第13話 挑戦②
カインは新しい剣に慣れ、全員分のポーションを用意し、シェリーは魔術の習得に時間を費やしていく。
「高い買い物だけどようやく人数分のポーションが揃えられたわね」
坑道のより深くへと目指すと決めて十数日後、いつもの様に魔石の採掘を終えた四人は宿屋で話し合っていた。
「この剣にも慣れたから僕はもう問題無く戦えるよ」
「装備は十全、経験も積みました。以前の様に欲をかかなければ少なくとも生きて帰る事は難しくは無いでしょう」
「えーと……私はいつも通り魔石を運ぶだけで良いんだっけ?」
「アンタねぇ…………昨日食べてる時に話し合ったでしょ」
「いやーはははっ……ご飯とお酒が美味しくてうっかり」
何も聴いてないアネモネにシェリーは呆れて深く溜め息を吐く。
「僕達が戦闘に専念する為に魔石を運ぶのに加えて採掘もアネモネがする。もし危なくなったら魔石をばら撒いて逃げる。いいね?」
「うん!頑張るよ!」
「ホントに分かってるのかしら…………」
返事だけは良いアネモネにシェリーは不安に感じ眉をひそめる。
「あとは最高の状態で動ける様に今日は早めに休みましょう」
「そうだね。おやすみ」
「おやすみ!」
「はいはい、おやすみ」
「おやすみなさい」
明日に備え四人はいつもより早く寝る事にした。
魔石の採掘で疲れもあり、あっさりと眠りに落ちて朝を迎える。
「おっはよー!」
「うえ!?」
「…………おはようございます」
日が昇り街が賑わい始めた辺りでアネモネはベッドから飛び起きてカインはそれに驚いてベッドから滑り落ち、リリィは目を擦りながら身を起こす。
「今日はいつも以上にうるっさいわね…………」
シェリーは全身が布団に包まったまま心底不機嫌そうにぼやく。
「シェリーちゃん!シェリーちゃん!今日はいよいよ坑道の深い場所まで挑戦する日だよ!起きて起きて!」
「ああああ!うっさいわ!」
「ぶへっ!?」
枕元で喧しく騒ぐアネモネにシェリーは堪えきれず布団をアネモネへと投げつける。
「なんで毎朝そんなテンション高いのよ!?もっと穏やかに目覚めさせなさいよ!」
「ごめんねえ……」
アネモネは布団を被ったまま謝る。
「でもシェリーは布団を無理やり剥ぎ取らないと起きないし丁度良いんじゃないかな?」
「シェリーさんは昔から朝が弱いですからね」
「うぐっ!?ま、まあ今日はそんな事言ってる場合じゃないわ。さっさと準備するわよ!」
アネモネは味方が居ないと知ると逃げる様にベットから出る。
アネモネ達は食事と採掘に必要な準備を済ませると宿屋を出て坑道へと入る。
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