第43話 意外な真相
ベルモ達の住む森へは
集まった冒険者達の顔ぶれだが、まずランク5冒険者
単純に総合的な実力なら同行した中でダントツにトップだろう。
次に『聖女』の二つ名で知られるランク4冒険者
最後は戦士ショウの
情報だけ見れば単なるお荷物キャラでしか無さそうだが、アイトゥーシア教会が満を持して送り込んできたのが彼らなのだそうだ。
どういう事かと言うと、今回このショウという人物がアイトゥーシア教会から『勇者』として選ばれ、『邪神を封じる聖剣』を賜った人物であるからだとか。
なるほど、身なりに不相応な立派な剣を
俺も最初はこんな感じだったのだろうか? なんだかこの世界に来たのが、えらく昔の事の様な気がしてくる。
転生してからこっち、まだ滞在1ヶ月を過ぎた程度なのに、生まれ故郷の様な居心地良さを感じている。まぁ前世の世界がクソ過ぎただけの話なんだがな。
1つの馬車に1パーティずつ乗車し、コミュ障なりに野営中の時は他パーティともそれなりにコミュニケーションを取ってきた。
うちのパーティは、一応ベルモは事件の当事者で色々な情報を持っていた為に他のパーティに森の状況を話していた。冒険者稼業の連中にはオーガも少なくないので、ベルモも変な偏見や差別は受けている様には見えなかった。
クロニアは元々治安維持の為の衛士であり、森を含むガルソム領の地理に詳しい為に、やはり他のパーティへの情報提供の為に走り回っていた。
ティリティアは同じアイトゥーシア教会の聖職者である『聖女ホムラ』と話し込んでいた。同時に教会繋がりで謎の多い『勇者』くんのネタも結構仕入れてきてくれた様だった。
「んで、何でボクだけこんな目に遭うのさ?」
柱に紐で繋がれたまま恨みがましい目で俺を見上げるモンモン。しょうがないだろ、お前を自由にさせたら他人の財布を盗んだりとか、要らんトラブルを持ち込んでくるに決まってるんだから。
そんな訳で人見知りでコミュ障の俺は情報収集には戦力外と判断され、モンモンが悪さをしないように見張る役目をティリティアから仰せつかった。恐らくは俺がフラフラして他の
他のパーティとの折衝と情報収集は女性陣に任せた方が安全かつ確実と踏んでいたが、女達は初日からかなりの情報を集めてくれていた。やはり渉外担当者は、男よりも女に任せる方が正解なんだよな……。
☆
「『聖女様』から
ティリティアが『聖女』から聞いてきた事を教えてくれた。今回の事件とアイトゥーシア教会の関わりについてだ。
「これは教会の秘伝なのですが、元々あの森にはバルジオン王国の興る遥か古代から『邪霊が封じられている』という伝承が残っておりまして、神代の
そんな厄介な仕掛けのある森だったのかあそこは… となると、例の蛇の形のモンスターは古代に封じられていた邪霊かその眷属である可能性が高いのかな…? 女神自らが封印した邪霊なんて化け物が相手なら、即座にランク5ミッション認定されたのも納得出来るというものだ。
「邪霊を石に封じた女神は、愚か者がうっかり封印を解いてしまわぬ様に、その『石』自体を強大な化け物と化し、森の安寧と邪霊の封印を守るべく配置したそうです」
なるほど、森の
ここまでティリティアの話を聞いて、ティリティアを除く俺達全員の視線が交錯し、一様に顔に冷や汗が浮かぶ。『石の化け物』『森の守護者』、なんだか心当たりがある様な…?
「そして1ヶ月ほど前から、邪霊の物と思われる悪しき波動が教会の高位聖職者によって観測される様になり、教会が冒険者を送って調査した結果、森の奥で何者かに両断された守護獣と思われる残骸が見つかったそうです…」
…あー、これアレだ。完全に俺が『開き』にした森の主の事だ。その当時森に居なかったティリティアは気がついていないのか、俺の武勇伝を覚えていないのかで完全に他人事として話しているが、森の主の存在と顛末を知っているベルモ、クロニア、モンモンは顔が真っ青だ。
「教会はこれを『魔王の手の者による破壊工作』と予想しております。もし古の邪霊が解き放たれたのであれば、それは魔王の誕生に大きく寄与すると考えられるからです」
そんな大層な陰謀論じゃないんです。生きる為の止むを得ない犠牲だったんです!
なんて言い出せそうな雰囲気では無かった。俺達4人は目配せで『この件は墓まで持っていこう』と固く誓う。
そして俺の不始末で邪霊とやらが復活してしまったのならば、きっとその尻拭いも俺がやらなきゃ駄目なんだろうな……。
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