。この話はまた後でしましょう、教師が来たことですし」

俺がそう言うと、一旦みんな前を見た。だが緊張状態はまだ残っている。

「(こりゃあ、一波乱ありそうだ)」


学園 屋上 ユートside


今日は授業はなく、先生の話を聞いたら指定の時間まで自由ということになっている。

そして俺らは屋上に来ている(メリアとエルメスは屋上に人が来ないよう人避けの魔法を張ってもらっているためここにはいない)

「……なんでしょうか」

市ヶ谷はそう言った。未だに恐怖などがあるようだ。

「……単刀直入に聞きます……『この言葉は分かるか』」

「!?」

俺が日本語で聴くと、市ヶ谷は驚いた顔で言った。

「な……なんで」

やっぱりな

「あなたは、日本人ですね?」

愛花がそう聞くと

「……はい」

市ヶ谷は暗い顔で言った。

「そっかぁ」

愛花が困惑した顔で言う。

「市ヶ谷さんは、どうやってこの世界に来たの?」

俺がそう質問すると

「……僕、学校でいじめられていて……その指示した人が私が親友だった人で……そして一ヶ月前に男子生徒に襲われかけて……運良く逃げれて、もう嫌と思いながらそのままずっと走って……そうしたら知らない森に来ていて、そこで迷っていた時に学園長さんに助けてもらったんです。そして私が迷子になったこと、学生であることを言うとこの学園に通わせてもらって」

「……なるほどねぇ」

いじめや男子生徒に襲われかけて、そこで逃げたら別世界だったと……しかも裏切られて……

「クッソやろうじゃねえか」


市ヶ谷side


ああ、この人も同じだ。

そう僕は思った。実はこのいじめはすでに家族や先生などには話している。だが

『お前が何かしたんだろ!』

『そんな子に育てた覚えはないわ!』

『お前が悪いんじゃないか?だって』

『『『『あんな素直で里奈の親友がいじめているだなんて信じられるわけないだろ』』』』

他の人は誰も信じでもらえないの。私が信じていた親友にいじめられるなんて、しかも表では素直な子を演じてるあの子を。

妹は僕のことを信じてくれたけど……それでも怖い

だったらこの子も……

そう僕が思っていた瞬間

「お前の元親友や家族、教師……お前や妹さん以外全員クソ野郎じゃねえか」

「……え?」

な……んで?

「なーに呆けた顔してるんだ?」

銀髪の子は苦笑して

「まさか俺も他のやつ同様信用しないって思ったか?……んなわけないじゃん」

銀髪の子はそう言いながらしゃがんできて

「俺もさ、親友と思ってた人から裏切られたんだ……」

そして銀髪の子……優斗君は前世、今世のことを話す。

「そんで持って今現在国家建国準備かつ学園に入学しております」

優斗君はドヤ顔でそう言う。

「先輩、なにドヤ顔してるんですか」

亜麻色髪の子……愛花ちゃんはそう言っている。

「あはは……まあ、そう言うわけだから市ヶ谷さんの話は信じるし、その人たちは人の話を聞かないゴミってこと」

……本当に

「本当に……信じてくれるの?」

涙が溢れ出てくる。もう……

「1人じゃなくて……!?」

突然優斗君に抱きしめられた

「市ヶ谷さん。自分もさ、さっき言った通り同じ境遇にあってるから、君の気持ちはわかるよ。1人しか理解してくれない……他にの人からしたら信じてくれる人がいるだけいいって思うけど、それは違う。1人しかいないからこそ苦しいんだ。寂しいんだ。怖いんだ。その子にも裏切られたらどうしようって、もし信じてもらえなかったらって……だから分かるよ」

「ほ……んとうに?」

僕がそう言うと

「ああ、わかるよ」

優斗君からそう切ない笑顔で言われた。

後ろから愛花ちゃんが抱きしめてくる

「今は……ううん、これからも私たちに本音を言ってもいいんですよ。泣いてもいいんですよ。私たちは受け止めますから」

愛花ちゃんは微笑みながら言った。

……そんなこと言われると……

「なき……たくなる……じゃないですか……」

それから僕は泣いた。思う存分泣いた。途中から優斗君や愛花ちゃんも一緒に泣いてくれた。同じ境遇にあってるからだろう。それでも離さなかった、3人で抱きしめながら思う存分泣いた。


