異世界転生からの俺TUEEEはいつから始まるのでしょうか? かり

別府明

第1話プロローグ

MMORPG界の金字塔、トール。

ゲームと言うジャンルを書き換えたと絶賛されたタイトルである。

秀逸だと評判だったキャラメイク、装備のカスタマイズ。ゲーム内店舗では様々な規格品やオリジナルの衣装や装備が購入販売でき、ライト層にも人気になった家システムとガーデンシステム、ガーデニングに至っては収穫量に応じて現実世界に野菜や果物がクール配送されてくる。

革新と銘うたれたマネーシステムはレートが日々更新され最初期は約235分の1でゲーム内資産がリアルマネーに換金可能であった。ゲームしてるだけで金になるのだバイト感覚で若年層から中年層にかけて幅広く普及。クリエイターと呼ばれたプレイヤーが服飾や鎧をゲーム内で生産し販売、とある有名クリエイターは年収1000万を稼ぎ話題になった。

しかし、ゲームが輝けば輝くほど悪意あるサイバー攻撃は執拗であり、再三の更新でも対策出来ずマネーシステムの現実レートは破綻し、引き出し凍結。リアル世界でのアイテム受け取りサービスも個人情報流出などの危険性を鑑みて停止された。3年、5年、7年の危機は乗り切ったが10年目後期トールの世界樹が枯れたのは致命的であった。原因はバグだと喧伝されているが、ウイルスである可能性が高いと見られている。

その時、世界の敵が現れ世界樹が枯れたことにより世界は崩壊した。世界の敵戦(ボス討伐)の時に集ったワールドクラスと呼ばれる45のプレイヤーに世界の敵(ボス)は倒されたがゲームバランスは二度と戻らなかった。

ちなみに45プレイヤーやら英雄などと言われる45人のなかに俺の操作キャラである◯◯もいた。えっと、キャラ名は…重度の中二病を罹患のため開示拒否だ。

プレイヤー1人で遊ぶだけでなく、同盟の元に集いグループで遊ぶことも楽しみだった。そうだな、同盟といえばワールド争覇戦を勝ち抜いて我らが同盟のシンボルアイテムを作成。ワールド争覇戦を勝ち抜いたクリエイトアイテムだ、きっと凄いに違いない。盟主だったのに、ほとんど関わらせて貰えなかった。遠い目…。

冗談で当時はまだ機能していた自宅配送システムを使って、住んでいた安アパートに送ってもらおうとしたっけ。


~~~~~~


ピンポーン、ピンポン、ピンポン。

インターホンが押された。

「星霜プリンさーん。」

「すいません、逆十字星霜プリン逆十字さーん。」

「プリンさーん、お届けものですよー。」

心臓に鉛の玉が食い込んだ様に息苦しくなったが、もがいてインターホンに飛びついた。

「はい、星霜プリンです。」

「お届けものでーす。」

デジタルの時代において旧時代の遺物である印章というものを赤く捺印すると、あらぬことを叫んでいた宅配業者が去って行った。

ふぅ、危ないところだった。

もう少しで、近所中に己れの黒歴史を曝すところだった。


ねぇねぇ、お母さん。あのひとぎゃく十字せいそうプリンさんていうの~

(やめなさい、指差しちゃダメ。)

ねぇ、お母さん…

(指差しちゃダメって言ってるでしょ)


玄関は閉められた。

マンションの前にコンビニが出来てとても便利になったと思ったていたのだが、思わぬ弊害だな。

ちなみに、俺の名前は逆十字星霜プリン逆十字では断じてない。大事なことだから、もう一度言うが断じてない。


さて、こいつは何だ。なぜに俺の恥ずかしい黒歴史である名前をラベルに貼ってやって来たのだろう。

箱は高さ80cm、縦横が30cm×30cmぐらいか。俺があの名を名乗ったのはトールしかあり得ない。と言うことはこれはトールからの配送品だ。しかし、身に覚えが全くない。

鋏でもって箱を開けると…

カードが入っていた。





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