第九十五話
「せっかくだし一緒にクエスト受けようぜ!」
「うん、いいよ。受けよっか」
そういえばルシュとは一緒に戦った事は無かったな、一応城での訓練の時に練習はしてるんだけど…実戦は初めてだ
「…じー」
「あ、アリア…」
「…げっ…アリア副団長も居るのか」
「私がルシュ王子を見逃すとでも?」
「くっ…やっぱりダメか…」
「…と言いたい所ですが、まぁいいでしょう。今回は見逃してあげます」
「…マジ?」
「ええ、その代わり私がここに居ることはどうかご内密に…」
アリアも抜け出して来てたのかよ!ロディ先生…今頃書類に追われてるんだろうな…
「わ、分かったよアリア副団長」
「それじゃあ私はマリンさんとお話でもしてますね」
「うん、クロスケもアリアと一緒に待っててね」
「ニャー…」
少ししょんぼりとしながらアリアの元にいくクロスケ
「…後でおやつ買ってあげるか」
『リュート様はクロスケには激甘ですね』
「そんな事ないと思うけど…ただペットの玩具やおやつを買い漁ってるだけだよ」
『…ツッコミ待ちですか?』
「いやこんなの普通でしょ」
『将来とんでもない親バカになりそうですね』
「リュート〜クエストはこれでいいか〜?」
ルシュが見せてきたのは、デスオークの討伐
「これA級じゃないか」
「余裕だろ、俺もリュートもA級なんだし」
「まぁそうだ…ええ!?ルシュもA級なの?」
「あれ知らなかったか?この前やっとA級になったんだよ、ほら」
ギルドカードを見せてくる、確かにそこにはA級と書かれていた
「凄いなルシュ」
「まぁな、流石にリュートみたいに3ヶ月でなる事は出来なかったけどな」
「あれはイリスのおかげでもあるからな…」
「そのイリスって人はもしかしてこっちを見てる獣人族の人か?」
ルシュが指を指した方を見ると、俺をジト目で見つめるイリスが居た
「あ、ああうん合ってるよ」
「めちゃくちゃジト目で見られてんぞ…何かしたんじゃないのか?」
「…多分想像はつくよ」
…
…
「何故リュートは私を差し置いて他の奴とクエストを…ただでさえ最近一緒にクエスト受けてないのに!」
「まぁまぁ、リュート様もルシュお…ルーシュさんと友人同士でクエストを受けたいのですよ」
「…私もリュートの友人だもん」
「…まぁそうですけど…」
「今度リュートには1日クエストに付き合ってもらおう…!」
「ふふ、リュート君はモテモテね」
…
…
「今度イリスにはご飯でも奢るか」
「…大丈夫なのか?」
「イリスなら大丈夫だよ…多分、それじゃ行こうか」
「おう、デスオークの生息地はミラノワの南にある草原だな」
「よし出発だ」
俺とルシュはデスオークがいる草原へと向かった
「後1年したらこんな風に旅をするんだよな」
「そうだね〜、まだちょっと想像出来ないけど」
「ようやく世界をこの目で見れるんだ…ワクワクが止まらないぜ…!」
本当に嬉しいんだろうなルシュ…そういやルシュは異種族差別は知ってるのかな
「…ねぇ、ルシュは異種族差別は知ってる?」
「ああ、最近よく耳にするよ。最低だよな…同じ人間だってのによ」
どうやらルシュも差別には否定的なようだ、良かった
「1年後の旅に支障が出ないといいけどな」
「うん…なんで異種族差別なんてできたんだろ」
「さぁな…でも200年前まではそんなものは無かったのは確かだ」
「200年の間に何かが起こった…?」
「どうだろうな、こればっかりは歴史の本にも資料もない内容だし」
「そうだよね…」
「リュートは気になるよな、イリスさんも獣人族だから尚更」
「…うん」
「もしかしたら旅をしてたら分かるかもしれないし一緒に探そうぜ」
「ルシュ…うん、ありがとう」
「よし、それじゃどっちが草原まで着くか競走な!」
そう言ってルシュは走り出した
「ちょっ…言いながら走るのはずるいぞ!」
きっとルシュなりに気を使ってくれたのだろう、本当良い友人だな…
…
…
「ぜぇ…ぜぇ…俺の…勝ちだな…」
「はぁ…はぁ…くそう…ずるいぞ…ルシュ…」
全速力で走ったせいで戦う前から疲れた…
「ふぅ…ん?おいデスオークってアイツじゃね?」
「…確かに冒険者マニュアルに載ってる奴だね」
「…やるか」
「よし、いこう!」
「おう…!ってお前それ…弓?」
「そうだよ?」
「短剣はどうしたんだよ」
「もちろんあるよ、でも今日は弓の気分なんだよね」
一応俺は全ての武器種を平均より上並に使える、いつもは扱いやすくて邪魔にならない短剣を愛用してるけど
「なるほど…なら俺が前に出るからリュートはサポートよろしくな」
「了解!」
「…ブルル…」
「はぁっ…!炎魔法: 爆炎龍破!」
「ブルル?!」
炎の龍がデスオークを飲み込み、爆発する
「ふん…リュートの出る幕すら無かったな」
「ええー少し手加減してよー」
「俺が強すぎたんだ、悪いな」
ドヤ顔でこちらを見るルシュ
「はぁ…全く…っ…!いやまだみたいだよ」
「…ぶる…ブルルフオオオ!!!」
「マシかよ…!」
火傷は負ってるが、致命傷にはならなかったようだ
「…ブルン!」
オークの棍棒がこちらに迫る
「っおらっ!!!」
ルシュの大剣とぶつかり、風圧がこちらまで吹く
「…流石A級…!」
「…今度こそ俺の番だね…聖矢」
光の矢が手に生成される
「狙うは…目だ」
弓を引き、放つ
「ブルルフぉ!」
「命中…!」
「ナイスっ!そりゃあっ!!!」
ルシュが地を蹴り飛び、頭から大剣を振り下ろす
「…ブルルフゥ…!」
デスオークはルシュに斬られ、倒れた
「よしっ!こんなもんよ!」
「やったな!」
「おうっ!俺とリュートのコンビの前じゃA級だろうと余裕だぜ」
「そうだね!」
こうして初めての実戦での協力はあっけなく勝利したのであった
ここまで読んで頂きありがとうございます!面白ければ星・レビューをつけて頂けたら嬉しいです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます