第五十四話

そうだ俺はレミシアを倒しに来たんだよ、でも前と何か違うんだよなぁ…別に無害そうだし


「なぁレミシア」


「ん〜なぁに〜?」


レミシアは美味しいものを食べられると知りテンションが高い


「レミシアは勇者を殺したいと思うか?」


「勇者?あの大昔の?えっそんな昔の人なんてもう死んじゃってるでしょ、もし居ても殺しなんて物騒なことする訳ないよ〜!」


「そうか…」


やっぱりレミシアは戦う意思がない、じゃあなんで俺たちを襲ってきたんだ?二重人格…?それとも…



誰かに操られていたのか…?



「…?リュート君今なにか言った?」


「えっ?いや何も言ってな…」


突然レミシアが苦しみ出した


「ぐう…ああ…頭が…痛い…!」


「レミシア?大丈夫か!?」


「ああ…何…言ってるの…?やめて…!私…うう…リュート…君…たすけ…」


「レミシア!」


様子が変だ、なんだ…一体何が起こっている


「あ…う…うう…!違う…!リュート君逃げで!はやく!ああああ…!」


「…この感じあの時の…!」


レミシアから黒いオーラが溢れ出す


「…勇者を殺す…」


「やっぱりレミシアだったんだね…」


でも多分操られていたんだ、どうやってるかはわからないが。そういうことなら…


「あはっ…リュート君…美味しいものより欲しいもの見つけちゃった〜…貴方の命…ちょうだい?」


やる事は変わらない、敵を倒すんだ…ただ1つだけ違うのは…


救う人が1人増えただけだ



「悪いね、レミシアのような可愛い女性にあげるのは構わないけど…今の君にはあげられないな」


前回は無属性魔法も光魔法も使ってダメだった、なら今回はアイツを倒す程の更に新しい何かで戦うしかない。


ヒントは前回で貰った、後は出来るかどうかだが…俺は天才だから大丈夫だ…やれる…!


「はははっ!つれないなぁリュート君は!じゃあ無理やり奪っちゃうよ…!」


「ああ、取れるものなら取ってみな!」


ヒントは2つ、1つ目はアリアが使った水魔法水流縛り

あれを光魔法で再現出来れば魔族には効果抜群だろう


2つ目は魔王だ、魔王が俺の体を操っていた時ふと魔力を見てみると高速で全身を巡っていた


もしかしたら魔力をいつもより早く動かすと身体能力が上がるのでは無いだろうか


試す価値はある…ぶっつけ本番だけど必ず成功させる


「あはっ!行くよ!」


来る…俺は天才で!この世で1番強くて!勇者になる男だ!今ここで、強くなってやる!


「はああああ…!」


「なに…?!」


全身の魔力を全て高速で循環させる!


「無属性魔法:魔力超速:2倍速」


頭が冴える、全部が遅く見える。これなら


「あはっ…なんなのそれ!くらえ!」


凄い…アイツの攻撃が遅い…前回は目で追えてすらいなかったのに…!これは魔王に感謝だな…!


短剣でアイツの腹を切り裂く


「ぐう…!は、はやい!なんなんのよ!私が、速さで負けるなんて!」


「ふぅ…来いよ、まだまだやれるだろ?」


ごめんねレミシア、痛いだろうけど我慢してくれ…どうにかしてアイツの動きを封じて元のレミシアに戻す方法を調べなきゃいけない


「くぅ…有り得ない…!私が速さで負けるなど!」


殴る速さも蹴る速さも遅い、俺は避けながらアイツの体力を削っていく


「クソっクソっ!スキル:血装」


来たか、アイツのスキルは血で身体を纏って変化したり身体を強化できる能力だと言うのは分かっている。なら更に速く、当たらなければ余裕だ


「無属性魔法:魔力超速:3倍速」


循環の速さを3倍にして、アイツを蹴り飛ばす


「なっ!がはっ…」


「はぁ…はぁ…流石に3倍は体の負担が凄いな…」


無理やり循環を速くしてるから体中がキシキシと嫌な音を立てる


そろそろ終わらせなきゃヤバい



「あああ!!!どうしてどうしてどうして!私が1番速いのに!こんなの認めない!」


起きやがったアイツが今度は全身に血を纏っていく、こんなの前回でも見た事ないぞ…


全身に血を纏ったアイツはまるで巨大な鎧の巨人のようだった、あれはヤバい…!


「ああ…本気にさせた事を後悔させてやる…!あはは!」


腕は巨大な剣に変化しており、俺を切り殺そうと攻撃が降り注ぐ。


「ちっ…また速くなったのか…スキルって便利だな!ちくしょう!」


今の状態では3倍速がやっとだし…体力の限界も近い、クソっ…また負けるのか…!


いやまだ1つ試していないじゃないか…やってみるか!水流縛り!


アリアが使っていた時を思い出す、あの時水の玉を撃ったと思ったら形が縄の様に変化してアイツに巻きついたんだ。それを真似出来れば



「はは!どうしたの?さっきまでの威勢は」


「うるせ!今お前を倒す方法考えてんだ!」


「あはっ!そんなの無理だよ!私は強いからね!」


光の玉は、圧縮魔弾の感覚でいいか…形状を変化させるのは…気合いでやるしかないか


「まずは光の玉を作り出す」


アイツの攻撃を紙一重で躱しながら自分の周りに光の玉を作るようイメージする


「何それ、ただの光ってる玉じゃん!そんなのが私を倒す方法なの?舐めてる?殺しちゃうよ!」


「確かにただの玉ならお前を倒せやしないだろうさ!」


光の玉をアイツに放つ、ここからが難問だ…縄のイメージ…縛るんだ…アイツを


「縛れ!光魔法:魔光縛り」


「なっ!なにこれ…!離せ!クソっ!」


よし!成功だ!ふふ、やはり簡単には解けないか、これでアイツの動きを封じた。後はレミシアを助けるだけなんだけど…






どうすればいいんですかね?

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