第十八話
さて次はルシュとエリスの所に行きたいんだけど2人が何処にいるのか分からないな
「まずこの城が大きすぎて迷うんだよな…」
うーん行き当たりばったりで行っても迷子になるのがオチだしなぁ、と思いながらどうしたものかとしばらく歩いていると前から誰かが向かって来ていた
「まぁリュート!目が覚めたのですね!」
そこに居たのは護衛を引連れたエリスだった
「やぁエリス!うんついさっき起きたんだ」
「心配したのですよ?せっかく出来た友達がすぐに1週間も眠っちゃうなんて」
「ごめんね、心配かけちゃって」
「ふふ、でも元気そうで良かったですわ。それでリュートはここで何をしていましたの?」
「それが僕が目覚めた事をルシュとエリスに伝えたかったんだけど何処にいるのか分からなくてね…迷ってたんだ」
「あらそうでしたの、ならせっかくですし私が城を案内しますわ!」
「本当?良ければお願いするよ」
これはありがたい申し出だ、しっかり覚えとかないと
「ではまずこれから私が向かおうとしていた王城庭園から行きましょう」
「分かった!」
庭園か、この異世界にはどんな花が咲いているのかな
それからエリスに道を教えもらいながら庭園へと到着した
「す、すごい綺麗だ、こんなに綺麗な庭園見たことないよ」
「あら嬉しいですわ、この庭園は私とお母様が育てていますの」
ほんとに綺麗だな、色鮮やかな花たちが生き生きしてるのが分かる、前世でもここまでのものは見た事ないな。まぁ前世もテレビ位でしか見た事ないけど
「そうなんだ、すごいな」
「ふふ、さっきからリュートは凄いしか言ってませんわ」
「ああ、あまりの綺麗さに語彙力が低下してたみたいだ」
エリスが微笑む、4歳児には見えない上品な笑い方だ
きっとこれから成長すると美しい王女になる事だろう
「ここは私とお母様の思い出の場所なのですわ、私が生まれてすぐにお母様は病気にやられ寝たきりになってしまって、それでも調子がいい時はここで一緒にお花の手入れをしてますの…」
「エリス…」
「だからこの庭園を綺麗と言ってくれてとても嬉しいですわ、ありがとうリュート」
今度は少し悲しいそうな笑顔だった、その笑顔が何故か鮮明に頭に焼き付いた
「いつもはお勉強をした後お昼はここにいますので、いつでも遊びにきてくださいね?」
「うん、また遊びに来るよ」
もし、俺が勇者になったのならルシュとエリスのお母さんは救えるのかな。俺は大切な人を絶対に守ると決めた。大切な人の大切な人は俺にとっても大切な人…だからな、今度勇者について詳しく調べる必要がありそうだ。
「それでは次はルシュお兄様が普段おられる王城図書室へ行きましょうか」
「分かった!」
図書室か、そこなら勇者について調べられそうだ
それにしてもルシュは本が好きなのか?体動かす方が好きそうな感じだったけど
そこからまたエリスに案内してもらい図書室へ着いた
「着きましたわ、ここが国の歴史、その他もろもろ揃っていると言われている王城図書室ですわ」
「いや広?!本も多?!全部読むのに何百年かかるんだ…」
「ふふ、あ、ルシュお兄様が居ましたわよ」
「ん〜?おお!リュートじゃないか!起きたのか!心配したんだからな!」
俺達に気づいたルシュが突進してくる
「ぐえっ!」
「せっかくの最初の友達を失うなんて冗談でも嫌だぞ!このこの!」
「ご、ごめん!悪かったから、身体揺らすのやめて…」
「ルシュお兄様、リュートが困ってますわよ」
「ふぅ…悪ぃちょっとやりすぎたな」
「大丈夫…」
「もう心配かけさせんなよ?」
「ああ、分かってる」
「ならよし、でここにはなんの用で来たんだ?」
「今リュートに城の案内をしていますの」
「なるほど、それでここか。ここはすげぇ所だぜリュート、面白い本ばかりだ」
「ルシュは本が好きなの?」
「ああ、意外か?」
「うん、ルシュは身体動かすほうが好きかなって思ってたから」
「まぁ身体を動かすのも好きだけどな、でも俺が1番好きなのは世界の歴史なんだ」
「世界の歴史…?」
「世界にはな、色んな種族や文明が広がってるんだぜ。エルフやドワーフ、獣人族だっている。そしてその種族それぞれの歴史があるんだ!ワクワクすると思わないか?」
確かに歴史はワクワクするな、前世も世界史が好きだったし
「うん、僕も他の種族の歴史は気になるかな」
「だろ?!本当はさ自分の目で確かめたいんだけど…でもお前は王子だからって父様が反対してさ、だから本で見るしか無いんだ」
そうか王子だもんな…無闇に外に出ると狙われたりするかもしれないのか
「そうなんだ…残念だね…」
「ああ、でもいつか絶対にこの目で見てやるんだ!反対を押し切ってでもな!それが俺の夢だ!」
「そっか、でもあまり無茶しちゃダメだよ?僕もルシュが傷つくのは見たくないから」
「もちろん、ありがとなリュート。あと俺の夢を話したのはお前が初めてだからこの事は内緒にな!エリスもだぞ?」
「うん分かった」
「しょうがないですわね」
「へへ、頼んだぜ!」
そうやってルシュは照れくさそうに笑った
叶うといいな、ルシュの夢。密かに応援しておこう
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