第四章 学園生活編
第八十四話
「一度、勇者とやらと戦ってみたかったの。あの冷徹の魔女の教え子と聞いたら尚更…ね」
「は、はは…」
「さぁ、貴方の実力を私に見せてみなさいリュート・レギオス」
「…ああ、なんでこうなった…」
俺は今、魔法学園の学園長であるロミリア・ランゼルク学園長と模擬戦をしていた…
…
数日前
…
「おいリュート!あとちょっとで学園だぜ!学園!」
「分かった、分かったから体を揺らさないでくれルシュ…」
教会の神父を倒してから2年の月日が流れた、その間はレギオス領でのんびりと自主練しながら過ごし、つい先日、学園に入学するため再び城に戻ってきていた
「でも俺達は下手に行動できないからあんまり意味ないと思うけど?」
「それを言うなリュート…くそ!ここに来て王子という肩書きが邪魔をする!俺は学園生活で友達の1人や100人作りたいってのに!」
100人は流石に多いと思うけど…というかルシュも2年で大分成長したな〜、背なんて150超えてるんじゃないか?それに比べて俺…2年前から殆ど伸びてないな…うっ…
「…まだ12歳だし希望はあるはず…うん…そう信じよう…」
「それでさ〜、父様も多少許してくれてるけどやっぱり人付き合いには厳しくて…聞いてる?」
「あ、うん聞いてる聞いてる」
「リュートも色々制限されてるんだろ?」
「まぁね…2年前の襲撃もあったし、家でも護衛付きで過ごしてたよ…学園でもそうなりそうだ」
父上がめちゃくちゃ心配性だったのもあるけど
「はぁ…俺たちに青春は無いんだな…」
「そうだね…」
「「はぁ…」」
「2人してため息をついて何をしていますの?」
「おーエリス〜聞いてくれよ〜!」
「お兄様の事ですし、どうせ学園生活をもっと気軽に過ごしたいとでも言ってたんでしょう?」
「その通りだ!全くエリスからも父様に言ってくれ」
「私はお父様に賛成ですわ、お2人が安全ならそれが1番ですもの」
「ええーエリスも父様の味方かよー」
「まぁまぁ、友達を絶対作るなとは言われてないんでしょ?」
「そりゃそうだけど…」
「慎重に選べば国王陛下も何も言わないさ」
「それもそうだな、まぁ正直友達はリュートがいるからそこまで欲しくは無いんだけどな」
嬉しい事を言ってくれるな〜、ちょっと気恥しいけど
「俺もルシュがいるからいいかな」
「あら、私は友達じゃないんですの?」
エリスが少し近づいて上目遣いで聞いてくる、何でだろう2年前から積極的になってません?
王女と言うより小悪魔的な雰囲気を感じるんですが、誰の影響だ…俺の心臓が待たないじゃないか!
「エリスももちろん友達だよ」
「ふふ、ならいいんですの。…まぁ私としてはそれ以上でも…ですわ」
「…最近兄である俺の前でも躊躇が無くなってきてるな…エリス」
「はて、なんのことでしょう?」
「リュートだから許してるんだからな?他のやつにしてたら俺泣くぞ?」
「リュート以外にするとでも?」
「…無いな」
2人の俺への謎の信頼は何ですかね
「そういやリュートは勇者の残りの仲間は決まったのか?」
「それがなぁ…3人の内ルシュともう1人は決まってるんだけど後1人がどうしても見つからなくてさ」
「もう1人って…俺以外に1人見つかったのか!どんな奴なんだ?」
「不思議な力を使う子でさ、喋れないんだけど、でもその子は勇者の仲間になれるぐらい強いんだ」
「へぇ〜今度会わせてくれよ!未来の仲間だしさ」
「もちろん、今は教会でシスター見習いとして忙しそうにしてるから今度になっちゃうけど」
「なるほどユーナさんですの、あの方なら確かに心強い仲間ですわね」
「…エリス、ユーナに会ったことあるっけ?」
「…!ま、前に話してくれたじゃないですの」
「そうだっけ…」
「え、ええ、えーとそれじゃあ残りのお一人は学園で見つけるんですの?」
「…うーんそうだなー、そうなるだろうね〜」
「リュートは大変だよな、命を預ける仲間だし」
