第7話 ♠漂流

ゆらゆらと漂って、僕は行き先も分からないまま流されて、たどり着いた場所は

鬱蒼とした森でした。

木漏れ日がゆりかごに差し込んでいる様子が尊くて、僕はそっと覗き込んだけど、その中は空っぽだった。

赤子はなく、ぬくもりもとうに消え去り、蔦が絡みついたゆりかごをぼんやりと見ていると、虚しくて涙が溢れてきます。木々の影が重く伸びて僕を飲み込もうとしてきました。

夕焼けが森を赤く染める情景が僕に愛しさを思い出させて、ここではなかったと心を揺さぶる。

愛は素晴らしいものだと誰かに言われたのです。愛を知ればきっとこの飢えを癒せる。

次の場所へ愛を探しに行かないと、僕は餓死してしまいそうだ。

蛇がじっと僕を見て、お腹が空いたのなら南にいくといい、西は谷があるからやめておけ、といった。舌をちろちろと出しながら、僕のほうに体を伸ばしてきます。

僕はゆりかごを拾って東に向かって走りました。やっぱりかごは中身のある方が良い。

川に飛び込んで流されていく僕は空っぽを抱えながら目を閉じた。

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