第九十三話

結局あれから魔力干渉を使ってロミリア先生の要望に応えた。途中先生が人が出してはいけない声を出した時は流石に泣いて止めさせてもらったけど


そして次の日


「…勇者様と学園長のスキャンダルですって!」


「マジかよ学園長…」


「学園長が羨ましい…」


「俺…勇者様に告白してくる…!」


「まて、気づいてないがお前男だぞ」


「ちくしょう…!」


やはり噂は広まってました、はぁ…


「…それで?何か言い訳はございますの?」


現在、俺はエリスに尋問を受けていた。正座で


「…いえ…誤解というか…そんなことは一切ございません…」


「本当ですわね?…ね?」


「ひいい…はい…何も無かったです…!」


「それならいいのですわ」


エリスが微笑む、しかし目は笑ってなかった


「…あの二人って恋人なの?」


「…違うけど、微妙だな…最早夫婦と言うべきか…」


ルシュとカナリーがこちらを見て話し合ってる、出来れば助けて頂けると嬉しい…


…目を逸らされました


「こほん、授業を始めるわよ」


ロミリア先生が教室へ入ってくる


「…全く、変な噂話が広まってるけどあれはデマだから。信じちゃダメよ?」


「ま、リュートはチキンだしそんな事だろうとは思ってたぜ!」


サムズアップしながらこっちを見るルシュ、それはバカにしてると言うことでいいのかな?




