最強の日本兵は殺し屋となり異能の蔓延る世界で生きていく

ティーチャー

プロローグ

―――機械のような人生だった。目の前には機能を為さなくなった炭素の塊が大量に転がりその情景は永遠にこびりついて離れない。

何人の生きがいを奪い、人生を奪ってきただろう。どんな人間の憎しみも受けそのたびに逃げるなどという選択はしなかった。俺は正当化する気などない。


間違えてなどいないと、そう思いたかった。


罪を被り罪を受け、与えられない人生に与えられたことによって自分の使命を全うしてきた。


この間違いを認めてしまえば、受け入れてしまえば俺は、俺でいられなくなってしまうから。


ならばこの光景はなんだ。何度同じ風景を見せられている?


戦争のせいにすればいい。


軍人として付きまとう当然の物だと理解してしまえばいい。


そうすればさっさと報われる。なのになんだ。なぜ消えない。


それはきっと俺はわかっている。この人生の間違いなど、認めない限り永遠にこの景色は消えなどしないと。


彼女が笑っている光景だって、あの子の幸せそうにする顔だって黒く塗りつぶされいつまでもそれを繰り返す。彼女たちはきっと言っている。


忘れるなと。


この因縁カルマは俺を蝕む。死してなお縛り償い、認めろと迫る。


孤独の渦で永遠に向き合うことになる。


伝説の日本兵とは生涯報われることのなかった哀れな男の話だと、生涯何も為さず失っただけの男の話だと、いつになれば民は気づく―――

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