気ままなキミ

樹蜜

その1

「………眠っ。」


いつもの時間にアラームがなる。

寝過ごして遅刻になってしまうのが怖い私渡辺 椿は、10分おきにアラームがなるようにセットしていてる。ギリギリに起きてしまうこともあるけど幸いにも遅刻をしたことが無い。

カーテンをあけて、1度背伸びをする。


朝ごはんのトーストを軽く食べ、眠気覚ましのコーヒーを飲みながら手馴れた手つきでいつも通りの化粧をし、仕事に行く準備をする。大学卒業後就職し、早3年。この生活も慣れたものだ。



毎日満員電車に揺られながら、SNSをチェックするのが日課。


「え、穂乃果結婚したの?」


思わず声が出る。ハッとし周りを見渡すが、誰も気にとめてない。

婚姻届と結婚指輪と彼氏との幸せそうなツーショットの写真。そこには幸せそうな友人の穂乃果が写っていた。既に何人かからイイネやコメントが来ている。


SNSでの結婚、出産報告も増えてきた。

穂乃果は高校で仲良くなった友達で、ここ最近全然会えてない。久々会いたくなってきた。


周りが変わっていく中、何も変わらない私。


平日は会社に行って、仕事して…

休日はダラダラするか、買い物して終わり。

まるで、電車からみる風景と同じ。

別に不満なんて無いけどこれと言った刺激もない。とりあえず、穂乃果の投稿にイイネとコメントをする。


すると、すぐにスマホに通知がきた。


《久しぶりー!元気??

全然会えてなくて、寂しい…。

近々ご飯でも行こうよー!いつ空いてる?》


穂乃果からの連絡だった。高校の時は1番仲が良く、よく一緒に遊んだりしていたけど大学は別だった為、会える頻度が少なくなってしまったが、たまに連絡を取り合い月1くらいでご飯も行っていた。


ここ半年ほどは、お互い忙しく連絡はまばらで、全然会えていなかった。

彼氏さん…いや、旦那さんになった人とは私も数回会ったことがあり、とても優しそうな人できっと穂乃果のこと幸せにしてくれるに違いない。



それに比べて私は……。


「ハァー…。」


大きめのため息をひとつ。

気づいたら降りる駅の1つ前まで来ていた。

穂乃果に返事をし、降りる準備をする。

さて、今日も仕事。

あの資料作らないといけないし、あとあれ期限明日までだったから終わらせないと…。


友人が入籍しても私の生活は変わらずいつも通りなので、電車を降り、急ぎ足で会社へ向かう。


「おはようございますー。」


挨拶をし、自分のデスクについてメールチェックと今日やらないといけないタスクをチェックし、5分後の朝礼を待つ。

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