安さの理由(全7話)

樹(いつき)@作品使用時の作者名明記必須

第1話

アパートの更新が近付いて来たタイミングで、今より良い条件の物件を検索していた。

「うわー、ここ良さそうだな」


今住んでるアパートよりだいぶ広くてペット可なのに今より安い。

次の週末に内見の予約を取り付け、内見前にアパートがある駅へ下見に行く事にした。


駅前には大きめの商店街があって、アパートのすぐそばにはコンビニもある。家族連れもいて住みやすそうな雰囲気だ。


内見当日、アパートへ到着し、部屋を見させてもらったが、これと言って不便を感じるような所はなかった。


「ここって、なんでお安いんですか?」と担当者に聞いてみると、


『見える人には見えちゃうみたいなんです。いやね、もちろんこちらで亡くなった過去は一切無いんですよ』と担当者は答えた。


俺はそういう事には鈍感だし全く気にならなかったので、その場で契約を済ませた。


後日引っ越しを済ませ、初めての夜。

引っ越しで疲れていつもより早めに寝たのだが、飼い猫のマロンのうなる声で目が覚めてしまった。

「マロン、どうしたの〜?」と声をかけてみるが、一点を見つめてうなっている。


マロンのそばに行って、同じ角度で同じ方向から目を細めて見てみると…

「うわー💦💦」


髪の長い女性がうずくまっているのが見えてしまったのだ…

驚きと恐怖で心臓はバクバク。更新まで2年か🤦

安さに惹かれてこのアパートにした事に初日から後悔した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る