第5話サイコパスと魔法
今日から本格的に魔法の練習が始まる。
昨日、魔法の鍛錬をしたのちエドワードから借りた「初心者の為の魔法」を読んでいた。それによると魔法はLv1からLv10まで存在しており、Lvが高くなるにつれて必要な魔力も増えてくるという、当たり前のことが記述してあった。
「殿下、本日は魔法の基礎を教授しに参りました。よろしくお願いいたします。」
「まぁ、頼んだよ。」
「まず、この水晶に魔力を注いでいただけますか。」
「わかった。」
机に置かれた透明の水晶に手を伸ばし魔力を注ぐ。
途端に水晶が赤色、青色、黄色、白色に光りだすと同時に強い風が吹き抜けていった。
「す、素晴らしい!、赤に青、黄色にこの強い風、そして白は…なるほど固有魔法ですか。殿下!この白に何か心当たりは!!!」
「落ち着け、まったく」
「うぅぅ、も、申し訳ございません」
「固有魔法とやらはわからんな」
「そうですか、しかし、いいものを見せていただきました」
「このことは父上に報告するのか?」
「はい、陛下も大変お喜びになるでしょう。」
「固有魔法のことは言う必要はない」
「えっと、なぜでしょうか?」
「まだどんなものかわかっていないからな」
「はぁ、承知しました。」
エドワードには悪いが僕の固有魔法「言霊魔法」は伏せておく。
いつ誰がどこで僕を裏切るかわからないからね。
「エドワード、さっきの赤、青、黄色と風の説明をしろ」
「これは失礼しました。赤は火、青は水、黄色は土、風はそのまま風の属性を表します。つまり、殿下は四台属性全てをお持ちになっているということです。」
「当然だな」
「おや、もっとお喜びになられると思ったのですが…」
「次期皇帝としてはこの程度できないと話にならない」
「そうでございますか。では、属性が分かったところで魔法の行使に移ります。準備はよろしいですか?」
「そういえば、杖を持っていないな」
「おっと、失礼しました。それではこれをお使いください。ランクDコボルトの魔石をあしらった杖にございます。それでは私のあとに続いてください。「種火」」
「種火」
「完璧ですね。何も指摘することはありません。」
その後、Lv1の創石、微風、呼水を楽々と成功させた。
正直、こんなのはできて当たり前だ。
こんなしょぼい魔法ではなく超強力なのを街に向けてぶっ放してやりたい。
くっくっくっまたズボンにテントを張ってしまった。
そんなことを考えていると、今度はエドワードが僕の全力をみたいと言い出したので、中庭に移ることになった。中庭の面積は非常に広大で、僕が中規模の魔法を繰り出しても問題ないだろう。
そして、杖を構え叫ぶ。
「それではいくぞ、エドワード!「石槍」」
といって杖を振ると、エドワードめがけて石でできた巨大な槍が十本ほど放たれる。
十本の槍は寸分の狂いもなく、エドワードを中心に円を描くように地に突き刺さっていく。
その光景に恐れをなしたのか、エドワードはへたり込み立ち上がることが出来なくなった。
「おい!エドワード!生きてるか!」
「申し訳ございません、殿下、あまりに巨大な槍が何本も…それに緻密なこのコントロール、恐ろしくて腰が抜けてしまいました。」
仕方がないので、エドワードのところまで歩いて彼を立たせてあげた。
どうやら本当に腰が抜けているらしい。
俺に寄りかかってくるため、肩を貸してやる。
「エドワード、お前情けないな」
「申し開きもございません、殿下。もはや殿下に魔法の指導は必要ないかもしれませんね。」
「あぁ、正直必要ない。お前は王宮に戻って治療を受けろ。」
「はい、ではお言葉に甘えて。」
まったく世話のかかるやつだ。
しかし、殺すつもりで槍を飛ばしたはずなのに、少しずつ軌道を変えられるとは…
エドワード、意外とやるな
僕はこれからの日々に胸を躍らせるのだった。
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