「本当難しいよ」
「学園には優秀な方が沢山いるみたいですし、きっと見つかりますわ」
「そうだね、頑張って探してみるよ」
「ああ、でも…」
「ん?」
「どうか鼻を伸ばして何処の馬の骨か分からない女に引っかからない様に…お願いしますね?」
普段より2トーン低い声で耳元に囁かれた
「は、ひゃい!」
「…ふふ」
「…兄貴なのにたまにエリスが怖い…リュート頑張れ、お、応援してるからな」
ルシュは震えながら応援していた
「そうだ、レディッサ様がお呼びでしたよ」
「れ、レディッサ先生が?分かった行ってくる」
「ええ、お気をつけて」
「ひぇ…行ってきます!」
「俺…将来怖くない人と結婚しよう…」
「何か言いました…?」
「い、いや何も言ってないです」
「ふふ、それならいいんですの」
…
…
「失礼しまーす、呼ばれてきましたリュートです」
「お〜う、来たか、まぁ座れよ」
「じゃ失礼して、それで用とは?」
「実はこのウルトラスーパー魔力増強超超DX&EXの被検体になってもら…」
「失礼しました」
「ちょ、まだ最後まで言ってないだろ!」
「嫌です、なんですかその明らかにやばい名前は。副作用ありますよって自己主張しすぎです」
「べ、別に普通の増強薬なんだって。…ほんのちょっと体に異常をきたすだけで…」
「言ったよこの人、異常をきたすって言っちゃった」
「少し身長が縮むだけだって、誤差の範囲だよ誤差」
「先生は黒づくめの組織に入ってるんですか?嫌ですよ絶対に」
「ちょっとだけ…」
「ダメです」
「なんだよ〜けちー!いいよ後でアリアのお茶に混ぜとくから」
「いやそれもアカンでしょう」
「大丈夫、あいつ結構気づかないし。へーきへーき」
犯罪者みたいなこと言ってるよこの人、本当に冷徹の魔女か?イタズラ好きの魔女だろ絶対
「アリアが可哀想なのでやめましょうね」
「わかったよ…はぁ…」
「そんなに落ち込むなら自分で飲めばいいじゃないですか」
「やだよ、こんな色のやばい薬飲むわけないだろ」
「…」
やべぇ人だ
「さて冗談ここまでにして、今日呼んだのは学園の事なんだよ」
「冗談かよ、一瞬先生の信頼が地の底まで落ちましたよ。で学園が?」
「なに、ちょっとした警告みたいなもんだよ。…学園長には気をつけろよ」
「学園長に…?」
「あいつ、オレと同じ位にイカれてるからお前すぐ狙われると思うぜ」
ご自分がイカれてるのは分かってたんですね…
「…なるほど、気を付けときます」
「まぁ、多分魔法で襲ってくるぐらいだろうしお前なら大丈夫だろうけどな」
「怖!学園長怖!」
生徒に魔法で襲ってくるって、本当に学園長なんですかその人?
「あとオレと同じで見た目にも騙されるなよ」
「もしかして学園長も…」
「年齢を止めるか戻せる魔法薬を編み出してるよ、全くオレと張り合いたがる物好きな奴だ」
「レディッサ先生は学園長とお知り合いなんですか?」
「ああ、腐れ縁さ。もう何百年もな」
「そうなんですねぇ…」
「とにかく、油断さえしなければ勝てるだろう。頑張れ、リュート」
「…分かりました頑張ります」
「よしよし流石我が教え子」
頭を撫でながら笑うレディッサ先生
「じゃ、用は終わりだ。オレはこれからアリアとお茶しに行くから戻っていいぞ」
「…そういえばレディッサ先生ってアリアとそんなに仲良かったですっけ?」
最初会った時めちゃくちゃ睨んでたような気が…
「べ、べ、別に普通だろ?え、えーとあれだ!ま、魔法の事で仲良くなったんだよ!」
「そ、そうですか」
急にあたふたと焦る先生
最近俺以外で女性陣が集まってるみたいだし女子会でもやってるのかな?
『リュート様も中々の鈍感ですね』
ステさんに煽られた気がした
今回から第四章の始まりです!星、コメントしてくれたらモチベ爆上がりなのでよろしくお願いします!
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