第4話不仲な姉弟
リビングのソファーに深く身体を沈めながら足を組み、テレビに映る番組を眺めながらアイドル活動がどうかと訊ねてくる姉。
「最近どう~?彼女とは相変わらずなのー?」
「なんとかやってる。ああっと......んな感じだよ」
ソファーの前に置かれた脚の短い長方形の机に肘を付きながらそっけなく返答した俺。
「まだいじけてんの?あんたって......そりぁ~そんな冷たい態度にもなるよね。ごめん......って謝ったところで無理か」
肘掛けに肘をついて身体をのりだしながら顔を近付け、そんなことを口にした。
「いじけてるっつうか......俺の方こそ──」
返答に困る、その事は。
姉──
両親が離婚し、姉は母親に着いていき、実家から二人で出ていった。俺は父親と暮らすことにした。姉は読者モデルとなったと同時に実家を出ていき、一人暮らしを始め現在も続けている。昔の姉弟仲は良かったが両親の離婚がきっかけで溝が出来、現在も不仲である。
釈然としないが謝ろうとすると姉が制した。
「なんであんたが謝ろうとしてんの。謝る必要なんてないよ、私が悪いんだから。いつか、いつか......昔みたいになれたりしない、かな......翔」
姉の寂しそうな瞳が俺を見つめてきた。
「ああ......で何しに来たんだよ、姉貴」
バツが悪そうに後頭部を掻いてから、訊ねた。
「今日はオフで暇だったから遊びに。るんちゃんがこの時間帯に帰ってきたってことはオフなんでしょ?」
「そうだけど。久しぶりのオフなんだから一人にしてよ」
「煩くしないって。夕飯作ってくれると嬉しい、ダメ?」
「夕飯って......分かった、煩くしないなら良いよ」
俺は、ため息を吐き、立ち上がってキッチンへと歩き出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます