第九十六話
「俺もルシュと同じやつ欲しいんだけど作れる…?」
ルシュとクエストを受けた次の日、学園でシノンに聞いてみた
「うーん、あれはかなり前に暇な時作った奴だから1から作るとなると時間かかっちゃうかな〜」
「そっか〜…残念だ…」
「時間がかかってもいいなら作るよ?」
「本当…?悪いね…俺に出来る事ならお礼に何でもするからさ」
「…いいの?なら少し頼みたいんだけど…」
「ああ、何でも言ってくれ」
…
…
「いや〜助かったよリュート君!これで作れたよ!魔道具研究部!」
「魔道具研究部?の部室に放課後居るだけでいいんだよね?」
「うん!学園には魔道具研究部が無くてね…作ろうにも部長と副部長の2人が居ないとダメだって言われてさ…困ってたんだ」
「なるほどな〜…でもシノンは部活作らなくても家で出来るんじゃないの?」
「そりゃあそうだけどね、僕の他にも魔道具を作りたい人が居るかもしれないし…その為…かな」
「ふむ…まぁ俺も居るだけじゃ暇だし手伝える事があったら言ってよ、やるからさ」
「助かるよ…本当優しいなぁ…リュート君」
うっ…キラキラした尊敬の眼差しが…
「は、はは…」
「…うーん…何かお礼をしなきゃだね…」
「お礼なら例のネックレスでいいよ?」
「いやいや、それだけじゃ申し訳ないよ!うーん」
十分すぎるぐらいありがたいだけどなぁ…主に精神的に救われるから
「そうだ!リュート君って武器種を何でも使いこなせるんだよね?」
「うん、訓練したからね…よっぽど変な武器じゃない限り使えるよ」
地獄の訓練を思い出す…懐かしいなぁ…死にかけたっけ…
『ろくな思い出じゃないですね』
ま、まぁそのおかげで強くなったから…
「ふむふむ…メモメモ」
シノンが紙に何かを書き出す
「よし…理論的には出来るね…待っててね!リュート君特製の武器を作ってあげるよ!」
「えっ…マジ…?シノンそんな事もできるの?」
「うん!ただ、鍛治は他に頼む事になるけどね」
「へぇ…楽しみにしてるよ、ありがとうシノン」
「ふふ…これは腕がなるぞ〜…」
凄いワクワクしてるなシノン…魔道具作りが大好きなんだろうな、俺もちょっとやってみようかな?
「なぁなぁ、暇な時にでも俺にも魔道具作り教えて欲しいなー」
「もしかして魔道具作りに興味ある?!」
ずいっと息が触れる所まで近づくシノン、ち、近い…
見た目美少女だから心臓に悪い
「う、うん…ちょっとやりたいなって思って」
「いいよ!全然教えるよ!なんなら今からでも!」
「さ、さすがに今は遠慮しとくよ。ロミリア先生にも呼ばれてるし」
どうせ魔力干渉してくれだろうけど、このまま逃げてもいいかもしれない
「そっか…じゃあ今度教えてあげるね!いや〜魔道具研究仲間が増えて僕は感激だよ…ぐす…」
いつも持ち歩いている人形?を抱きながら泣くシノン
な、泣くほど嬉しかったのか…ん?そういやシノンがいつも持ってる人形っぽい奴って…
「シノンの持ってるそれも魔道具なの?」
「えっ…?あ、ああうんそうだよ、僕が初めて作った魔道具なんだ。まぁ魔道具と呼べるのかも怪しいけどね…ちょっと動く程度だし」
「えっ…それもシノンが作ったのか凄いじゃん」
「…そうかな?」
「うん…初めてでそれ作るの俺だったら無理だと思うよ?凄いよシノンは」
俺作ったら爆発とかしそうなんだよな
『それは流石に不器用すぎませんかね』
「…そんな事言われたの…初めて…僕、いっつもノロマでドジで虐められてばかりだったから」
「シノン…そんな事ないよ、周りが分かってないだけさ。俺はシノンは凄いって分かるよ」
「ありがとう…リュート君…!僕頑張るよ!」
「ああ!応援してるから」
シノンも辛かったのかな…凄いやつだと思うけどなぁ…殆ど職人の領域だと思うし