「ああ…やっと午前中の授業終わったー!」


「…〜!」


「飯食おうぜ〜」


「そうだな〜」


「うおおおおぉ昼飯だあああ!!」


そんなに叫んで喉は痛めないのだろうか…


「…よいしょ…」


シノンはお弁当みたいだ


「シノンは弁当なんだな」


「うん、食堂は混んでるからね」


一応魔法学園には食堂があるが、シノンの言う通りめちゃくちゃ混んでる。油断してると昼休みが終わる程


「俺たちは売店で適当に買ってくるか」


「そだね」


シノンが弁当を開ける、彩りもよく。とても美味しそうな弁当だ


「おーシノンの弁当美味しそうだね」


「そう?ありがとう…!もぐもぐ」


「シノンのお母さんは料理上手なんだろな〜」


「もぐもぐ…お母さん?僕は父子家庭だよ」


「えっ…じゃあお父さんが弁当作ってるの…?」


「弁当や料理は僕が作ってるよ〜」


「うぇ?!マジかよめちゃくちゃ美味そうじゃん!」


「凄!女子顔負けだよ」


いや女子だよもう、見た目も女子で料理も出来るのは女子だよ…ルシュも驚いてるようだ


「えへ…そんな事ないよ」


「…むむ…シノンには負けてられませんわ…」


何故かエリスがシノンに対抗意識を持っていた


「…リュート…今度お弁当作ってきますわ…!」


「え、ええ?べ、別に無理しなくても」


「無理はしてませんわ!食べてくれますわよね!」


ずいっと目の前まで迫ってくるエリス


「う、うん、もちろん!エリスがいいなら」


「ふふ、早速内容を考えなければ…ぶつぶつ…」


「…お前も大変だなリュート」


苦笑いしながら小声で話すルシュ


「君の妹だろ…兄としてそれでいいのか…」


「まぁまぁリュートだし大丈夫だろ」


「本当、俺への過剰な信頼は何なんだ?」


「お前は自分を過小評価し過ぎだな」


ニヤニヤと背中を叩く


「さ、早く行かないと売れ切れてしまうぞ」


「そうだね」


こうして色々ありながらも学園生活を過ごしていった




2週間後



「ホット君は無駄が多い!もっと魔力を使う時に調整を心がけなさい!」


「うおおおおぉ!分かりました!!!先生!」


「カナリーさんは魔法を撃つ時の隙が大きいわ!もっとスムーズに行動を移すこと!」


「はい…!土魔法:土竜刃!」


「エリスさんはとにかく魔法を撃ちまくるのよ!魔力の総量を増やすのはこれしかないわ」


「分かりましたわ!水魔法:激流砲!」


「シノン君はもっと1発の威力を高めるの、いつもの倍魔力を使うイメージよ!」


「わ、わかりました!雷魔法:雷狼爪!」


「ユーナさんは味方の状況を全て把握する事!貴方がチームの命綱なのよ!」


「…!」


「ルシュ君はまだ魔法が荒いわ!貴方ならもっと無駄を無くせるはずよ!」


「くっ…!分かりました!!!」


「…リュート君は…まぁうん…頑張って」


「なんで俺だけアドバイス無いんですか?!」


ちょっとワクワクしてたのに!


「だって教える事殆ど無いもの、最初に言った通り無属性魔法に頼りすぎって部分も気をつけてる見たいだし」


「ええ…」


「貴方に必要なのは知識ね…勉強を頑張りなさい、そしたら今より更に力の使い方が分かるわよ」


「…はい」


「という事でリュート君は魔法理論の勉強ね」


「そんなぁ…」


体を動かした方がいいなぁ…はっ…ホットみたいな事を言ってしまった


「ああ〜勉強なんて嫌いだ〜…」


「ふふ…そんな苦しい表情を見るとゾクゾクするわ」


またゾクゾクしてるよ…はぁ…レディッサ先生とロミリア先生が出会ったら一体どうなるんだ…


「…ふふ」


貴方はすぐに知識を吸収して自分のものに出来る天才

学べば学ぶほど強くなる…レディッサみたいにね


「…へぇ…魔法ってこんな風に使ってるのか…」


「…頑張ってね、リュート君」


次の日


「今日は学園は休みだー!勉強しなくて済むぞー!」


休みって最高だな!今日はゆっくり休むぞーー!


「とはいかないんだよな…はぁ…レディッサ先生とロミリア先生が会う日だ」


とうとうこの日が来てしまった、あのイタズラ好きの魔女とドS学園長が対面してしまうのだ


「…久しぶりに胃が痛い」


俺はレディッサ先生の元へ行く


「失礼しまーす、準備できましたかー」


「お、おう…出来てるが…いきなりアイツが会いたいなんて珍しい事もあるんだな」


少し緊張してるみたいだ、そりゃもう100年近く会ってないってロミリア先生言ってたしな


「…レディッサ先生はロミリア先生の事どう思ってるんですか?」


「アイツか?うーん…いつもオレに対抗してきて…魔法の研究で煽ってくるし、いきなり襲いかかるヤバい奴って感じかな」


散々な言われようだよロミリア先生…八割ロミリア先生が悪いけど


「でも…昔の事は忘れたつもりだったんだがな…アイツはオレの初めての友達なんだよ」


「…!」


「…化け物とか魔法に取り憑かれた魔女なんて怖がられていた時に、アイツはいつも勝負だって言って魔法で襲ってくるんだぜ?…おかしい話だ」


レディッサ先生は思い出に浸るように微笑む


「…よくよく考えるとアイツはオレと対等に接してくれてた、オレを怖がらず…オレに追い付こうとしてくれてたんだ」


「レディッサ先生…」


「アイツはライバルであり友達だな!」


「なるほど…それじゃあそろそろ行きましょうか」


「おう、でも会って何を話せば…久しぶりだからな」


「今のをそのまま伝えたらいいんですよ」


「…恥ずかしいんだが」


「レディッサ先生なら大丈夫ですよ、頑張って」


きっとあなた達なら昔のように戻れますよロミリア先生、いやもしかしたら今も昔も変わってないのかも…


「ロミリア先生は考えすぎなのかもな」


「何がだ?」


「なんでもないです」


「なんだよ〜教えろよ〜!」


「いいからいいから、時間、間に合わなくなっちゃいますよ」


「わかってるよ〜!」




そうして俺たちはロミリア先生の元へ向かった

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