あれから数十分たったあと

僕たちは夕暮れを見ていた。

「壁に囲まれた所でも夕暮れは見れるんだな」

「そうですねぇ〜」

優斗君と愛花ちゃんがそう言う。

「……市ヶ谷さん、俺と友達になってくれませんか?」

優斗君が緊張した表情で言う。

「なーんでそんなに緊張してるのかな」

私は微笑みながら

「親友……違うな、君の妻にしてよ」

僕は目を覆っている髪の毛をどかし、優斗君に言った。

「……ふぇ?」

かわいい

「……」

愛花ちゃん、そんな顔で見ないで?怖いよ?

「……え、ちょま」

私が抱きつく。優斗君は混乱しているようだ。

「この世界は重婚も可なんでしょ?お願い……僕も……君の妻にして」

少し強引すぎたかなって思っていると

「お、俺の一存では決めれませんので、レーナと愛花と話し合う必要が」

「私はいいと思うよ」

愛花はそう笑顔でいい

「……取られるのは嫌だけど、一緒だったらいい」

ドアから銀髪ロングの子と黒髪ロングのケモ耳っ娘2人、赤髪ロングの子が出てきた。

「レーナが……許可を出した……だと!?」

なんか優斗君が驚いてる。

「……私もお嫁さんになる……てかなりたい」

「わ、私もなりたいです!」

「わ、私もなる!ユートのお嫁さんに!」

ケモ耳っ娘2人と赤髪ロングの子がそう言う……!?

「「「!?」」」

優斗君、愛花ちゃん、銀髪ロングの子が驚いている。

私、ラノベが好きですごく読んでるからわかる、この後修羅場になるやつだ。


案の定修羅場になり数十分後

結果としては

私や、ケモ耳っ娘……エルメスちゃんとメリアちゃん、赤髪ロングの子……ファタジアちゃんを嫁にするのはいい。

銀髪ロングの子……レーナちゃんに優斗君の動きを報告すること(女子会などで)

誰か1人は優斗君といること(寮や風呂、トイレなどは除く)

知らない女と話している場合、レーナちゃんや愛花ちゃんに連絡すること

……これで思ったことなんだけど

「レーナちゃん、まさかヤンデレ?」

「微な」

優斗君は苦笑をしながら言う。

「……む」

レーナちゃんは優斗が私と話してるのがお気に召さなかったのか、優斗君に抱きつく。

「兄さん……♪」

レーナちゃんはずっと優斗君にスリスリして、エルメスちゃんは優斗君の膝をスリスリしている……いいなあ

その時

-調査隊、総司令官へ、島の調査及び軽い整備を完了しました。時間がある時こちらへ来てください、いつでも国家を建国できます-

そう優斗君の腰にある通信機から聞こえた。

「……やっとか」

優斗君はすごい笑顔で言い、

-こちら総司令官、今から2日後に向かう。それまでできる限り休息を取りながら島の整備せよ-

そう通信をした

「……やっとだ……やっと」

……そうだ

「優斗君」

「……ん?どうした?」

「私を……私たちを」

私は一回みんなを見て

「あなたの国においてくれませんか?」

優斗君にそう言う。他のみんなはわかっていたのか、少し緊張した表情で優斗君を見る

優斗君は一瞬驚いた顔をし

「……もちろん」

そう笑顔で言った


ユートside


俺がそう言った瞬間、全方位から抱かれた

「「「「「「ありがとう!!!」」」」」」

そう言われると、なんか照れるな。

「……どういたしまして」

「あ、先輩照れてるー!」

くっそ

「……兄さん可愛い♪」

「……うん。可愛い♪」

レーナとエルメス性格似てない?

「ふふ」

市ヶ谷さんそんな聖母みたいな顔で見ないでくださいお願いします。

「「いいなぁ」」

ファタジアとメリアちゃんが同時に言う。後で撫でよう

「ほら、さっさと寮に戻るよ」

「「「「「「はーい」」」」」」

「……はぁ」

……俺はみんなが出て行くことを確認すると、鞘から軍刀を抜刀する

「……待ってろよ世界、俺は……俺らは現代軍は

俺は軍刀を月に照らし宣言する


「世界最強国家になってやる」


続く

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