花束の詩集

藤崎 千歳

第1話 ♣雨の後

 一時間前まで青かったのに、今は灰になっている。どんどん黒みがましてきた。

 ああ、きそうだなと思ったのと、光の塊が目の前を走り去ったのは同時だった。

 数秒後轟音が響き渡る。びりびりと体が震え、辺りがいっそう暗くなった。

 雲の上のナニモノかがお怒りなのだろうか。

 恵みの雨はありがたい、が、これは騒音トラブルだ。全くもって迷惑である。

 分厚い雲をどこかにやってしまいたくて、耳栓をしながら団扇で扇いだ。

 少しずつ黒が薄らいでいく。よし、あと少し。


 真っ白な雲が浮かんでいる。光が地面に注いでいる。


 ああ、絵の具をプレゼントしよう。青いキャンバスに7色がきっと映えるだろう。

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