「ふふ…僕…凄いんだ…えへ…えへへ」
顔を赤らめながら微笑むシノン、可愛い…惚れそう
いやまてシノンは男だ、何を言ってるんだ俺は
「ぐふっ」
「り、リュート君?!どうして自分の頬を殴ったの?!」
「ごめんシノン…俺は最低だ…」
「え、ええ…?」
「そろそろロミリア先生の所に行かなくちゃ…じゃあね…」
「あ、うん!また明日!」
あれ以上あそこにいたら何かを失いそうになる所だ…
「…リュート君…えへへ…僕凄いやつか〜…ふんふん〜…」
…
…
「…何で頬が腫れてるのかしら?」
「自分への戒めです」
「そ、そう…ええと、今日呼び出したのは昨日のお礼をしようと思ってね」
「お礼?」
「私とレディッサが仲直り出来たのは貴方のおかげだからね、そのお礼よ」
「なるほど…でも別に俺は何もしてないですけど」
「ふふ、いいえ…私がこうやって気づいたのはあなたのおかげだもの、そんな事はないわ」
「そうですかね…それで…お礼って言うのは…」
「これよ」
ロミリア先生が持っていたのは水色の宝石が入った指輪だった
「…指輪?」
「これはね極級ダンジョンで見つかった魔道具なの」
「ご、極級ダンジョン…?」
ダンジョンにはランクがある
DからC級が入れる下級ダンジョン
B級から入れる中級ダンジョン
A級から入れる上級ダンジョン
そして…S級のみが入る事を許された極級ダンジョン
「…確かここ数十年はS級冒険者は居ないはず…」
「ええ、これは貴方の先代…200年前の勇者がダンジョンで取ってきた物よ」
勇者マイが…!S級冒険者だったのか…!
「…レディッサに言われて思い出したけど私、勇者に会ったことがあったのよ…勇者がどの程度の強さか知りたかったから襲ってね…」
少し恥ずかしそうに語るロミリア先生
「ええ…勇者を襲ったんですか…」
俺も襲われたけど…どんだけ戦闘狂なのこの人
「し、仕方ないじゃない、あの時はレディッサに追い付こうと必死で自分を強くしようとしてたから…」
「…本当は?」
「…ただ単純に戦いたい欲に負けました…」
「はぁ…勇者2代を襲うって多分ロミリア先生くらいですよ…」
「ぐっ…反省してるわ…そ、それでこの指輪の事も思い出してね。その時は勇者もまだ訓練中だったらしく私が一応勝ったのよね」
「…それは凄いと褒めるべきか迷いますね」
「ま、まぁ…それでその対価として無理や…ごほん、報酬としてこの指輪を貰ったの」
今無理やりって言いかけましたよ、世界を救う勇者になんちゅうことしてるんだ…最早この人が魔王じゃなかろうか
「確か勇者が言ってたのは…水の指輪…だったかしら?」
「水の指輪…?」
「何でも適性を持ってなくても水の魔法が使えるとかなんとかって言ってた気がするわ」
めちゃくちゃ凄い指輪だ…!それを無理やり奪ったのかロミリア先生は…
「そういう事だから貴方にあげるわ」
「本当いいんですか?凄い魔道具みたいですけど」
「いいのよ、別に私水の適性持ってるから使わないしそれにこれは勇者の形見みたいな物でしょ?貴方が持っておいた方がいいんじゃないかしら」
「それなら…ありがとうございます」
勇者マイの形見か…勇者マイはどんな人だったのかな
前世の最後しか知らないからな、俺みたいに冒険者を
仲間と一緒にやってたのかな?
「ふふ、じゃあ指輪も渡したし始めましょうか」
「な、何をでしょう」
あれぇ凄く嫌な予感がするぞ
「何って…魔力干渉よ」
「すみません、失礼しました」
「逃がすとでも?」
「くっ、扉が開かねぇ!」
「ふふ…さぁ!早く早く!」
「いやあああ!!」
こうしてまた勇者と学園長の噂が広まるのであった
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